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ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
2章 新都市開発編

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48話 隠された能力

俺たちは2日かけて再び新都市の建設地にたどり着いた。

道中は緑の目の二人と行動したおかげでマジックバッグも使えたので、いつもより快適な馬車の旅だった。


馬車が門をくぐり、街に入ると、ありえない光景が俺の目に飛び込んできた。

街のメインとなる大きな通りの地面は綺麗な石畳で舗装されており、大通りの両脇には等間隔で画一的な石造りの住居が立ち並んでおり、正にそこにあるのは模範都市ともいえるような街の風景であった。


「……エン爺。ライア。俺らここを出てまだ5日だよね?」


「うむ……」


「ん……」


「いくら何でも早すぎない?」


「トルネ殿の話より遥かに建築が進んでおるように見えるな……」


「ん」


「とりあえずトルネさんを探すか……」


既にほとんど完成している居住区画を抜け、街の中央広場に出ると、広場の中央には大きな噴水が設置されており、周囲には東屋が置かれ、俺が提案した足湯のスペースが確保されていた。


そのまま店舗スペースが立ち並ぶ商業区画を歩いていくと、作りかけの大きな建物がいくつか見えてきた。


たしか温泉施設はあのあたりだったか?

隣に見える大きな屋敷のようなものは代官用の屋敷かな?


どちらの建物もまだ柱や筋交いといった建物の骨組みだけしか出来ていないが、大きな屋敷と比べても比較にならない温泉施設の巨大な様が遠くからでも見て取れた。


近づいていくと現場の前でようやくトルネを発見した。


「あっ!スズヤさん!見てください!温泉施設の着工も始まり、急ピッチで建設作業を進めております!」


「うおおおお!はかどるぜえええ!」

「おっしゃあああ!やるぜええ!」

「ようし!!今日中に棟上げまで済ませちまうぞお前ら!!」

「「「「「おう!!」」」」」


うわぁ。クラリス嬢が手配した作業員たちもここに来てまだ2~3日のはずなのに、既にエナドリジャンキーになっちゃってる。


ジトっとした目でトルネさんを見る。


「なんですか?私は無理強いはしてませんからね!?彼らは栄養ドリンクの噂を聞いていたそうで、ここに着くなり必死で求めてきたので提供しただけですよ!!そうだ!栄養ドリンクの在庫が減ってきたので、あとで追加お願いします」


「はいはい。それで?居住区の方は聞いてたよりかなり速いペースで完成したみたいだけど、なんで更に建設速度が加速してるの?」


「王都から次々と作業員志願者がやってくるので、既に都市建設の方は400人規模で進めておりまして。居住区は既に完成して、昨日から商業地区と工業地区の建設に取り掛かっています。このペースだとあと10日ほどでほぼ全ての作業が終わりそうですね」


うん?半年の予定だった都市開発が結局20日程度で完了?

作業員が予定の倍以上になったとはいえ早まり過ぎでしょ。


「作業員の人からクレームとか後遺症の報告とか上がって来てない?大丈夫?」


「ええ。後遺症とかはなさそうです。ただ、いくらでも出すから売ってほしいという方が後を絶たず、朝配布しても飲まずに持ち帰ろうとする方も出る始末で、朝は現地のフランゼ商会従業員総出で、ドリンクを希望する作業員一人一人の口にドリンクを流し込んでいってます!」


うへぇ。

想像するだけですごい状況だ……。

そこまでしてあの暴走ドリンク飲みたいか……?


「まぁ、ほどほどにね?温泉施設があのバカでかいのだよね?その両隣のバカデカイ屋敷も同時進行してるってことはクラリス嬢の?」


「ええ、大きい方はクラリス嬢が実際に代官としてこの都市を治める際に使う領主館だと聞いてます。もう片方は聞いてませんね?偉い方の別荘ですかね?」


なるほど。代官とはいえこの街の領主になるんだもんね。

一番大きな屋敷に住むのは当然か。

んじゃ、もう一つのでっかい屋敷は誰が使う用だ?

トルネさんも聞いてないってことは、エクレール公爵家の誰かの屋敷か、王族の為の屋敷とかかな?

温泉施設の近くには別荘地も用意してあるけど、そっちとは別で用意してるってことはそういうことだろう。


「それで、スズヤさん!」


「は、はい?」


「告知はどうなりましたか!?あと温泉施設の従業員も!」


「ん、ああ。告知の方はもう各都市に送られてると思うよ。温泉施設の従業員にもクラリス嬢が当てがあるっていってたから多分大丈夫じゃないかな?」


「よかったです。そういうことならあとは完成を待つばかりですね。……あっ!!」


「ん?どうしたの?」


「スズヤさん!源泉!近くまで引いて来ているんですよね!?建物の建設も始まりましたし、居住区は完成してますし、各住居で温泉が出せるか確認のためにそろそろ街へ引き込みたいので協力してもらえますか?」


そういえばここまで1kmくらいのところまで水路を掘ってきたけど、場所を伝えるのを忘れてた。


「うん。いいよ。2~3時間で街まで引いて来れると思う。街の北に湯畑も作りたいから源泉を流せるようになるのは明日になりそうだけど大丈夫?」


「では作業員を20名ほどお貸ししましょうか?」


おっと?エナドリジャンキー20人レンタルときたか。

今日中に完成させたいってことか?


「んじゃ街の北門を出たところで湯畑を作り始めててもらってもいいかな?」


「了解です!湯畑ってあれですよね?段になった畑のようにして湯を徐々に冷ますためにっていう」


「そうそう。温泉施設で使うのは源泉かけ流しにしたいから湯畑で適温近くまで下げてから街に通したいんだ」


「多少熱い分は湯もみで調整でしたね。了解です!」


「んじゃこれをどうぞ」


俺は陸上自衛隊規格の戦闘スコップを20本購入してトルネに渡した。


「折り畳み出来るのは便利ですけど、小さなスコップですね?これならフランゼ商会が用意した物の方が大きくて使い勝手は良さそうですけど?」


「実はこれ、【万能掘削】と【不壊】の能力を持った魔道具なんだよ。使い終わったら売りに出さずにフランゼ商会内だけで使うのであればそのまま持ってていいよ」


「!? わかりました!使わせていただきます!いえ今度買い取らせていただきます!!」


いや、別に買い取らなくても。

俺のわがままで源泉を薄めたくないから湯畑作りを手伝ってもらうんだし。ね?




湯畑作りはトルネに任せ、俺とエン爺とライアは掘りかけの水路のところへやってきた。

さて、温泉都市に近いからミニショベルは使えないし、頑張って掘るしかないかー。


俺は栄養ドリンクを1本取り出し、ゴクリと飲み干した。

作業員にばかり栄養ドリンクで無理させるわけにはいかないからな!


「よし!二人ともやるぞ!!」


「うむ」


「おー」


3人で気合で掘り進めた結果。

2時間ほどでトルネが指揮する湯畑のところまで、水路掘り進むことが出来た。


「はぁっ。はぁっ。もう、無理……」


やっぱ俺は元の体力が少なすぎて効果がないのか、体力が枯渇するたびに飲んで回復するしかなかった。

何で俺だけ効かないの……。


あれ?でもトルネさんでも効果があったんだっけか?

いくら俺がひ弱だっていっても、トルネさんと体力はそれほど変わらないきがするんだけど。

もしかして俺だけ効かない理由があったりする?


ふと疑問が生まれたので自分の能力を鑑定してみた。



スズヤミナト 35歳 



所持スキル

【ふるさと納税】

【鑑定・改】


隠匿スキル

【魔剤耐性】

【睡眠耐性】

【気絶耐性】

【毒耐性】

【精神耐性】



へ……?

【鑑定・改】?

鑑定が進化したのか?

なんで?

ってか隠匿スキルってなに?

元々持ってたけど隠れてたってこと?

なんか沢山付いてるけどスキルを見るあたり、これはあれか?

あっちでエナドリ頼りで仕事を進めてて【魔剤耐性】が付いてたってことか?

ってことは不眠で残業してたことで【睡眠耐性】と【気絶耐性】が付いて。

【毒耐性】はあれか?カフェイン取り過ぎたからか……?

【精神耐性】は外回りとか年度末の激務とか、思い当たるところが多すぎる……。


耐性が沢山あるのはありがたいけど、どれも嬉しくないのなんでだろ……。


ってか【魔剤耐性】のせいか!

俺だけ栄養ドリンクの効果が無いの!!



※  ※  ※



女傭兵は作業員として都市建設に潜り込んでいた。


なにこの力が溢れる感覚!?


スズヤをもっと近くで調べるために、作業員として潜り込んでいた女傭兵はフランゼ商会秘蔵の特製ドリンクの効果に驚いていた。


こんなのダンジョンで見つかるスタミナポーションと変わらないじゃない!?

私でもマジックバッグにストックは数十個しか持っていないのに。


それにこの貸し出されたスコップの魔道具。

大地がまるで新雪を掻いているように思えるほどサクサク掘れるわ。

フランゼ商会、侮れないわね。


それと比べてスズヤは……。


水路を掘り進めてきてヘロヘロになり地面に座り込むスズヤの姿を見て、女傭兵は若干呆れ顔を見せる。


しかし次の瞬間。スズヤは栄養ドリンクを懐から取り出して1本飲み干した。


作業のためにバフをかけたのかと思いきや、体力を回復しただけで、滾ることもなく平然としたようすでトルネと話し始めた。


えっ!?これほど効果の高いスタミナポーションを飲んでも平然としている!?

Sランク傭兵のこの私でさえも漲る体力で猛る衝動を抑えこむだけでも必死だというのに。

この男、やはりただ者ではなさそうね……。


「おい!新人の女ぁ!手が止まってるぞぉ!!」


「はい!今行きます!!」






所持金 金貨274枚 銀貨5枚 黄銅貨7枚 青銅貨3枚

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