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ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
2章 新都市開発編

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57話 初めての実戦

街に戻った俺らは早速トルネを誘って夕食にした。


もちろん今日の主役食材はラーヴァピスキスの魚肉。

塩焼き、アクアパッツァ、ムニエル、刺身を用意。

そして白ワインと日本酒、ビールも大人たちには振舞った。


久々に宴会で皆盛り上がるなかで、トルネだけは目を輝かせて違う意味で大騒ぎしていた。


トルネには何の肉かは教えなかったが。

口にした瞬間、その美味しさに驚愕し、「売れます!売り出しましょう!!どうして売らないんですか!!何の肉ですか!!」と俺が質問攻めにあったことは言うまでもないだろう。



その後、明日には全ての工事が概ね完了すると報告を受けた。


ボードゲーム大会まで残り10日。

余裕をもって建設が完了すると聞いて、ひとまず安心した。


というか最初は半年想定で、そこから栄養ドリンクの効果で1か月に短縮し、更にそこから10日短縮したのか……。

凄まじい速度だよね。

半径5km程の都市が1か月足らずで完成って。

数万人規模の作業員が本来必要なんじゃ?


クラリス嬢も明日から、温泉旅館の確認と完成した都市部の確認をして回るらしく、忙しくなるらしい。

俺は温泉以外はほぼノータッチだし、ボードゲーム大会もフランゼ商会の従業員たちが居るから、俺がもう動く必要はないし、また暇になってしまいそうだ。


龍の牙もクラリス嬢の護衛として完成した部分の確認に付いていくからシアとエルは暫く訓練はお休みだし、明日は二人のしたいことでも聞いてみるか。




翌朝。

シアとエルが起きて来たので朝食を取りながら何かやりたいことが無いか二人に確認してみる。


「シア。エル。何かやりたいこととか行きたい場所ある?」


「んー。魔物と戦ってみたい!」


「私も!」


あー……。

まぁ、そうだよね。

訓練してたんだから、自分の力がどこまで通じるか試してみたくなるか。


正直あんまり二人に危険なことはやらせたくはないんだけど、エン爺とライアも居るし、何とかなるかな?

俺はエン爺とライアの顔を見た。


二人は俺が何を言いたいのか察してくれたらしく、軽く頷いて返す。


「わかった。んじゃ魔物が居そうなところに行ってみるか」


「やったー!!」


「わーい!」



ちょっと、いや結構不安なので、出かける前にアレク達に二人の実力がどれほどかを確認しておいた。


「二人ならロックイーターくらいなら倒せるんじゃねぇか?」


「そうだねぇ~。流石に多対一とか一対一は厳しいと思うけど、二人がかりならアレクの言う通りロックイーターになら勝てると思う」


「エルちゃんは回復魔法はもちろん。既に攻撃魔法と防御魔法も使えますし、Cランクの魔物であれば何とななりますよ」


「うむ」


Cランクを二人がかりなら倒せる?

ロックイーターをほんとに倒せるの?

むむむむ!

二人はまだ子供だよ!?あんな危険な魔物と戦わせるなんて……。

うーん。


「ダメ……?」


「ダメなら我慢する……」


うっ!二人とも!その攻撃は俺に効きすぎるから反則!!


「わかった。ロックイーターを探してみよう」


俺がそう口にすると二人の顔がパァッと明るくなる。

しかし、俺はそのあとに続けてこう告げた。


「ただし!危険だと思ったら必ず逃げること。決して無理はしないこと。どんな状況でも命大事に。守れる?」


「うん!」


「約束する!」


「よし、んじゃ岩石地帯に行ってみようか。周囲の警戒をしつつも俺たちから離れ過ぎないように注意するんだよ」


「「はーい」」


うきうきしつつ温泉都市の北門へ向かう二人。

その後ろを付いて歩きながら、俺はこっそりライアに耳打ちする。


「ライア。いつものように周辺警戒をしつつも、出来る限り二人に任せてあげて」


「ん。わかった」



門を出て岩石地帯を火山の方向へ北東へ進んでいく。

流石に都市の近くは周辺警戒にあたっている警備の兵が居るので魔物の姿はない。

魔物を探そうとなると森まで戻るか、岩石地帯をかなり奥まで進む必要がある。


森の中は視界が悪いから岩石地帯を選んだけど、心配だなぁ……。


その後、2時間ほど歩いたが、一向に魔物の姿を発見できなかった。


「うー、見つからない……」


「なかなか居ないね……」


まぁこの地が解放されてからまだ日も浅いし、王都から稼ぎに出てきてる傭兵もこの辺りくらいまでなら来ているだろうしなぁ。

失敗したなぁ。こんなことなら森の中の方がよかったか?


そう思った時、ガラガラッ!と岩が崩れる音が微かに聞こえていた。


音がした方へ目を向けると1km程先、岩石地帯の中に土煙が舞い上がっている場所が見えた。

すぐさまライアの方を見た。

するとライアが背伸びして耳打ちして状況を教えてくれた。


「あそこで人と魔物、戦ってる」


先客か。

傭兵のルールとか知らないし、割って入っていいのだろうか。

横取りはルール違反とかいわれないか?

そんなことを考え俺が悩んでいると砂埃が薄れ、そこへストーンゴーレムの姿が現れた。

体がでかいストーンゴーレムだからこの距離でも用意に視認することが出来る。


それを見て、シアとエルは声を上げた。


「いこう!戦ってる気配がする!」


「襲われてる人が居るかも!」


そうだな。今は傭兵のルールとか気にしている場合じゃないな。


「よし。助太刀にいこうか。周囲の警戒を怠るなよ」




俺たちが現地に到着すると3人組の傭兵らしき人たちがストーンゴーレムと対峙していた。

そしてその傍には片足をやられたのか地面に倒れる男が一人。

彼らの仲間だろうか。


必死に交戦している3人は長剣、弓、ナイフで応戦しているが、全身が硬い岩でできたストーンゴーレムを相手にするには決め手に欠けているように見える。

その上、背後には重傷を負った仲間。

見るからに劣勢といった状況なのは俺の目にも明らかだ。


「シア、エル。いけるか?」


「うん」


「いける」


「絶対に無理は禁止。命大事に。無理だと思ったら撤退だよ」


二人は頷いた。


「エン爺とライアはギリギリまで手を出さないであげてね」


そう言った俺の様子を見てエン爺は眉を顰める。


「……スズヤ殿こそ手を出さぬようにな。まったく心配性の主だな」


エン爺の視線の先は俺が手に持って構えた正夫包丁へ向けられていた。


だって二人が心配じゃん!!

ストーンゴーレム4mくらいあるんだよ!?

俺は戦いはド素人だけど、二人に何かあったらッて思ったら!!


その時、シアの眼前でストーンゴーレムの拳が空を切った。

あっ!危ない!シア!


咄嗟に二人の元へ向かおうとする俺だったが、隣にある岩の上から二人を見ていたライアが振り返って、今にも飛びだそうとする俺の頭をポンと叩いた。


「主様。落ち着いて。二人強いから平気」


「ふぅ……。ありがとう2人とも。ちょっと落ち着いた」


その後、冷静さを取り戻した俺は二人のことを信じてじっと状況を見守った。


シアは獣人の高い身体能力を生かして素早い動きでストーンゴーレムの攻撃を誘導して自分に引きつけ、その間にエルが負傷した傭兵らしき男の治療を試みていた。


「子供!?なんでこんなところに!危険だ!今すぐ逃げるんだ!!」


片足が潰れた男はエルを見て直ぐに逃げろと叫んだ。

しかしエルは両ひざを地面に付き、男の傍に座り告げる。


「あの子がストーンゴーレムの攻撃を引き付けてくれている間に、あなたの怪我は私が治します!ハイヒール!」


「なっ!?その年で中級魔法を!?」


エルが魔法を発動させると男の足は徐々に治癒をはじめる。

だが完全に潰された足はエルのハイヒールをもってしても直ぐ完治するまでには至らなかった。


エルはそのまま目を閉じて魔法の制御に集中し始めた。


しかし、エルが男を魔法で治療し始めたことに気が付いたストーンゴーレムが標的をシアからエルに変更してエルに向かって歩き始めた。


それを見て長剣を持った傭兵が大声で叫んだ。


「嬢ちゃんお前だけでも逃げろ!!」


だがエルは目を閉じたまま魔法に集中したまま動かない。


「お願い逃げて!私たちのことならいいから!!」


ナイフを持った女性は今度は叫ぶ。


しかしエルはまだ動く気配がない。


そしてエルに攻撃が届きそうな位置までストーンゴーレムが移動したその時、弓を構えていた傭兵の女がストーンゴーレムの後頭部に矢を放つ。

カツン。と音を立て、ストーンゴーレムに当たった矢は空しく落ちてゆく。


「くそ!やっぱあたしの矢じゃ通らないわ!バル!その少女を連れて意地でも逃げて!!」


その声を受けて、エルの治療を受けていた男はまだ治りきれてない足を無視して立ち上がろうとする。


その直後、ストーンゴーレムは左の拳を高く振り上げる。


傭兵たちと俺はその様子を見て青ざめる。

俺はエン爺とライアにエルを助けに行くようにいうが、二人とも問題ないという。


そしてストーンゴーレムが左拳を叩きつけようとしたその時、キィン!という高い音が響き、ストーンゴーレムが振り上げていた左腕が胴体から切り離されてズゥゥゥン!と大きな音を立てて崩れ落ちた。


シアだった。

エルを狙って隙だらけとなったストーンゴーレムの左腕を背後から大剣で切り裂いたのだ。


「エル!まだ!?」


「ええ、もう終わります!はぁぁぁ!」


集中して高めていた魔力を注ぎこむと男の足の治癒が完了した。


「マジかよ……。ありがとな。助かったぜ。だけどここは俺らに――」


足が完治したことに感謝し、この場を引き受けようとした男だったが、エルがその言葉を遮った。


「いえ、任せてください!いくよ!シア!」


「うん!」


そこからは一方的だった。


シアは周りを気にせず戦えるようになり、大剣を派手に振り回してストーンゴーレムの体を刻んでいき、エルは防御魔法でシアを守りながら、ホーリージャベリンを頭上に用意した。


「シア!どいて!」


「おっけー!」


「ホーリージャベリン!!いけええ!」


マリアのホーリージャベリンには劣るが、2mほどの巨大な光の槍がストーンゴーレムの胸元に向けて放たれた。


放たれた光の槍はストーンゴーレムの胸に突き刺さり、光を収束させて爆発し、ストーンゴーレムの体はバラバラに崩れ去った。


シアはエルの元に行くと片手をあげた。

エルもそれに応じて二人はハイタッチを交わした。


「「いえーい!」」


その様子を一部始終見ていた傭兵の4人は呆然としていた。



その後、俺たちも現場に向かい、事情を説明した。

二人の初の実戦を経験させるために陰で見守っていたので危険はなかったこと。

二人は龍の牙の指導を受けているので並みの新人レベルではないこと。


それを聞いた傭兵の4人は若干顔を引きつらせながら「ストーンゴーレムが初の実戦とかスパルタすぎるだろう……」ドン引きしていたが。


最終的に実際に見た二人の力の凄さと龍の牙の弟子なら当然かと納得し、シアとエルに礼を言って去っていった。



「二人ともよくやった!俺はめっちゃ心配したんだぞー!!!」


俺は歓喜余って二人に抱き着いた。


「わっ!苦しいスズヤ!!」


「ふふ。スズヤさん心配性だね」


「まったく、我が主は親ばかで心配性だな」


「ん。ほんと」


少し休憩しつつしつこく確認したが二人は特に問題ないとのことだったので、二人の初の実戦は無事事なきを得て、俺たちは温泉都市へ戻った。


龍の牙やトルネ、クラリスにも二人の初の実戦の報告をして、俺の親ばか認定レベルがまた一つ上昇した。





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