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ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
2章 新都市開発編

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38話 慰労を兼ねて2 トルネの奮闘

武器屋という店はないとディルに言われ、案内されたのは鍛冶屋。

武器だけでなく防具や日用品まで、金物全般を扱っているらしい。


店に入ると狭い店内に所狭しと商品が並べられていた。


「は~。すごいな。こんなに武器って種類があるのか」


武器が並んだ棚を眺めていくと、剣だけでも大剣、長剣、短剣、細剣、刃が付いておらず針のような刀身の刺突特化のレイピア、柄が付いていない投擲用ナイフなど、様々な物が並んでいた。


「シアはどんな武器が欲しいの?」


「んー、わかんない……」


「分かんないかぁ」


俺も武器とかまるで詳しくないし、どうしたものか。

すると後ろで見ていたディルが助け舟を出してくれた。


「シアちゃんは戦うとしたらどうやって戦うのが好きかい?」


「えーと、相手に近づいて攻撃?」


うん。それは全ての近接武器でいえるよ。


「んじゃ今度は重い武器で攻撃するのと軽い武器で攻撃するのならどっちが好きかい?」


「んと、重い武器!」


なるほど。

ディル様は敢えて広い範囲の質問をすることで、シアのイメージする武器の範囲を絞って言ってるのか。

やっぱこの人頭いいなぁ。


「それじゃ、重い武器で相手を切るのと、相手を叩くのならどっちが好きかい?」


「んー、切る方がいい!」


「となると、この辺かな?」


そういってディル様は大剣と斧を手に取ってシアに持たせてくれた。


「シア。どう?しっくりくる?」


シアは1つずつ手に持って構えてみた。


「うん!こっちの武器の方が持ちやすい!」


シアは大剣を選んだようだ。

大きくて重いはずの大剣を片手で持つシアを見て若干ディル様は驚いていた。


「エルも欲しい武器とかある?」


エルはあまり興味はなさそうで、首を横に振った。

まぁ魔法に興味があるなら杖とかになるのかな。

杖屋ってあるのかな?


「すみませーん!」


俺は大剣を購入するために店員を呼んだ。

しかし反応がない。


「すみませーーーーん!!!」


もう一度、先ほどよりも大きな声をかけてみる。

やはり反応は無い。

留守なのか?


最後にもう一度大きな声で呼びかけてみることにした。


「すみませえええ――」


「うるせぇ!!!聞こえてらぁ!!!」


奥から叫びながら出てきたのは俺が見上げるほどの背丈のガタイのいい髭おやじ。


「で?何の用だ?」


「こちらの大剣を購入したいのですが」


「あぁ?にいちゃんが使うのか?」


そういって髭おやじや片手で顎の髭を弄りながら俺の体を値踏みするように見てくる。

だが使うのは俺じゃないので直ぐに後ろに控えていたシアの肩を持って告げる。


「いえ、この子が使います」


「あぁぁ?まだガキじゃねぇか。やめとけやめとけ。筋力に乏しいガキの頃から重量級の武器を持たせると体に変な癖が付いちまうぞ?」


そう言われたので、シアは片手で大剣を軽々と持ち上げて、力不足じゃないとアピールした。


「んなぁ!?獣人の子とはいえ10歳にも満たないようなガキンチョがなんて膂力してやがる」


10歳にも満たない?

12~13歳くらいに見えるけど?

あれ?もしかして俺の認識とこの世界の認識違う?

もしかして二人とも10歳未満!?


「わかった。そんだけ軽々と持てるなら問題ねぇだろう。ちょっとこい」


シアは言われた通りひげおやじのところに行く。


「手ぇ見せてみな」


シアが両手を見せるとひげおやじはシアの手に触れたり、短いひもを手に当てたりして何かを調べはじめた。


「んー、流石に持ち手に調整が必要だな。1時間後にまたこい。それまでにお前専用にいじっといてやる」


「ありがとう髭のおじちゃん!」


「おう!」


料金を先に払うといったら、商品と交換でいいといわれたので、武器を調整してもらう間に、エン爺の希望の酒屋へ向かう。




酒屋というより酒造に店舗が後から増設されたような奇妙な店舗に案内された。

ディル様よくこんな穴場っぽい店知ってたな。


店内に入るとワイン樽が大量に並んでいた。

そういえばこの世界にもブドウはあるんだよな。

めっちゃ酸っぱいし渋くてフルーツとして食べるには適さなかったけど……。


「いらっしゃい。ワインをお求めで?ってディルじゃないかい!久しぶりだね!」


「どうも。久しぶりです」


ん?知り合いか?ディル様を呼び捨てって、このおばさんかなり親しいのかな?


「知り合いなんですか?」


「ああ、昔のディルはこの街の悪ガキの大将でねぇ。うちの店のワインをしょっちゅう盗み飲みに来てたのさ!そのたびに公爵様が謝りに来てね。逆に気まずいったらありゃしなかったよ!!」


うわぁ。公爵様になんども謝りに来られるとか、そりゃ気まずい。


「……すみません」


「ははっ!今じゃこんなに丸くなっちゃって、立派な領主様だからねぇ。人生何が起こるか分からないもんだね!それで?今日は買い物かい?」


「ええ、こちらの方がお酒をお求めになられているのでこの店に案内を」


「店主よ。世話になる。いくつかお薦めの酒を見繕ってもらいたい」


「あいよ!んじゃうちの一押しのワインをいくつか試飲させてやるから、その中からいいのを選んどくれ!」


暫く待つと、店主の女性は小さなコップに一口分程度ワインが入ったものを5つ持ってきた。


エン爺は静かに1つ1つ口にしてゆく。


「ふむ。最初のワインは香りが強くてそのまま飲むには良さそうだ。2つめは甘みがあって魚と飲んでみたい。3つ目は渋みと酸味があって肉に合わせたいな。4つ目はすっきりした飲み口だが酒精は強めでいい。5つ目は甘みと渋みのバランスが良くて飲みやすいな」


「あんたいい舌してるね!よくわかってるじゃないかい!家で働く気はないかい!?」


いや、ワインソムリエとしてエン爺を引き抜こうとしないで?


「我はスズヤ殿以外に従うつもりはないので、すまんな。店主どれも美味しかった。全部貰ってもかまわぬか?」


「あいよ!ひと瓶ずつでいいかい?」


エン爺の飲みっぷりだとそんな量だと一瞬でなくなっちゃうよな。


「おかみさん。全部ひと樽ずつください」


「ひと樽ずつ!?かまわないけど、どうやって持って帰るんだい……?」


あー、流石に5樽は持って帰りますって言えないか。

どうしよう。マジックバッグを使うしかないか?


「夕方までにうちに届けてもらえるかな?」


そうか!ディル様が公爵家の息子ってこの人は知ってるんだっけか。


「それくらいの時間までなら問題ないね。まかせときな!5樽で金貨150枚になるけど大丈夫かい?」


「ええ」


俺は大金貨を15枚差し出した。


「まいど!送料はサービスしとくよ!」


「ありがとうございます」



エン爺がほくほく顔してる。

俺が出すお酒はもともとふるさと納税の品物だから価格設定はその分高いから質は良くてもあまり量を出せないからね。

たっぷり飲むにはこの世界の美味しいお酒を買う方がいいよね。




その後、鍛冶屋に戻ったら大剣の調整が完了していたので、シアに試しに握ってもらう。


「さっきより持ちやすい!ありがとう髭のおじちゃん!」


「おう!大事に使えよ!」


値段は金貨50枚だった。調整費用は元々無料だから気にすんなとのこと。


「嬢ちゃん用にホルスターを調整しといたからこいつを使いな」


そういって大剣を背中に固定するホルスターをシアにつけてくれた。


「ありがとう!」


シアは自分の武器を手に入れて嬉しさをこらえきれないのか、同じく本を1冊だけマジックバッグに入れずに握りしめながら歩くエルとともに、公爵家に到着するまで鼻歌まじりに後ろをついて歩いて来ていた。


公爵家に到着するとメイド長が急にスズヤという知らない名前宛でワインが5樽も届いたと騒いでいた。


すみません。それ俺宛です。


「あ、留守番してるトルネさんにお土産買うの忘れてた」






※  ※  ※






王都に残ったトルネはフランゼ商会に戻り最後の確認を行っていた。


「会頭!鍛冶屋から品が上がってきました!」


鍛冶屋に確認に向かっていた従業員がトルネに報告した。


「これで工具類の予備も確保できたわね」


トルネは少し安堵した。

そして今度は店の裏口のドアが開き、別の従業員が入ってきて報告する。


「ただいま戻りました!馬車の確保何とか間に合いそうです!木工に依頼していた追加の馬車も明日には納品できるとのことです!」


「よかった。間に合った……。王都から往復予定の馬車に付ける追加の護衛手配はどうなりましたか?」


傭兵ギルドに護衛依頼を発注しに向かっていた従業員にトルネは確認する。


「それが、Cランク以上のパーティーが出払っているそうでなかなか捕まらず……。Dランク以下であれば居るとのことですが……」


「くっ!まさか高ランク傭兵の大半が禁足域の解放で出払ってしまうとは予想外でしたね……」


「初動の運搬量を抑えますか?」


「むむむむむ……」


確かに乗り込み直後では資材は大量には消費しません。

ですが、馬車を飛ばしても現地までは片道2日かかることを考えると出来る限り早めに資材の運送を済ませておきたいのですが、護衛が足りない状態で無理に運ぼうとすると、キラープラントに襲われた時のようになりかねませんし……。

スズヤさんに協力を仰げばライアちゃんかエン爺さんに一時的に護衛を頼めるのでしょうが……。

戦争を止めに向かって忙しい彼らの手を、この程度のことで煩わせるのは流石に……。



その時、店のドアが開きチリンチリンと来客を示す音が鳴る。


「いらっしゃいま――」


「よう。トルネさん。久しぶり」


「俺らはさっき王都に戻ってきたからばかりで備蓄がスカスカだから、保存食とか色々買わせてもらいに来たぜ」


「ガッシュさん!トレルさん!!今日王都に戻られたということは今はフリーですよね!?」


丁度店に訪れたのは、以前キラープラントで共に死に目をみたCランク傭兵パーティー緑の目のガッシュとトレルだった。


「お、おう。どうしたんだ急に?」


「確かにさっき帰ってきたとこだから今はフリーだけども……?」


「丁度いいところに来てくれました!!共に九死に一生を得たお二人とこのタイミングで再会するとは、まさに運命!!!そんなお二人の実力を見込んで長期依頼を依頼したいです!!」


「わ、わかったからちょっと落ち着け!まずはちゃんと説明してくれ!」


「俺らは別に逃げないから!ほら!深呼吸しろ!変なテンションになってるぞ!」


「これで何とかなりそうですううう!!!」


傭兵パーティー緑の目の二人はトルネが落ち着くのを待って話を聞き、快く護衛依頼を引き受けてくれた。

その後、二人は買い物を済ませると店を去っていった。



「よし!これで準備は万端です!!事前準備はやり切りました!!あ!そろそろエクレール公爵家に向かわないと!皆さん夜には戻るって言ってましたし報告に行かなければ!!」


王都に残ったトルネは、スズヤもクラリスも居ない中で一人準備をやり切った。



一方、スズヤたちはというと、早朝にはエン爺が一人で戦争回避の目的を果たし、その後はフランシルで観光と買い物をしていたのだったがトルネがそれを知るのはもう少しあとのことだった。





所持金 金貨1457枚 銀貨7枚 黄銅貨7枚 青銅貨3枚


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