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ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
1章 龍の巣編

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7話 キラープラント

それから3日ほどは特に魔物の襲撃も無く、快適とは言えないがのんびりと馬車の旅を満喫した。

何故快適といえないかというと、森に入ってからは馬車の揺れが激しすぎてお尻がひじょ~に痛い!!

座り方を変えても寝てもがたがた激しく揺れるのでどうしようもない。


龍の牙の皆は慣れているようで、平気な顔をしていた。

アレクやガイは荷台で寝ているし、マリアに至っては御者をしつつ、片手で本を読んでいるほどだ。

エレナは斥候らしくまじめに周辺の気配を警戒してくれている。

と思ったらうとうとしてる!

まぁきっと大丈夫なんだと思いたい。


そんなのんびりとした雰囲気を急に立ち上がったエレナがかき消した。


「前方で戦闘音が聞こえる!距離は多分500mくらい!」


「スズヤさん。どうしますか?やり過ごすことも可能ですが」


マリアは確認を取ってきた。

あくまでも龍の牙は俺の護衛であり、他の人を助けるのは依頼内容に反するということだろう。

それでも。

俺は近くで困ってる人が居て助けられるなら見過ごしたくない。


「すみません。皆さんにとっては迷惑な話かもしれませんが、出来れば助けてあげてもらえますか?」


「はんっ!ここは俺らの故郷だぜ?故郷で困ってるやつがいて助けるのに迷惑とかあるかよ!」


「そうそう!」


「急ぐぞ!マリア!馬を飛ばしてくれ!」


「任せてください!皆さん飛ばしますよ!」


マリアが手綱を振るい一気に馬車の速度を上げた。

もう揺れとかどうこうのレベルじゃなく、どこかにしがみ付いていなければ馬車から放り出されそうな勢いだ。




「見えてきました!あれは!」


マリアが叫び馬車の速度を緩めると、前方に横転した馬車と植物に巻き付かれた3人の人の姿が。


「キラープラントか!厄介な!エレナ!救助を頼む!俺とガイでキラープラントを叩く!マリアはスズヤさんの護衛を!」


「「「了解」」」



巨大な緑の触手のようなものがうねうねとしつつ、先に飛び出していったアレクとガイを牽制し攻撃を阻もうとしている。


「ちっ!こんなデカイキラープラント初めて見たぞ!本体はどこだ!?」


触手のようなツタを大剣で薙ぎ払いつつ、アレクは周囲を確認する。

次々と迫りくるツタの攻撃をガイが大盾で完全に防ぎ、抑えたツタをアレクが次々と切り刻んでゆく。

二人に注意が向いているのか、3人の人を掴んでいたツタの周囲にあったツタもほとんどなくなっていた。


「いまだ!エレナ!」


「まかせて!!」


近くの木の枝の上で待機していたエレナが一気に飛び出し、まずは囚われていた女性を助け出し馬車に戻ってきた。


「マリア!お願い!」


「まかせてください。ライトヒール」


ぐったりしていた女性の顔色が徐々に良くなっていく。

回復魔法って奴か。

すごいな。


「よかった。左腕と肋骨を数か所骨折しているようですが、命に別状はなさそうですね」


「エレナ。残りの二人もお願いします」


「あいあい!任されましたー!」


すぐさま馬車を飛び出し残り二人を拘束していたツタを器用にナイフで切り裂いてゆく。

救助された二人の男は大した怪我もなさそうで直ぐにエレナに礼を言う。


「た、たすかった」


「すまない」


「君たちはあの馬車の護衛の傭兵かな?歩けそ?」


「ああ、腕はやられちまったが骨に異常はないし、歩くのは問題ない」


「俺も、大丈夫だ。自力で歩ける」


「んじゃあの馬車まで下がって回復を受けてね。私は攻撃に回るから!」


「ああ、恩に着る」


「助かる!」



エレナはアレクの元へ向かい、ツタの処理に加わる。


「アレク!ガイ!救助は終わったよ!」


「おう!あとは本体を始末するだけだな!とはいってもツタの数が多すぎるんだよな」


「本体どこ!?」


「うーむ……」


アレク、ガイ、エレナの3人は次々と迫りくるツタをひたすら処理し続けていた。



馬車の方はというと、エレナに救出されて馬車まで自力でたどり着いた2人をライトヒールで癒し休ませると、マリアは馬車の前に立ち短杖を構え、俺と救助された3人をツタの攻撃から守るために護衛に徹する構えを見せた。


本当はアレクたちの元に向かいたいんだろうけど、俺ら足手まといが居たんじゃこうするしかないよな。

何もできない自分がもどかしい。


そうだ!【ふるさと納税】のリストに何かないかな。

タブを色々切り替えつつ、リストを次々とスクロールして何かないか漁っていく。


その中に役立ちそうなものを見つけた。

刃渡り20センチ弱の万能収穫鎌と剣鉈だ。

そして救助済みの傭兵二人に声をかける。


「お二人はナイフのような刃物は扱えますか?」


「あ、ああ。俺は元々斥候だからナイフがあれば身を守るくらいは何とか」


「俺は短い獲物は得意じゃないが、なにも無いよりはマシだな」


それなら。

リストにあったクマ対策の軽量防犯シールドをタップ。


そしてそれらを二人に渡す。


「斥候の方にはこの万能収穫鎌を2本。あなたにはこちらの盾と剣鉈を」


「なんだこのナイフ!?見るからに業物じゃないか!?」


「この透明の盾も薄いのに恐ろしく強度があるぞ!一体何で出来ているんだ!?」


説明が難しいです!!

そういうものだと思って今は納得してください。


「まぁまぁ。これらがあればこの馬車を守るくらいなら何とかなりそうですか?」


「ああ、君と依頼主くらいなら俺らで守れる」


「ってわけでマリアさん。アレクさんのところに合流してあの魔物を倒してきてください!」


「ですが……」


「さっきは不意打ちを食らって拘束されたが、これでも王都ではそれなりに名の通ったCランク傭兵『緑の目』だ。こっちは任せてくれ。アンタらに助けられた命だ。この二人は俺らが命を張ってでも守り抜いて見せる」


「ああ!こんな業物があればツタの攻撃を打ち払うくらい問題ない!」


「わかりました!決して無理だけはしないようにしてくださいね!」


マリアはそう告げるとすぐさまアレクたちの元へ向かっていった。

これで向こうは押せるようになるはず。

それで早く倒せるなら……。


しかし、キラープラントもただやられるだけではない。当然あちらが苦しくなったので、こちらにツタの攻撃を向けてくる。

しかし、斥候傭兵の攻撃でいともたやすくツタは切り裂かれた。

攻撃した本人まで何故か驚いている。


「なぁっ!?何だこのナイフの切れ味は!?あり得ないだろう!?ほんとに鉄のナイフか!?切った感触すらなかったぞ!?」


「この盾もどうなってる……。とても軽いのに衝撃まで吸収するかのようにツタ攻撃の重さをあまり感じないのだが……」


んーーーー?

何その不穏な感想。

もしかして……。

不安になり、二人に渡した装備を鑑定してみる。




・万能収穫鎌  5千円


攻撃力+10


収穫時の負担を大幅に軽減することができる刃渡り18cmの鎌です。


野菜の収穫、お庭の手入れに。


【切れ味倍化】

【植物特攻】(対植物倍率2倍)




・軽量防犯シールド 11万円


防御力+110


軽量で安全安心のポリカーボネート製。


いざという時、身を守るための実用シールド。

約2.6kgのしっかりとした重さが、構えた際の安定感と踏ん張りを生み、衝撃を受け止めやすい防御性に繋がります。

軽すぎないことで風や動きに振られにくく、熊対策や防犯など、相手との距離を保ちながら身を守る場面で信頼できる設計です。


熊などの野生動物への備え、防犯対策、地域活動や屋外作業時の安全確保に。



【衝撃吸収】

【危機回避】




・狩猟剣鉈 5万5千円


攻撃力+50


日本刀の製造工程を模し、鉄を叩いて仕上げた一点もの。

職人が1つ1つ丹精込めて鍛え上げた刃。


【切れ味倍化】

【獣特効】(対獣倍率2倍)





なんか特効とか衝撃吸収とか不穏なオプションが生えてる……。

すみません。あとで回収させていただきます。

さすがに不穏すぎる。


こちらを狙って伸びてくるツタは二人が嬉々とした様子でサクサクと処理してくれているので俺は意識を失ったままの女性を何とかするために再びリストに目を向ける。


鞄といい鎌といい、日用品などを買うと不穏なおまけがつくというのであれば。

医療系アイテムを購入したらもしかして……。

試しに低周波治療器を購入。

そして鑑定。



・低周波治療器 3万7千円


たたく、もむ、おすの三種のモード搭載。


【治癒速度促進】

【自己治癒力上昇】


これだ!


さっそく骨折して寝ている女性の腕にパッドをペタペタ張って。

スイッチオン。


すると見る見るうちに完全に骨折していた腕が治っていく。


うん。これはとんでもない。

傭兵の二人は鎌や鉈の切れ味を実感し、楽しくなってツタに夢中でこちらを見てないから助かったけど。

これは絶対表に出せないな。


有能な武器以上に、回復促進機能とかを世に出すと大騒ぎになりそう。


とりあえず腕は治ったぽいので次は肩とわき腹にペタペタ。

スイッチオン。

これで肋骨の骨折も治るといいけど。


本人が気絶してて機器に気付かないのが幸いだな。

さて、ツタの攻撃頻度がかなり減ってきたけど、アレクたちの方はどうなったかな?




その頃、アレクたちにはマリアが合流し、一気に攻勢に転じていた。

ガイが最前列で守り、アレクとエレナ二人で一気にツタを切り裂きつつ、横から来る攻撃はマリアが魔法で守りを展開しカバーすることでどんどんツタのおおもとに向かっていた。

そしてついに森の中でキラープラントの本体を発見する。


「やっと見つけたぜ!本体の場所さえわかればこっちのもんだ。ちまちまと地味な攻撃を続けやがって!!」


「まったく。キラープラントは陰湿で面倒だからきらい!」


「はいはい。植物相手に愚痴ってどうするの。さっさと処理してスズヤさんのところに戻りましょう」


「うむ。防御は任せろ!!」


キラープラントの球根のような本体は当然それほど頑丈ではないため、龍の牙の怒れる前衛二人の前ではなすすべがなく蹂躙されることとなった。




そして馬車ではツタの攻撃が落ち着いたので傭兵に気が付かれないように低周波治療器のパッドを剥がそうと後ろを振り返ると。

女性は目を覚まして低周波治療器から感じる不思議な感覚に戸惑いつつも、体が急速に治癒していくのを感じ嬉々とした表情を見せていた。


「素晴らしい!くふぅ!この魔道具は、くぅっ!一体何なんですか!?くうっ!」


いや、治ったなら止めるから無理やりしゃべろうとしなくていいから……。

面白い声出てるぞ。


「怪我が完治したならもういいな」


そういって肩とわき腹に貼っていたパッドを剥がし、そそくさと鞄にしまう。


すると女性はとても残念そうな顔をして、餌をねだる子犬のような顔でこちらを見つめてきた。

くっ!そんな顔で見つめるな!!


「だ、ダメなものはダメ!治療してやっただけ感謝してくれ」


俺は勢いで何とかごり押しした。

するとなんとか納得してくれたらしく女性は感謝を述べてきた。


「はい!それはもう本当に感謝です!緑の目のお二人もありがとうございます」


「いや、俺ら護衛が下手こいたせいであんたを危険な目に遭わせてしまって申し訳ねぇ」


「依頼料は要らない。今回は龍の牙と彼の機転に助けられた」


「いえいえ。緑の目のお二人が居なければ、私は今頃生きてませんから。依頼は達成と報告させていただきます」


「でもそれは……」


「さて?傭兵ギルドは依頼人と傭兵どちらの言を信じるでしょう。護衛依頼を出した依頼人が達成と認めた案件を受注者が失敗したと伝えたところで聞き入れられますでしょうか?」


「……わかった。では次に護衛依頼を出すことがあれば、俺らに声をかけてくれ。指名依頼でも定額で請け負おう」


「ふふ。ありがとうございます♪」


女性の方が一枚上手で、恩の売り合いは話が付いたところで、向こうの方から龍の牙の面々が戻ってきた。


「おーい!キラープラントは始末してきたぞー!」


「あー、久々に疲れたぁ~。はやくスズヤさんのご飯が食べたい~」


「ふふっ。確かに適度な運動の後にスズヤさんの作る料理を食べたらさぞ絶品でしょうね♪」


「うむ」


「では少し早いですが、夕飯の支度にしますか。三人も良ければいかがですか?」


「私たちもご一緒してよろしいのですか?」


「もちろん。ご飯は大勢で食べたほうが美味しいでしょ」


「ではご相伴にあずからせていただきます!」



その後、アレクとガイ、それに緑の目の二人で横転した馬車を元に戻し、女性は積み荷の検品を進めていた。

エレナは周囲の警戒。

マリアは俺の手伝いで夕飯つくりのお手伝いだ。

お手伝いといってもテーブルやお皿の用意、あとは火起こしなど、言ってしまえば雑用である。

一度マリアに料理を手伝ってもらったが、まさかこんな出来る女風の美女が全く料理が出来ないなんて……。

いや、あの日のことは忘れよう。


何を作っているかって?

今日は日本人なら嫌いな人がほとんどいないカレーだ!

といってもルーを見つけられなかったので、今回は【ふるさと納税】で購入した御当地レトルトカレーを開封して鍋に入れて温めるだけなんだけども。

たまには楽をしてもいいじゃない!

ご飯も釜や炊飯器が無いのでレトルトのものを大鍋のお湯で温めている。

遠方で手に入れた保存食とでも言えばバレないだろう。


そして今日は特別サービスとしてデザートでリンゴとミカン。そして酒も解禁!


ライスとカレーをさらによそって。

さて、皆にいきわたったかな?


「皆さん今日はお疲れ様でした!今日はねぎらいの意味を込めて特別にデザートとお酒も用意してます!流石に魔物の警戒もあると思うので1本だけですが」


「酒は確かにほしいけど、酒が無くてもこのとんでもなく食欲をそそる食いもんが今は直ぐ食べたい!!」


「わたしも!!」


「ふふふっ。私はデザートも気になりますね♪」


「今日も食事の用意感謝する」


「わ、わたしこんな香しい匂いの料理初めてです!!」


「俺も……」


「ああ。この匂いたまらんな……」


「それでは皆さん。かんぱーい!」


「「「「「カンパーイ!」」」」」


7人全員、一口カレーを口にした瞬間固まってしまった。

もしかしてこの世界の人じゃ食べれないスパイスとか入ってた!?


「みんな!大丈夫!?」


「「「「「「うまあああ」」」」」」


皆カレーの味に衝撃を受け固まっているだけだったらしい。


「こんなうまい飯まだ隠してたのかよ!?」


いや別に隠してたわけじゃないよ?ルーが見つからなくてね。


「スズヤさんお店開いて!一生のおねがい!!」


エレナさん?それ絶対何回も使う系の一生の願いだよね?


「はぁ~♪カレーも美味しいですけど、この果物も最高です♪」


「食事も果物も酒も最高だ」


そういえば知恵の実とかって言ってたっけか。

あっ!出す前に鑑定しようと思って忘れてた。

もうみんな食べてるけど一応鑑定っと。




・知恵の実(林檎)


異界の果物。

美しい赤い実は禁断の果実ともいわれている。


【魔力上昇・永続】+1

【寿命延長・永続】+1



まってまってまって!

なんかメッチャやばいこと書かれてる!!

永続って何!?上昇した能力が永続で続くの!?

寿命延長+1ってなに!?一時間!?一日!?まさかの一年!?

怖いんだけど!?

……暫く果物は封印しようかな。


手に持った皿を呆然と見つめていると。背後から誰かがカットした林檎をひと切れ奪っていった。

今日はもう出しちゃったからいいけど、あまり食べさせると怖いんだよなぁ。


「別に取らなくてもまだ残ってるからね?こんなことするのはエレナさんかアレクさん?」


そういって正面を見るとアレクもエレナも前にいた。

あれ?ってことはマリアさん?まさか会ったばかりの3人ってことはないだろうし。

ざっと見渡すと正面にいる人数は7人。

あれ?全員いる?

それに全員の顔が青ざめ、よく見ると小刻みに震えているし、エレナは口をパクパクさせている。


いやいやいや。冗談は止めてくれよ……。

ゆっくりと後ろを振り向く。


するとそこには綺麗な緑色の髪をした少女が、笑みを浮かべつつ林檎を頬張っていた。


……誰?






所持金 金貨323枚 銀貨7枚 赤銅貨4枚 青銅貨2枚





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