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ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
2章 新都市開発編

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49話 足湯完成

源泉を流す予定の水路の引き込みも完了し、夕方日が暮れる頃には湯畑も何とか完成。


そして遂に街に温泉を引き込む瞬間がやってきた。


俺とライアは湯柱には熱くて近づけないので、源泉を水路に流す最後の掘削はエン爺に現地に単身で向かってもらい、俺らは湯畑に湯が流れてくる瞬間を見守った。


エン爺が源泉の場所まで向かってから、待つこと数十分。

早くも水路に流れるお湯が見えてきた。


エン爺もうたどり着いて掘削を終えたの!?

ってか水路を伝う湯を追い抜いて猛スピードで戻って来てる!!


「終わったぞ」


「お疲れ様。早かったね」


「走ればこんなものよ」


みんな揃って湯畑に湯が張っていくのを観察する。

1段1段。湯が溜まり、次の段へと流れてゆく。

そして最後の段に湯が溜まりきると街へ流れ込む水路へ湯が流れ始めた。


「「「「おおー!!」」」」


湯畑を一緒に作ってくれた作業員は皆声を上げる。


その後、水路の湯を追いかけ、街の中央広場へと向かう。

中央広場の地下に源泉が溜まり待ちの各地に流れるように魔道具が設置してあるとトルネに説明される。


そしてしばらく待つと広場の四方に配備された足湯に湯が流れ始めた。


俺は温度計を取り出し温度を確認する。

計器は47℃を示した。

少しだけ熱い。

けど足湯には湯もみする場所も無いし無料開放する予定の場所だから源泉にこだわらず水の魔石で温度を調整できるようにしてある。


「ちょっと熱いけど、少し水を足して……と」


魔石が付いた蛇口をひねり水を流すこと数分――

そろそろいいかな?

再び温度を測ると41度。


「よし!丁度いい温度だ!みんなお疲れ様!湯畑を手伝ってくれたことだし、足湯だけど一番風呂にみんなで入ろうか!」


みんなで並んで座って足湯を堪能する。


「はぁ~♪久々の風呂だぁ~♪足湯だけど気持ちいい♪」


「うむ。少し温いが悪くない」


「んー……。ん!お湯嫌い……」


エン爺にはぬるいか。

ライアはすぐに出ちゃった。

やっぱお風呂はダメかぁ。


エン爺とライアはかなり特殊な部類だろうけど、そういやこの世界にはいろんな種族がいるんだっけか?

忘れてた。

竜人って人化したエン爺と姿が似てるしやっぱ熱い方が好みだったりするんだろうか。

しまったな、色々な種族がいるってことを考えてなかった。


「あぁ~♪足湯気持ちいいですねぇ~♪温泉施設が完成したらこの湯に肩まで浸かれるのであればありです!!これまで入浴にはあまり興味がありませんでしたけれど、これほど気持ちが良いのであれば確実に人気になります!!」


「あー、それなんだけど、重要なことを見落としてたみたいで……」


「重要な見落としですか?」


「うん。俺らには丁度いい温度だけど、他の種族にも適温なのかなぁって」


「あー、それは私も盲点でした!でもそこは営業を開始してからでも調整可能ですし、意見を聞きながら調整していきましょう!温泉施設は敷地の6割しか建物で使用していませんし!増築する余裕は十分にありますんで問題ないです!!」


なるほど。それもそうだな。

今は久々の温泉を楽しむとしよう。

はぁ~♪極楽極楽♪



その日から作業員たちは終業後に足湯で疲れを癒すのが流行し、温泉都市で無料開放される足湯の噂は王都にも広まっていった。


一足先に足湯を体験しようと考えた作業員志願者が更に増えたことは言うまでも無い。




※  ※  ※



「はぁぁぁぁ~♪」


女傭兵は初めて体験する足湯に完全に心を奪われていた。


はっ!いけないいけない。

私としたことが風呂に意識を奪われるだなんて……。


それにしても足だけでこれほど気持ちが良いのであれば全身で浸かれる温泉が完成したら……。


はっ!?何を考えているんだ!!

くっ!スズヤめ!これほどの物を作り出すとはやはり警戒すべき男!!




※  ※  ※



一方その頃。

王都のエクレール公爵邸では訓練に励むシアとエルの姿があった。


「やああああ!!」


小さな体を軸にして大剣をぐるりと横薙ぎに振り抜くシア。


「いいぞ!力だけじゃなく、大剣の重さをうまく使えるようになってきたな」



「んんんん!ヒール!!」


エルは両手を前に出し、魔力を集中させて回復魔法を唱えた。


「成功ですね♪まだ初級のヒールですが、エルさんの魔力量なら普通の人のハイヒールクラスの回復量が見込めると思いますよ♪魔力操作の訓練を毎日続けるのは大変ですが、この調子なら早いうちにハイヒールだけでなく、エクストラヒールをも使いこなせるようになるかもしれませんね♪」



「はーい。みんな。日も暮れてきたから今日の訓練はそこまでにねー」


「うむ」


アレクとマリアが二人の訓練に付き合っている間、エレナとガイは本来の護衛の仕事に従事していた。

といっても私兵もいるので二人は敷地内の見回りと、警戒くらいのものなのだが。



そこへ屋敷の扉が開き、ヴァンスが姿を現した。


「皆さん夕食のご用意ができております。お風呂も用意しておりますので利用する方は入浴して汗を流した後、食堂へお越しくださいませ」


ヴァンスはそう言って屋敷に戻っていった。


全員先に風呂に直行した。



「ふぅ~。あったかいお湯なんてって思ってたけど、こうして実際に入ってみるといいもんだよなぁ」


「うむ」


「この風呂もかなり広いのに、ここよりも広くて色々ある温泉施設か。しかもスズヤさんが案を出して企画したってことは異世界の温泉だよな!!完成が楽しみだな!」


「うむ!!」



女湯ではエレナとマリアが逃げようとするシアを捕まえて頭と体を洗っていた。


「あっ!こら!逃げるな~!!ふっふっふ♪捕まえたぁ!」


「泡いやぁ~!!」


「ほらほら。綺麗にしておかないとスズヤさんに笑われちゃいますよ♪」


「シアはお風呂いやなの?私は好きだよ~」


「お風呂は気持ちいいから好き。でも泡は目が痛いから嫌ぁ……」


「そうですねぇ。スズヤさんならお風呂に詳しそうですし、例のスキルで何かシアさんにいい物を出してくれるかもしれませんし、食事の後で連絡を取ってみますか?」


「うん!話したい!」


「私も!ライアちゃんと話す!!」


「ふふっ♪では逃げずに早く洗い終えてお風呂を済ませましょうね♪」


「はーい……」




その後、食堂で食事を終えた一同はトレーラーハウスに向かった。


アマチュア無線機のスイッチは常時オンになっているので、トランシーバーを使えば連絡は取れるのだが、事情を知らないメイドや執事たちに見聞きされる可能性もあるので、連絡を取るときはここへ来ると決めていた。


初めて長距離で連絡を取るので、確認のためにクラリスも今日はついてきている。


「ではシアさん。トランシーバーを使ってみてください」


クラリスがそういうとシアはトランシーバーのスイッチを押し話しかける。


「もしもし?スズヤ?聞こえる?」


返事が無い。


シアは少し悲しそうな顔を浮かべた。

しかし、20秒ほどして返事が返ってきた。


『ごめんね。近くに人が居たから少し返事するのに時間が掛かっちゃった。どうしたのシア?』


スズヤの返事が聞こえた瞬間、シアとエルの顔がパァッと明るくなった。


「あのね?私お風呂好きになったけど、泡が嫌いなの。何とかなる?」


『お風呂好きになってくれたのは嬉しいな!泡が嫌いかぁ。それって目に入ると痛いから?』


「そう!目が痛いの」


『なるほど。だったらあれがいいかな?そっちでも作れると思うから俺が今から説明するのをメモできるかな?』


シアはメモの用意などしていないので助けを求め後ろの大人たちの方を振り返った。

するとヴァンスが1歩前に出た。


「メモの用意はしておりますのでそのままどうぞ」


「ヴァンスさんがメモしてくれるって!」


『了解。では説明しますね――』


スズヤが説明した内容をヴァンスがメモしてゆく。


『――という感じです。伝わりましたか?』


ヴァンスやクラリス、龍の牙の面々は頷いた。


「うん!大丈夫だって!ありがとスズヤ!!」


『どういたしまして♪』


その後、エルもライアと話をし、互いに口数の少ない2人の静かな通話だったが、エルも元気を取り戻した。


スズヤが説明した、穴が開いたスカートのプリーツのように波打った円盤のシャンプーハットなるものは、クラリスがお抱えの革職人に制作依頼を出し、簡単な造りなので即日納品できますとのことで、その日の夕方には完成し納品された。


翌日、シャンプーハットを持ち込んで頭を洗ったシアは「全然泡がこない!これなら頭洗うのも嫌じゃない!」と喜んでいた。




※  ※  ※



スズヤ達は急な通話を受けて、トルネが用意してくれていた仮説住居の小部屋に慌てて駆け込んでいた。

トランシーバーでのやり取りを終え、部屋を出て呟く。


「なるほど。シャンプーハットか。確かに入浴の習慣が無い人には必要かもしれないな。アメニティのチェックもするべきか」


「シャンプーハット?何ですかそれは!?新しい商品ですか!?」


トルネに聞かれていたらしい。

丁度いいのでフランゼ商会で用意してもらえばいいかな。


「あ、ああ。何て言えばいいかな?入浴介助の道具って感じで――」


俺は先ほど皆に説明したのと同じ説明をトルネにした。

今度はトランシーバーではなく面と向かっての説明なので、口頭だけではなく、絵も描いて説明する。


すると興奮気味にトルネが身を乗り出してきた。


「スズヤさん!!!」


「は、はい」


「明日登録しに王都に戻ってください!!書類は今から用意します!図面も用意しますのでフランゼ商会に持ち込めば職人が直ぐに作ってくれます!!」


「えぇ~。俺は別にいいからトルネさんが登録しなよ」


商品登録って、また指先をプスッてやらなきゃいけないんでしょ?

もうあれやりたくないんだけど。


「どうしてですか!!温泉施設では間違いなく需要があります!!レンタルにせよ販売にせよ需要があると分かり切っているのに!!それでも商人なんですか!?」


うっ!それを言われると辛い。

俺って実際何になるんだろ。

商人らしいことなんて、実際はこの世界に来た最初の2日~3日くらいしかしてないし。

傭兵なんて登録しただけで、魔物を倒すどころか戦闘すらしたことないし。

あれ?

俺って周りに助けられてばかりで【ふるさと納税】でお金を消費しつつ好き勝手にするだけで、やってることって遊び人……?


「……登録してきます」


俺は商人だからね!






所持金 金貨271枚 銀貨5枚 黄銅貨7枚 青銅貨3枚


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