第十五話 「あんたはどうすんの? 私たちと来る!?」
「ごっほん。ネッド、その後のリアムは?」
リュカがネッドに続きを促した。
「会ってないよ。大人たちもみんないなくなっちゃった」
「そうか、よく頑張ったな。これを食べるといい」
リュカはネッドの頭を撫で、どこからか取り出したパンを手渡していた。
「あんた食料持ち歩いてたのね」
「備えあればってやつです」
恐る恐る受け取ったネッドだったが、食べ始めると、よほど腹を空かせていたのか、夢中でパンに齧りついていた。
パン一切れにかぶりつくその姿に、オリヴィアは目を逸らしたくなる。薄汚れたぼろきれのような服から覗く手足はあまりに細い。
一行は何も言わず、思い思いにネッドを見つめていた。
そのとき。遠くから何か騒ぎ声のような音が聞こえてきた。
「何だ何だ」
軽い口調で言ったローマンだったが、完全に戦闘態勢に入っていた。みんなもそれに続き、音の聞こえた方向を警戒する。
立ち上がったノアは、オリヴィアとネッドを庇うように、ふたりの前に立った。
「誰か! 助けて!!」
片腕を押さえた女性が、何かから逃げるように走ってくる。逃げるうちに、オリヴィアたちを見つけた女性は、走る向きを一行のいる方へ変え、叫んだ。
「助けて! お願い!」
ノアたちは女性に強い警戒心を抱いていたが、その瞳が金色であることに気がつくと、幾分かその警戒を緩めた。
「おい! どうした!」
「人間が……!」
女性がそう言うのとほぼ同時に、後ろから迫りくる集団が現れた。
「おい! 他にもドラゴンがいるぞ!」
「全部まとめて捕まえるんだ!」
ドラゴンの女性を追いかけているのは、武装した人間の集団だった。手に持った槍のような形状の武器が太陽の光を浴びて、鈍く光る。
「ちょっと! あの武器って……!」
「刃先に使われているのは、キメラの牙のようですね」
逃げてきた女性の傷は、キメラの牙でやられたのだろう。傷口の周囲は石化が始まっていた。
ドラゴンたちに緊張が走る。
「もうタイムリミットのようです。逃げますよ」
リュカの提案に、全員が頷く。
「ほら、おまえは俺に乗れ!」
ローマンが傷ついた女性を背に乗せて舞い上がった。
「あんたはどうすんの? 私たちと来る!?」
リリーがまだ座ったまま呆然としているネッドに言い放った。
ネッドは迫りくる人間たちと、必死に手を差し出すリリーを交互に見る。
「……うん、一緒に行く!」
オリヴィアを乗せたノアが飛び立ち、全員が無事に逃げられたのを確認したリュカが最後に大地を蹴った。




