↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
治せます。ただし、あなたは一年以内に殺されます。――脳外科医・久世朔の診察室  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
106/228

屋台の並ぶ通り

秋の催しの朝、商店街には色とりどりの旗が並んだ。三橋は妻と早く店へ来て、弁当の容器を台車へ積んだ。会場までは近いが、温度管理を確かめながら運ぶ必要がある。隣の店主が搬入を手伝い、二人は礼を言った。通りにはまだ客が少なく、準備する人の足音だけが響いていた。


店を開く時刻になると、家族連れが少しずつ集まり始めた。三橋は前もって決めた数だけ料理を並べ、妻が会計を担当した。顔なじみの客が「久しぶりだね」と声をかけ、初めて来た人は味を尋ねた。三橋は一人ずつ応じ、病気のことではなく料理の説明をした。そのやりとりが楽しかった。


昼を過ぎ、弁当が予想より早く売れた。追加で作るか迷ったが、材料と管理の都合を考え、その日は予定どおり終えることにした。常連が残念そうな顔をすると、三橋は次は食堂へ来てほしいと伝えた。無理をして数を増やすより、明日も店を開ける方が大切だった。


途中で箸が足りなくなり、妻は予備の箱を取り出した。三橋は手を止めず、客が待つ間に次の弁当を並べた。二人が事前に確認した小さな準備が役に立った。


隣では小さな子どもが輪投げに挑戦し、景品を取って喜んでいた。三橋は休憩の合間に眺め、昔自分も息子を連れて来たことを思い出した。病気の間はこうした賑わいから遠ざかっていた。今日ここに立てたことが嬉しい。同時に来年も同じ場所に立てるかという不安は、胸の奥から消えなかった。


片づけが終わるころ、妻は売上げを数え、三橋へ結果を見せた。大きな利益ではないが、二人で立てた計画どおりだった。三橋は笑い、余った袋を折り畳んだ。商店街の灯がつき始め、客の声が遠くなる。明日のために食堂の鍵を確かめ、二人は台車を押して帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。