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治せます。ただし、あなたは一年以内に殺されます。――脳外科医・久世朔の診察室  作者: 竜太郎


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見慣れた背中

御園と榊は、これまでの事件の映像資料を一度だけ並べて確認した。犯人とみられる人物の輪郭が記録された場面は複数ある。いずれも同じ人物と判断できる特徴があったが、顔や身元を確定する情報は乏しかった。御園は画像を拡大しても、見えないものを勝手に補わないよう自分に言い聞かせた。


榊は現場ごとの距離や移動手段を比較した。事件の場所は都市部にも地方にも及び、被害者の生活圏に規則性は見つからない。共通しているのは、久世による治療を受けたことと、心臓に杭を打たれたという事実だけだ。抵抗した形跡がないことも一致する。捜査員たちは何度も似た表を作り直してきた。


県警の捜査員は遠方から来たため、帰りの列車まで一時間ほど余裕があった。御園は食堂へ案内し、地域ごとの捜査で困っている点を聞いた。地形も交通も違う土地で、同じ犯人を追うことの難しさが語られた。御園は資料の共有方法を見直す約束をした。組織の名前が違っても、被害者の家族が求めているのは同じことだった。事件を止めてほしいという、切実な願いである。


事件を担当した別の県警の捜査員が資料を持ってきた。被害者は退院後、地方の町で静かに暮らしていた女性だった。亡くなる数日前には、孫の進学祝いを買っている。御園はその日の領収書を見た。小さな文房具店の名前が印刷されていた。「あの店にも聞きに行きましょう」。榊は頷き、出張の手続きを始めた。


夜、御園は一人で映像を止めた。画面には街灯の下を歩く人々が映っている。怖かったのは犯人の姿だけではない。そのすぐ隣を誰も気づかず通り過ぎていたことだった。御園は端末を閉じ、翌朝の聞き込み先を地図へ書き込んだ。街には明日も同じように人が歩く。その中へ、また出ていかなければならなかった。

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