同じ報告書
御園のもとへ、別の県から事件資料が届いた。前に起きた殺人についての追加報告で、杭の痕と周辺状況を再確認したものだった。同じ手口で殺された被害者は、久世の治療を受けてから一年に満たない時期に死亡していた。御園は過去の記録を揃え、違いを探した。だが紙の上に残るものは、いつも驚くほど似ていた。
報告会で榊は、現場の写真だけを見て犯人の行動を決めつける危険を指摘した。争った痕跡がないことは事実だが、被害者が犯人を知っていたかどうかまでは分からない。心臓に杭が打たれ、それ以外の外傷はない。そこから先を想像で埋めれば、調査の方向が簡単に歪む。御園は榊の意見を採り入れ、報告書の一文を修正させた。
御園は報告を終えた若い捜査員を呼び止め、遺族への連絡が済んでいるか尋ねた。資料の追加確認だけでも、家族にとっては事件の日を思い出す出来事になる。捜査員は担当部署を通じて説明したと答えた。御園は頷き、次に尋ねる必要があることを整理させた。警察が同じ質問を繰り返すたび、協力する側には生活を止める負担が生じる。その負担を軽くする方法も考えなければならなかった。
捜査員の一人が、病院へ警戒を求めるべきだと提案した。御園はすでに関係部署との連絡を続けていると説明し、個々の患者への対応は状況に応じて検討すると答えた。すべての患者を常に監視することも、現実には容易ではない。捜査に必要な人員を確保しながら、次の被害をどう防ぐか考え続けなければならなかった。
会議が終わると、御園は窓際の机へ戻った。建物の外では工事車両がゆっくり進み、作業員が安全確認の旗を振っている。人の動きには理由があり、たいていは誰かが見て理解できる。しかし同じ犯人の行動だけが、資料を重ねても空白のままだった。




