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治せます。ただし、あなたは一年以内に殺されます。――脳外科医・久世朔の診察室  作者: 竜太郎


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残された時刻表

御園と榊は印刷所の事件について、これまでの被害記録と照合を続けていた。被害者の手術から殺害までの期間は一年に満たない。心臓に杭が打たれ、ほかに外傷はない。抵抗した痕跡も認められず、同じ犯人による事件と見て捜査が進んでいた。しかし犯人へ結びつく名前も住所もない。


榊は被害者が利用していた駅の時刻表を取り寄せ、事件前に接点のあった人物を確認した。印刷所へ出入りする人は多く、配達員も顧客も顔ぶれが変わる。関係者全員を疑うのではなく、確認すべき日時を絞る必要があった。御園は記録を分担し、聞き取りの重複を避けるよう指示した。


午後には遺族へ連絡する機会があった。兄の弟は、警察が何かを見つけたのか尋ねた。榊は現時点で伝えられる内容だけを説明し、憶測に基づく見通しは語らなかった。弟は「そうですか」と答え、仕事へ戻る時間だからと電話を切った。受話器の向こうでは印刷機の規則的な音が続いていた。


榊は照会の返事が遅れている先を確認した。催促する前に担当者の状況を確かめ、急ぎの理由を簡潔に伝える。焦りだけでは協力は続かないと分かっていた。


会議室で若い刑事が、事件と病院の関係について新しい仮説を出した。御園は考えを否定せず、裏付けになる事実は何か尋ねた。答えはまだなかった。仮説を持つことと、仮説に合わせて証拠を並べることは違う。御園は捜査記録に推定と確定の欄を分け、誰が読んでも区別できるようにした。


夜、榊は駅の時刻表を机へ戻した。多くの人が同じ列車を利用し、同じ改札を通る。その中から一人を見つけられるかもしれないと考えることはできる。しかし見つけたと書くには、まだ何も足りなかった。榊は翌日の聞き込み先を確認し、紙の角を丁寧に揃えた。

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