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ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
2章 新都市開発編

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52話 クラリスの計画

夕飯まで時間もあることだし、俺はマジックバッグに色んな物が溜まり始めたので整理を始めていた。


シアとエルは興味津々で俺の鞄から出てくるものを眺めていた。


「スズヤ!これ何ー?」


「それは冷却ベストだよ。そのベストを着てスイッチを押してみて」


「ひゃっ!?寒い!!」


シアは急に服の中に吹き荒れる冷風に驚いた。


「これは?」


「それは低周波治療器って言ってな。エル。使ってみるか?」


「うん!」


エルの両肩に低周波治療器のパッドを取りつけスイッチを入れる。


「ひゃぅっ!?肩が変な感じするぅ」


「揉みモードだな。肩を揉まれてるような感じがするだろ?」


「うん……。でもちょっと変な感じ……」


「これは張り付けたパッドに低周波――電気を流すことで治癒を促す物なんだよ。元気なエルには気持ち悪かったかな」



低周波治療器は治療に使えるからいいとしても、剣鉈とか万能鎌、火山対策の冷却グッズみたいな、もう出番があるか怪しい品も増えてきたなぁ。


調味料の類はまた使うだろうし、食材も使える。

ただ、不要だからといっても【ふるさと納税】で購入した物品はおいそれと処分出来ないのが問題だよなぁ。

クラリス嬢かトルネさんに、魔道具です!っていってプレゼントして管理してもらうとか?

あの二人なら有効活用してくれそうだけど。

いや、俺の管理を離れて何かトラブルが起きても怖いか。


鑑定スキルが変化したように、これらのアイテムも能力が変化しないとも限らないしな。

冷却ハンディファンのような明らかに鑑定以上の効果を持つものもあるし、その原因もわからないうちに人に色々渡すのは止めた方がいいか。

龍の牙には色々渡したけど、火山グッズだし、めったに使うことはないだろうからそれらは問題ないかな。


床に並べていたアイテムを全部マジックバッグに収納し、トレーラーハウスに備え付けの時計を見ると16時を回っていた。


「おっと。もうこんな時間か。シア。エル。俺は夕食の支度を始めるから、龍の牙とクラリス嬢に夕食を一緒にどうですかって声をかけてきてくれるか?」


「「はーい」」


二人は元気よく返事をしてトレーラーハウスを出ていった。


「さてと、仕込みを始めますか」


今日は3種の鍋を用意する予定だ。

1つは辛いのが平気であろう大人用に赤く辛い鍋。それとちゃんこ鍋、そして癖のない寄せ鍋だ。


鍋の素を2種【ふるさと納税】で購入。

あとは追加で牛肉、鳥肉、鳥つみれ、白身魚、豆腐、長ネギ、白滝、エノキ、シメジ、シイタケ、カニそして〆の生めん!

雑炊も好きだけど今日は〆に面を入れたい気分。

勿論ビールと日本酒、そしてライア用のフルーツも欠かさない。

豚肉とニンジン、白菜、海老は昼に多めに購入した残りがあるのでそれを使う。


野菜と肉を切り分け、大人用の鍋を2つと子供用鍋を1つ用意し、綺麗に見栄え良くなるように具材を鍋に並べていき、鍋の素を投入!

あとは火にかけて待つだけ。


鍋って簡単なのに美味しいから最高だよね。


鍋が出来るのを待っている間に日本酒を1本と大量のビール、そして林檎ジュースと麦茶をトレーラーハウスに備え付けの冷蔵庫で冷やしておく。

鍋食べると熱いから冷たい飲み物が欲しくなるしね。


そうこうしているうちにシアとエルが皆に声をかけて戻ってきた。


龍の牙の面々とクラリス、そしてヴァンスも一緒だ。


ダイニングテーブルだけじゃ席が足りないので、普段は折り畳み収納されているテーブルも取り出しテーブルに鍋を3つと、食べやすいように切り分けた果物の盛り合わせ並べる。


そして各自好きな飲み物を用意したところで俺は音頭を取る。


「常日頃からお世話になってる皆さんのために、日頃の慰労と感謝を込めて、今日は俺が美味しいと思う特製鍋を3種用意いたしました~!お肉に海鮮、野菜、好きな物を自由にとって食べてください」


蓋を開けると全員から歓声が上がる。


「「「「「「「「「おぉ~!」」」」」」」」」


「では好きな鍋の具材を好きにとって食べてください~。飲み物はあちらの冷蔵庫に入ってるのでおかわりは各自取りに行ってね。ではカンパーイ!」


「「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」」


クラリス嬢は流石に皆で鍋を囲む食事は初めての様子で、最初こそおろおろしていたが、皆が食べる様子を見て次第に好きにヴァンスの手も借りることなく自分で好きな物を取って食べられるようになって行った。


鍋の具材を争うように取り合うアレクとエレナ。

鍋はほどほどにして酒を楽しむエン爺、マリア、ガイ、ヴァンス。

迷いながら色々食べたいものを取って楽しそうにしているシア、エル。

鍋という大衆食を食べているというのに、食べ方や取り分け方も美しく様になっているクラリス。

鍋の野菜を取り皿に取り、野菜が冷めるまで待っている間に果物を頬張るライア。


皆楽しそうで何よりだ。


いつも頑張ってくれてるトルネさんにも今度何か御馳走してあげないとね。

あの人放っておくと携帯食で全て済ませかねないしな……。




※  ※  ※




「くしゅん!」


携帯食の堅いパンを齧りつつ、帳簿と向かい合っているトルネはくしゃみをした。


「ふぅ、風邪ですかね?それにしても凄まじいです。全ての建設が通常のおよそ8倍の速さで進んでいます……。作業員の方との契約は日当制になっているので、フランゼ商会の利益率が異常です……。これほど利益があっていいのでしょうか……」


帳簿を見てかつてないほどの利益を得ていることを数字で見て、怖くなって震えるトルネだった。


「都市開発で支払われている費用は半分は王家から、もう半分はエクレール公爵系家から出ているんですよね?……私が経費をちょろまかして横領したと思われたりしませんよね?」


誠実な商売を進めて来たはずなのに、スズヤの栄養ドリンクを配布するようになってからすべてが加速し狂ってしまってから日に日に増えていく数字を見て恐怖を感じた。


そして机の上に置かれている1本の栄養ドリンクを手に取って眺め呟いた。


「このドリンクの出所っていったい何処なのでしょうか……」




※  ※  ※





エクレール公爵領の領都フランシルにて。


エクレール公爵と長男のディルはクラリスから届いた手紙を確認していた。


「ディル。どう思うかい?」


「彼を懲らしめるにはいいかもしれませんね。クラリスがこれほど強かな計画を考えるとは意外でした」


「いや、これやスズヤ殿の入れ知恵じゃないかな?彼は人が思いつかない答えを導き出すことに長けているようだしね」


「なるほど。では私たちもクラリスの計画に乗って動きましょう。当日はどのように対応しますか?」


「ふむ。ではこうしよう――」


エクレール公爵はディルに作戦を提案した。


「なるほど。流石父上。面白そうです」


二人は顔を見合わせて悪い顔で笑みを浮かべた。




「クラリスの件はこれでよさそうだね。それで、ディル。例の件は調べがついたのかい?」


「ええ、潜伏していた間者を捕縛して尋問したところ口を割りました」


「ということはこれで全ての用意が整いましたね」


「ええ。スズヤさんがこの国に来てから、これまで水面下でしか動いてこなかった者たちが何故か焦りを見せるようになって助かりますね」


「そうだね」


「スズヤさんは人当りも良く、クラリスとも良好な関係を築いておりますし、我々でさえ知らぬ知識を披露することがあります。その上、獄炎龍を従えていたり様々な魔道具を有しているようですけれど、父上はスズヤさんが何者なのか御存じなのですか?」


「いや。知らないよ。多分、彼も私には教えてくれるつもりはないんじゃないかな」


彼は自覚がないようだけれども。

彼に本当のことを言うつもりが無いのであれば、私は彼の想いを尊重しよう。


多くなことを成す過程で、名を伏せる癖があるから、悪事を働こうとしている者たちを焙りだすのに一躍買ってくれて本当に助かるしね。

隠すつもりがあるんだかないんだか、商人らしいことをしているのは見たことが無いし、傭兵らしさもまるでない。

それでいて彼の周りには不思議と人が集まり、大きな流れを作っているように思える。

不思議な魔道具を所有していることといい、本当に彼は何者なんだろうね。


いつか本人の口から聞けたらいいのだけれど、彼は権力を持つ者や力在るものを避けたり、目立つのを極力避けているから私には教えてくれないかな。

それまではそっとしておいてあげようかな。


ふふっ。クラリスと引き合わせたのは正解だったかな。


「スズヤ殿は信用できる。そう思ったから協力を仰いだまでだよ。今後も彼とは良縁を維持したいものだね」






所持金 金貨233枚 銀貨7枚 黄銅貨7枚 青銅貨3枚



ここまで一気に読んでくださった方、ありがとうございます!

本日より、更新ペースを1日1話に変更いたします。

今後も丁寧にお届けしていきますので、気長にお付き合いいただけますと幸いです。

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