↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
2章 新都市開発編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/71

53話 自由を謳歌する者と苦悩する者

王都のエクレール公爵邸に置かせてもらっているトレーラーハウスで、シアとエルの訓練の様子を眺めたり、ボードゲームで遊んだりといったのんびりとした日々を過ごしていると、トルネから連絡が入った。


『スズヤさん!クラリス様が用意してくださった従業員の方々が到着したので、温泉施設の営業のついて指導を始めようと思うのですが、私の方で全てを采配してよろしいのでしょうか?温泉について詳しいスズヤさんの意見も取り入れた方がいいかな?と思っているのですが』


「そうだね。施設の営業や采配に関してはトルネさんの方が放浪商人の俺より詳しいだろうし一任するよ。そろそろ温泉施設も完成する頃だろうし、一度確認もしたいし、今日にでもこちらを立って俺もそっちに向かうね」


『了解です!ではそれまではフランゼ商会の従業員と私で新たに受け入れる従業員の教育を行っておきますね!ではまた!』



さて。そろそろ温泉も完成するようだし、ボードゲームの開催も迫ってるし俺の仕事は大詰めかな?

温泉いいなぁって感じで半分ノリで引き受けた話だったけど。

周りのみんなが有能過ぎて俺がほとんど何もしてなくてもどんどん進んで助かった。

ほんとに俺は案を出しただけなんだけどいいのかな……?

あ、一応源泉を掘ったか。

あれも俺の手柄というよりエン爺の手柄だけども。


とりあえずクラリス嬢に報告しに行くか。


俺はトレーラーハウスを出てクラリスの部屋に向かった。

すると部屋の前に着くと、何故か部屋の前にはアレクが居た。


「アレクさんが昼間にここにいるのは珍しいね。庭の警備はしなくていいの?」


「ああ、ちょっとその件でクラリス様に報告があってな」


そう言ったアレクの顔は何だか微妙な表情をしている。


クラリスの執務室のドアが開き、部屋から出てきたヴァンスが龍の牙と俺を部屋に招きいれた。


「あら。アレクさん。どうなさいましたか?」


「実は――」


アレクの話を聞くと、数日前から屋敷の周辺でうろついている不審な人の姿を目撃していたが、門の前までくることもなく貴族街の通路をうろうろしていたのであまり気に留めていなかったらしい。

しかし、今日は明らかに貴族といった格好の男が遂に門にやってきてこう告げてきたそうだ。


「エクレール公爵家の人間を出せ!!」と。


それだけでは意味が分からないので門兵が男を追い返そうとすると男は「私はヘイゼル侯爵だぞ!門兵ごときが私に指図するな!」と言ったのだそう。


その報告を聞いたクラリスの顔は真剣だった。


「ヘイゼル侯爵が何故我が家に?グエル商会やライナー殿下とつながりがあるというのは知っておりましたけれど、我が家にヘイゼル侯爵がやってきた意図が理解できませんね」


「エクレール公爵家は新領地を得て、更に温泉都市という目新しい都市を開発しているから、落ち目のヘイゼル侯爵が嫉妬しているだけじゃないですか?いちおう侯爵ですし、何かあったらまずいと思って報告に来た次第です」


「彼は小悪党ですがバカではありません。そんな嫉妬で我が屋敷を訪れるとは思えません。何か明確な意図があるように思えるのですが……」


クラリスは難しい顔で考え込む。

しかし直ぐに表情を変え口を開いた。


「ヘイゼル侯爵が何を思って訪ねて来たのかはわかりませんが、我が家には彼に時間を割く理由もありませんし一旦忘れましょう。アレクさん」


「はい」


「ヘイゼル侯爵が訪ねてきても決して屋敷に入れないように門兵にも伝えておいてください。それと私は今日から不在になりますので、何かあったときの対応はヴァンスに任せますのでそのように」


「えっ!?どこかに向かうのか?」


「ええ。ヘイゼル侯爵が何を考えているのかわかりませんが、彼は狡猾な方です。何かを仕掛けてくる可能性があるのであれば、言い逃れができない理由を並べられて屋敷を訪問されると後手に回りかねません。エクレール公爵家の者が不在であれば追い返す理由としては十分。丁度温泉都市の完成も迫り、こちらでやるべきこともほとんどなくなりましたので、代官としてこれから治める都市に赴こうと思います」


「了解しました。龍の牙は護衛として同行させていただきます」


「ヴァンス。留守の間、屋敷のことは頼みますね」


「畏まりました」


「スズヤさんはどうされますか?」


「先ほどトルネさんから温泉の従業員に営業指導をしてほしいと頼まれまして、今日にもあちらへ向かう予定でした」


「では丁度いいので一緒に向かいましょうか。ヴァンス。馬車の用意を頼めますか?」


「はい。すぐに手配してまいります。御者は必要でしょうか?」


「いや、龍の牙が御者も受け持つから問題ないぞ。その方が護衛する対象も減って危険も減るしな」


「畏まりました」


ヴァンスは部屋を出ていった。


「んじゃ俺もトレーラーハウスを片付けて持って行けるようにしてくるよ。エン爺とライアにも事情を伝えないとだしね」


「だったら俺が嬢ちゃんらには伝えとくぜ」


アレクにシアとエルへの連絡を任せ、トレーラーハウスに戻りエン爺とライアに直ぐにでも立つことになったと伝え、外に出てもらいトレーラーハウスを収納した。


そして屋敷の表に向かうと既に皆は待機しており、ヴァンスさんが馬車も2台用意してくれていた。


「では参りましょうか」


「あれ?クラリス嬢?使用人や従者は連れていかないんですか?」


「ええ、問題ありません。というより、旅程でトレーラーハウスを使うのであれば連れていかない方がスズヤさんは助かるかなと」


あっ。はい。

トレーラーハウスに寝泊まりする気満々なのね。

いつも内部を興味津々にみていたもんね。

だから使用人を敢えて連れていかないと。

俺の秘密を広めないためっていうのを口実にして、更に一人で自由になるために?

あれ?この状況を利用して楽しもうとしてない?

やっぱクラリス嬢めっちゃ強か!!

この子怖い!



その後、俺たちは王都を離れ新都市へ向かう道中で女性陣と男性陣に分かれ馬車の旅を楽しんだ。

夜はもちろんちょっと道から逸れた森の中にトレーラーハウスを設置して宿泊。

夕食は簡単に冷凍弁当をレンジでチン!


寝る前はリバーシでミニボードゲーム大会を開いて盛り上がった。

優勝は意外なことにエル。

準優勝は本命のクラリス嬢だった。

3位はマリア、4位はガイだった。

俺?俺はエルに初戦敗退です。


ベッドルームは当然男女別で一室ずつ。

クラリス嬢はまるでお泊り会を楽しむ子女のように普段見せない笑みを浮かべて束の間の自由を満喫していた。




※  ※  ※



ヘイゼル侯爵は聖教会を訪れていた。


「チャールズ大司教。まだ教会はフリーゲル王国で行われた聖女召喚について確認が取れないのですか?」


少し苛立った様子でチャールズにそう問いかけるヘイゼル。


「それが、各地の教会支部と聖都ラヴェリアに確認を取ったところ。与太話を真に受けて国に言及した結果、誤報だった場合、教会が責任を問われかねないといわれまして。私も確証がない状況ではこれ以上は……」


「先日貴方は至急確認をすると申したではありませんか!!」


「私は至急各地の教会支部に確認すると言いました」


「私の予想が事実だった場合、ここで手をこまねいて確認が遅れてしまえば、責任を問われて困るのは貴方ですよ?チャールズ大司教」


「そう申されましても、いくら聖教会の支部を任されている立場とはいえ、私も証拠も無しに国相手に組織は動かせませんので……。せめてヘイゼル侯爵が予想が正しいと説明するような確証、例えば獄炎龍との繫がりがあると分かる決定的な証拠でも得られれば話は違うのですが」


そんな確証があれば聖教会など当てにせず私が直々に王に進言している!!

その証拠が得られぬから聖教会の力を頼っているのがわからないのか!!


くそっ!

何故信じてもらえないのだ!!

状況から鑑みても私の予想の確度は高いはずなのに!!

聖教会さえ動かせれば、エクレール公爵家を失墜に追い込めるというのに!!

こうなったらエクレール公爵家に張り付いてでも証拠を見つけてやるしかないか。

運よく証拠をつかむことが出来たとしても聖教会になど教えてやるものか!

私を信じなかったことを後悔させてやる。



それから何度も、証拠を掴むべく王都のエクレール公爵邸へ足を運ぶようになるヘイゼルだが、既にエクレール公爵家の者は屋敷に誰も居らず、先ほどまでいたはずの獄炎龍ことエン爺も皆と共に王都を去った後だった。





所持金 金貨228枚 銀貨4枚 黄銅貨7枚 青銅貨3枚



ここまでお読みいただきありがとうございます!

面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

誤字脱字等ありましたら、お気軽にご報告いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。