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【完結】ハナコ・カーネル(ⅭAR寝る)二十六歳の異世界車中旅~転移先はおばあちゃんの故郷でした~  作者: ジュレヌク
ニケ・アンジェロ、ナイキに生まれ変わる

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第五話 とんだ大物の孫に拾われたようだ

 色々と花子が規格外な人間という事を理解したニケだが、大事なことは伝えておかなければならないと思い、彼女に現状を説明することにした。



「しかし、魔力を動力源としておりますので、乗れる者は少なく、運手を出来るだけで尊敬に値するのです。ですので、今周りにいる者達が花子さんに向ける視線は、尊敬の眼差しという事になります」



 レストランのドアを開け、中へとエスコートすると、店の客が一斉に花子を見た後視線を下げた。


 それは、不躾に見て失礼になってはいけないという気持ちの表れだった。


 二人がテーブルに着くと直ぐに、ウェーターが走って来た。


 普段見ない魔力量を放つ女性を見て、内心興奮していたのだろう。


 接客を他の者に奪われてはならないと必死だ。


 ニケは、手渡されたメニューを見て、この店の名物料理をいくつか頼んだ。


 それに合わせて飲み物も頼む。



「はい!承知いたしました」



 威勢のいい返事をして帰っていくウェーターに対して、花子の眉間に皴が寄った。


 どうやら、自分が特別な扱いをされているのだと気づいたようだ。



「まさか、ずっと、こんな風に扱われるの?」


「そうかもしれませんし、そうではないかもしれません」


「意味深な言い方、止めてくれる?」



 花子が唇を尖らせてむくれる姿を見て、ニケは、軽く頭を下げた。


 突然異世界へ飛ばされ、ただでさえ気持ちの整理が追い付かない彼女を、もう少し気遣うべきだった。



「申し訳ありません。ただ、全身から漏れ出る魔力を抑えきれないうちは、ずっと、このように扱われると考えた方がよろしいかと存じます」



 漏れていると言われて、慌てて花子は、自分の手を見てみた。そして、首を傾げていた。



「何も見えないけど?」


「それは、貴女にとって、その状況が当たり前すぎるからです。魔力のない者に取れば、眩し過ぎて目が開けていられない程ですから」


「そんなものなの?」



 花子は不思議そうな顔をするが、ニケの目から見ても、花子は発光しているように見える。


 その姿は、まるで女神のようだ。


 彼が幼少期から再来と騒がれた伝説の魔法使いも、このような人物だったと語り継がれていた。



「つかぬことをお聞きしますが、花子さんの御身内に、こちらの出身の方がいらっしゃるのでしょうか?」



 不躾だとは思ったが、どうしても気になってニケは聞いてしまった。


 すると、花子は驚いた顔をした後、一瞬黙った。



――あぁ、また私は失礼なことをしてしまったようだ。



 反省しても、口から出た言葉を引っ込めることは出来ない。



――許してもらえるなら土下座でもしようか?


と思い始めていたニケの耳に、



「多分、おばあちゃんかな」



と言う声が聞こえた。



「お婆様ですか?お名前は?」


「鞠子」



 言葉の響きに、予想が当たっていたことを確信したニケは、



「まさか、マリー・コ・カーネル様ですか?」



と正解を求めるように聞いた。


 しかし、花子は、キョトンと驚いたような顔をして、全くピンと来ていないようだ。



「なにそれ?」


「十代にして全属性魔法を操られた稀代の天才。他の世界を旅すると言い残し、異世界へ渡られた偉人です」


「あぁ~~~~」



 そこで、やっと花子は何かに思い当たった様だ。



「うん……そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」



 言葉を濁してはいるが、どうやらニケは、とんだ大物の孫に拾われたようだ。



「どちらにしても、花子さんから溢れ出る魔力は、別格なものと見受けられます」


「人間蛍みたいでやだな。引っ込められないの?」


「そればかりは、魔力操作の訓練をしないと」


「じゃぁ、教えて」



 傍にいることを許されたニケは、大公家の中で唯一自分を思いやってくれた執事を思い出し、彼の所作を真似て胸に手を当てた。



「仰せのままに」



 彼女が望むなら、地面に膝をついて靴に口づけしても構わないとすら思う。


ニケにとって、花子は神様が与えてくれた幸運なのだから。


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