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【十五話】 少年、チンピラに目をつけられる③(メインストーリーを含む)

ここでようやく十三話の最初の場面に戻ります。


====================


 という経緯で、ピラルフと謎の二人、ビンキと情報屋は、木の上からドラグの動きを盗み見をしていた。


 していたのだが、三人は目の前で起きている状況を飲み込めずにいた。


「化け物かよ・・・っ!?」


 嬉々として魔物たちを灰に変えていくドラグの姿を見て、思わずそうつぶやくピラルフ。


 驚きを隠せないピラルフと大口を開けて唖然としているビンキの隣で、情報屋はその見て取れる情報を、手元にある紙に必死にまとめていた。


「少年はものすごい力の持ち主で、魔物をトラップアイテムでおびき寄せて大量に討伐していたのか!

 ついでに少年の情報をもっと集めておこう。

 少年の武器は片手剣一本。だがその剣は闇属性の魔法を放つことのできる魔剣。さらに、その魔剣は魔剣ながらも切れ味は抜群で、少年はそれをメインウェポンに装備しているのか。

 少年のレベルは分からないけど、相当なものと予想できる。

 でも、そのレベル以上に目を見張るのはその技術だよ!なんだあの動き!防御と攻撃を一太刀で同時に行うなんて!・・・」


 情報屋は、未知の情報だらけの少年に、情報収集欲を狩りたてられていた。その様子、まさに狂人。


 みるみるうちに数を減らされていく魔物たち。その中に、この森ではふつう見かけない魔物が混ざっていた。

 そのことに気が付いたのは、やはり情報屋だった。


「バグベアーがいるじゃないか!それも一匹じゃない、何匹も!大スクープだ!この情報は売れるぞ~!」


 その横ではいまだにピラルフとビンキが、信じられない光景に、言葉を失っていた。



 数分ののち、ドラグはすべての魔物を狩り終え、ドロップアイテムを回収し始めていた。


「・・・帰ろう。ありゃバケモンだ」


 ピラルフの言葉を聞くと、三人は直ちにイースの街へと走って戻った。


~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


(ん?いつの間にか俺たちのことをつけてた人いなくなったな?)


 既に三人の気配に気が付いていたドラグは、その気配が消えていることに気が付いた。


(結局何もしに来なかったな。よかった)


 そう思いながら、ドラグはドロップアイテムを次々にバックパックに詰め込む。


 すると、後ろの方でもドロップアイテムを集めていたシャルが、


「一人であれだけの魔物をあいてして無事なんて、ドラグ師匠、いったいレベルいくつなんですか?」


 ドラグに向かってそう聞いた。


 まぁ、当然の疑問だろう。

 今回の討伐数は582体。それだけの魔物をたった数分で倒しきり、それでいて呼吸も整ったままなのだから。


 その疑問に、ドラグはこう答えた。


「ここ4~5年はいろいろあって、レベル測定とかしてないからなぁ。ちゃんとした数値は分からないや。

 でも、今の俺はレベル50くらいだよ。実はこの『我力』で自分のレベルをいじって、下げてるんだ」


 この『我力』というのは、ドラグが持っているこの妖魔剣の銘である。


「え!まだ本気じゃないんですか!?」

「うん。ここらへんの魔物って低級だけだし、それにレベルに頼っちゃうと腕が鈍るから、訓練もかねてレベルを下げてるんだ。

 それに我力には常に最低1レベルは与えてあげないと、何も斬れないボンクラになっちゃうからね。いつもは自分をレベル100くらいにして、あとは我力に預けてるんだよ」

「100!?ってことはドラグ師匠はレベル100以上のレベルなんですか!?」

「ん~、そうなるかな?」


 なぜシャルがこんなにも驚いているのか。それは、この国において数少ない「一級冒険者」となるための条件が、国営ギルド認定のレベル測定器でレベル100以上を確認されることだからなのだ。

 「一級冒険者」というのは、ものすごい力を持ち、魔物を圧倒し、上級モンスターを一人で倒せるほどの実力者のこと。言ってみれば選ばれし者なのだ。


 ドラグがとんでもない存在であると再認識したシャル。手の動きが止まっている。


 そんなこととはつゆ知らず、ドラグは黙々とドロップアイテムを集めながらこんなことを考えていた。


(あれ?今日はシャルが一緒にいるから、いつもバックパックに入りきらないで放置していたアイテムを回収できる!?やった!お金がいつも以上に入る!)


 まったく、現金な男だ。


 ドラグはシャルのおかげで、また、バグベアーのドロップアイテム、『バグベアーの毛皮』によって、いつも以上に、ほぼ丸5日分の食糧費を稼ぐことに成功したのだった。


~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


 一方その頃、裏ギルドに戻ったピラルフは、


「っあ~っ!」


 酒を飲んでいた。

 その酒は、ドラグという怪物から解放されたことへの安堵感によって、昨日の酒よりは美味しく感じていた。


「いやぁ、よくあんなバケモンをつけて、無事に帰ってこれたな」


 ピラルフの隣で、ビンキも安堵する。


 その二人に対して情報屋は礼を言った。


「ありがとう。おかげでいい情報が手に入れられたよ」

「そりゃ何よりだったな。ったく、くそ危なかったぜ」

「これは僕からのお礼」


 そういって情報屋は、懐から銀貨を三枚取り出し、ピラルフの座っている席の前に置く。


「これで目いっぱい酒飲んでよ」

「そりゃありがてぇな」


 それを受け取り、ポケットにつっこむピラルフ。


「それじゃ、僕はこれで。これからもごひいきに頼むよ。お二人さん」

「それはいいが、二度とこんな危険な依頼持ちこんでくんなよ?」

「心に留めておくよ」


 情報屋はそういって、裏ギルドを後にした。

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