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ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
2章 新都市開発編

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34話 禁足域の解放

俺は窓から差し込む光を感じ目を覚ました。

ゆっくりと体を起こし、周囲に目を向けると、ベッドの下の床には寝袋で眠るアレクとガイの姿。


そうか。

昨日は収拾がつかなくなったから、トレーラーハウスに泊ったんだっけか。


ベットルームを出てダイニングキッチンへ向かうと、先に起きていたエン爺がいた。


「おはよう。エン爺」


「うむ。よく眠れたようだな」


「宿よりよっぽど快適に眠れたよ」


「スズヤ殿の取り出す物には毎度驚かされておるが、まさか住居まで取り出すとは昨夜は流石に度肝を抜かれたぞ」


「あはは……。めっちゃ高かったけどね。おかげで快適に寝泊まりできる持ち運びできる家が手に入ったから丁度良かったよ」


トレーラーハウスはラーヴァピスキスよりは小さいからマジックバッグに入るよね?

流石に街を作る予定の場所に、こんな家を置きっぱなしにしてるのがばれたらやばいよね?


顔を洗おうとして、物は試しで水道をいじってみると、普通に水が流れる。

うおっ!昨夜鑑定で【給水】って能力を見たときはまだ半信半疑だったけど、本当に水が……。

ってことは【給電】も?


壁についている照明のスイッチを押してみる。

するとエン爺の座るテーブルの上の照明が明るく点灯し、部屋の中が一気に明るくなった。


「むっ?照明の魔法か?」


ああ、そういう反応になるのか。

ってか照明の魔法とかあるのか。

この世界に魔法があるのは知ってるけど、俺が見たことあるのはマリアさんのプロテクト?っていう防御魔法と、軽い傷を癒すヒール、それと暴走気味で苦戦してたホーリージャベリンだけなんだよな。


ライアのツタを生やしたり操作するのも魔法なのかな?


いけない。エン爺が照明が気になって仕方ないみたいだから説明するか。


「これは電気を使って点灯する照明って装置だよ。供給されている電気はどこから来てるかよくわからない謎動力になってるけどね」


「ふむ。スズヤ殿の世界の技術で作られた品はどれもこれもこの世界の技術力を逸脱しすぎていて、理解が追い付かぬ」


そうだよね。

この世界は見たところ中世~近世程度の文明レベルだしね。

魔法や魔道具があることで、向こうの現代文明に近しい文化や向こうよりの優れている部分もあるけど、物理文明のレベルだけは比べ物にならない。

電気やガスを動力とする器具を見るとそう思うのも無理ないか。



「ふぁ~。おはよ~」


「おはようございます。昨夜は失礼しました……」


眠そうな目をこすりながらエレナ、そして若干気まずそうな様子のマリアが起きてきた。


「おはよう。よく眠れた?」


「ええ、それはもう……。まさか家まで購入して取り出せるとは思っていませんでした」


「だよねー。スズヤさんがいたら野宿とはおさらばだねっ!」



その後、アレクとガイも起きてきて、大人組に眠気覚ましにコーヒーを出しのんびりしていると、シア、エル、ライアの三人も眠そうな目をこすりながら起きてきた。


全員揃ったので、朝食の用意を開始。

電気が使えると分かったので常設されていたIHキッチンを使ってハムエッグと、オーブントースターを購入しトーストを焼いてシンプルなモーニングセットをみんなに提供。

ライアと子供たちにはコーヒーや紅茶の代わりに、昨夜余っていた果物をブレンダーで処理してスムージーにして出してみた。


シンプルながら美味しい朝食に皆は舌鼓をうっていた。


「まさか禁足域で街より快適な生活が出来るなんてなぁ~。スズヤさん俺らのパーティーの正式メンバーになってくれよぉ」


「それいい!!私も賛成!!」


「いやいや。俺は戦闘とか絶対無理だからね?傭兵なんてごめんだよ」


「「えぇーーー」」


「二人とも。わがままはいけませんよ」


出た。

久々にマリアお母さんだ。


「スズヤさん?何か?」


「いえっ!なんでもありません!」


マリアって時々心が読めるんじゃないかと思うんだ。




「そういやもうこの土地の解放って発表された頃かな?」


「そういやギルマスが王家から発表があるって言ってたな。ってことは都市開発だけじゃなく、傭兵もここに流れ込んでくるなぁ」


「そうなの?危なくない?」


「低ランクの駆け出しは流石に危険だろうけど、緑の目みたいにある程度経験を積んだ傭兵なら、複数パーティーで合同ならロックイーターくらいはなんとかなるんじゃないかな?」


「それに入っちゃいけない場所が解放されたとなると、わくわくするだろ?」


「あー。その気持ちはめっちゃ理解できる」


俺は危険な場所には理由がない限り近づこうと思わないけどね。

君子危うきに近づかず。ってね。

ビビりじゃないぞ!


「ん?ってことは早めにトレーラーハウスを隠さないと!!」


俺は慌てて立ち上がるが、龍の牙の4人は冷静だった。

いや、何のんびり寛いでるの?

バレたらまずいから!


「スズヤさん。落ち着け」


「?」


「今日の今日でここまで来れる傭兵なんてまずいなからな?スズヤさん特製の栄養ドリンクか、エン爺やライアさんの力が無ければ今日中にこんな場所まで来るのは不可能だ」


「あ」


そうか。森の中を2~3日移動し続けてやっとたどり着ける場所だっけか。


俺はアレクの言葉を聞いて、座りなおしてコーヒーを飲んで気持ちを落ち着かせた。




※  ※  ※



その頃。

王都は禁足域の解放が王家から発表されて活気づいていた。


「おい!掲示板を見たか!?」

「みたみた!1000年ぶりに禁足域が解放だってな!」


「あたしたちも禁足域の魔物を狩りに行ってみる?」

「バカいえ!噂じゃロックイーターやストーンゴーレムがうようよいるって話だぞ。」

「でも龍の牙しかまだ行ったことないなら希少な素材とかダンジョンとかが眠ってたりしないかな!?」



「流石に賑わってますねぇ」


一足先に情報を得ていたトルネは、賑わいを見せる雑踏を冷静に眺め見つつ、フランゼ商会の店舗へ向かった。



さて、クラリス嬢と打ち合わせた物も無事に用意できそうですし、一度エクレール公爵家に報告に向かいますか。

スズヤさんはヘイゼル侯爵が連れてきた奴隷の少女たちを保護したとのことでしたけど、本当に大丈夫なんですかね?





※  ※  ※




その頃。

ヘイゼル侯爵は金髪の青年と話をしていた。


「殿下!それは間違いないのですか!?」


殿下と呼ばれた青年は小さく首を縦にふり、返事を返す。


「ああ。間違いない。使用人を使って情報を集めさせた。父とエクレール公爵がここ最近、密に連絡を取り合っていたのは確かな情報だ。そしてエクレール公爵家は禁足域に新たな都市を作ることを計画している」


くそっ!エクレール公爵!

いつもいつも私の先を行きおって!!

禁足域を解放したうえでエクレール公爵家が拝領だと!?

王都近郊は王家直轄領ではないのか!?


王弟だからと言えど勝手すぎる!!


「エクレール公爵家といえば商人が出入りしているのそうだが、知っているか?」


「商人の出入りは多いので特定の商人は流石に……」


「そうか。まぁよい。それで?フリーゲル王国とは話が付いたのか?」


「ええ。殿下と私の名は伏せて、フリーゲル王国の兵に関所の警備情報を渡し、エクレール公爵領に戦を仕掛けさせる段取りは整えてあります。しかし、禁足域の一部を拝領されたとなると、あのエクレール公爵のことです。クラリスを代官にするなら国境沿いの自領ではなく、王都に近い新たに拝領した土地をあてがうでしょうし、計画は不意に終わるかと……」


「いや、かまわん。計画は続行しろ」


「しかし、それでは当初の計画のようには……」


「エクレール公爵を自領に引き戻すには使えるだろう。その間、クラリス嬢は一人で禁足域を任されることになる。エクレール公爵が傍にいない分、やりやすくなる」


「なるほど。であればグエル商会を使いましょう。殿下の指示で動くように伝えておきます」




所持金 金貨1779枚 銀貨2枚 黄銅貨7枚 青銅貨3枚


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