↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
治せます。ただし、あなたは一年以内に殺されます。――脳外科医・久世朔の診察室  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/168

母の質問

千尋は息子の担当医と時間を取り、手術を受けなかった場合の見通しを詳しく尋ねた。担当医は現在の症状、今後の支援、言語療法で期待できることを一つずつ説明した。久世の治療以外にも、蒼の生活を支える方法はある。しかし元通りに話せる保証はない。千尋は内容を書き留め、曖昧なところを何度も聞いた。


医師は母の表情を見て、家族だけで抱え込まないよう勧めた。学校、福祉、療法士、病棟の相談員。それぞれできることが違う。千尋は今まで学校へ詳しい事情を伝えるのをためらっていたが、蒼が通う場所を失わないためにも相談が必要だと感じた。病気を知られることへの不安も、消えたわけではない。


帰宅すると夫が仕事から戻っていた。二人は食卓で資料を広げ、互いの考えを話した。夫は治るなら手術を受けさせたい気持ちが強い。千尋はまだ決められない。どちらも蒼を大切に思っているのに、言葉は時々鋭くなった。二人は途中で話を止め、息子の写真を見つめた。


夫は翌日、自分も病院の相談へ同席すると言った。妻から伝え聞くだけでは、恐怖ばかりが大きくなっていたからだ。千尋は予定を確認し、勤務先へ時間を調整する連絡を入れた。親が話し合うあいだにも、蒼の一日は病棟で進む。今日は折り紙の飛行機を遠くまで飛ばしたと、看護師の記録に書かれていた。


寝る前、千尋は息子から預かった青い鳥を棚へ飾った。翼の片方が曲がっていたので直そうとしたが、手を止めた。蒼が折った形をそのまま残しておきたかった。明日も病院へ行けば、蒼は自分で新しい鳥を折るだろう。千尋は灯を消し、明日の相談で尋ねたいことを枕元の手帳に書き加えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。