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ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
2章 新都市開発編

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31話 伝説の聖女の物語

慣れた様子で、まるで子供に絵物語を読み聞かせるようにマリアが語るその内容は、空想の物語のようでありながらも惹きつけられる内容で、俺は静かに聞き入ってしまう。



聖女の物語。


今からおよそ2000年程前。

世界は混沌にまみれていた。


地上の派遣を争い、世界を二分する終わりの見えない戦いが続いていた。


聖光龍は人類を率い。

暗黒龍は魔族を率い。

互いに譲れぬ想いを貫き、大地は赤く染まり続けていた。


そんなとき。

人類は戦いを集結させんがため勇者を召喚し、驚異的な力で魔族を圧倒し。

それに対抗すべく魔族は魔王を召喚し、人類を圧倒した。


勇者と魔王、両者の力は互いに拮抗し、両軍に多大な被害を出すも決着はつかなかった。

地上の生物の大半が両軍の戦いに巻き込まれ命を落とし、それでも戦いは終わらない。


そんなとき、血にまみれたこの世界を愁いた小国の王が神託に従い、聖女の召喚を試みる。

召喚された聖女は争いを止めてほしいという王の願いを聞き届け、血に染まった大地を次々と救済していった。


種族や立場を問わず、救いの手を差し伸べる聖女に、救われた者たちは着き従い始めた。



そんな聖女に目を付けた勇者は、聖女の勧誘を試みる。

人類救済のために力を貸してほしいと。


しかし聖女は言った。

私は手の届く範囲しか救うすべを持ちませんと。


その後、硬直した戦況を変えるべく、魔王も聖女の勧誘を試みる。

魔族救済のために力を貸してほしいと。


しかし聖女は言った。

私は目の届く範囲しか救うすべを持ちませんと。



勇者と魔王は終わらない戦いに疲れ、次々と倒れていく味方を思い次第に胸を痛めていった。


そこで勇者は聖女の言葉を思い出し、戦うのではなく救うために力を振るい始める。

手の届く範囲を救うために。


そこで魔王は聖女の言葉を思い出し、戦うのではなく守るために力を振るい始める。

目の届く範囲を守るために。



こうして長く続いた戦いは次第に集結に向かい、最後に勇者と魔王は地上に残った全てを救い守るために手を取り合った。


しかし、この結果に納得しない者たちがいた。

聖光龍は魔族と手を取り合おうとする人類と敵対し。

暗黒龍は人類と手を取り合おうとする魔族と敵対した。


聖光龍を止めるべく勇者が立ち上がり

暗黒龍を止めるべく魔王も立ち上がった。


戦いは熾烈を極め、勇者と魔王は互いに持てる力のすべてと命をささげた。

自身が信じた仲間を救うために。

自身が信じた仲間を守るために。

勇者と魔王は自身の命と引き換えに荒れ狂う龍を封印することに成功した。

こうして長く続いた戦いが集結を迎え、ようやく世界に平和が訪れたかに思われた。


しかし平和は長くは続かなかった。


戦いで血に染まった大地は魔に染まった生物、魔物を生み出し始めたのだ。


魔物は人類魔族問わず襲い掛かり、世界を再び混沌が包みかけたその時。


世界をめぐり救済を続けていた聖女は魔物を生み出す大地までも救済していった。

聖女の救済を受けた魔物は聖獣となり、聖女に着き従い始めた。


人類と魔族が争った何倍もの時間をかけて、聖女は全ての大地の救済を終え、そのまま眠りについた。

眠りについた聖女は、数多くの種族と聖獣に囲まれていた。



その後、聖女が眠る場所には聖なる大樹が芽吹き、今もなお世界を見守り続けている。




マリアが聖女の物語を伝え終えると、場は静寂に包まれていた。


「以上が、私の知る聖女の物語です。いかがでしたか?」


空想かと思えるような内容でもありながら、まるで実際に起きた史実のようにも聞こえる不思議な物語だった。


「少し切ない話ですけど、教訓としてもいいお話ですね。おとぎ話というか伝承ですか?」


「ああ、ほんとかどうか知らねぇがな。ってか聖女の物語を知らねぇって、お前はいったいどんな人生を歩んできたんだ?この国の住人だったらガキでも知ってるぞ?」


ギルマスが痛いところにツッコミを入れてきた。

だって俺はこの世界の出身じゃないからな!


「シアとエルも知ってた?」


二人は頷いた。

やっぱ知ってるのか。


「もしかしてライアとエン爺も?」


ライアは首を横に振った。


それを見て何故か少しホッとした。

仲間がいた。


「我は伝承としてではなく、実際に見聞きしたので知っておるぞ」


「えっ!?エン爺って2000年以上生きてるの!?」


「いや、流石に我が生まれたのはその少し後の話だ。他の龍に会った時に聞いたりしてな。当時、その後の様子を見聞きして知っただけだ」


「それで?実際どうなの?」


「多少の脚色はあるが、概ね伝承通りと言っておこう」


マジか……。

なんてファンタジー。

勇者に魔王に魔族に聖女に聖獣!

そして聖なる大樹!!


あ、聖女は俺も聖女召喚で呼び出されたから無関係じゃないのか?

世界を愁いて聖女を召喚した当時の小国の王と、戦争の戦力として聖女を召喚しようとしたフリーゲル王国の王では真逆すぎるけど。

なんであんな糞王が聖女の召喚方法を知ってるんだ?

神託を受けた当時の小国って現フリーゲル王国なの?

いや、実際には聖女でも何でもない俺が呼び出されてるから、ちゃんとした召喚方法は知らないのか?


「ガハハハ!伝説の八龍の一角から聖女の物語の真相を聞く機会があるとはな!!」


「勝手に伝説の八龍とか言われておるだけで、実際はただ長生きした龍というだけだぞ。我は伝説になるようなことは何もしておらん。八龍と呼ばれておる中では我は一番若い龍だしな」


エン爺が一番若い???

龍ってどんだけ長生きなの??

ん?ってかなんで魔物は今もいるの?

聖女が救済して全ての魔物が聖獣になったわけじゃないのかな?


「聖女の物語はわかったけど、今も勇者や魔王ってこの世界にいるの?」


「いえ、召喚儀式自体、当時の戦乱でその技法が失われたとされていますね」


となるとフリーゲル王国に聖女召喚の方法を伝えた者がいる?

まさか神って存在が神託を?

いやでも、男の俺が召喚されたわけだし、実際には失敗してるから違うか。

可否はともかく、俺が召喚されたこと自体知られるとそうとうやばい話になりそうだし、これからも出来る限り秘匿したほうがよさそうだな。


俺が聖女召喚でこの世界に来たことを知るアレクがじーっとこちらに視線を向けているのに気が付いた。


おい、アレク!

そんなに俺をガン見するな。

ギルマスに感付かれたら怪しまれるだろ!!


「お前がどんなド田舎から出て来たのかは知らねぇが、今はそんなことはどうでもいい」


あ、はい。

いい具合に、辺境のド田舎出身とでも思っていてください。


「それよりもエクレール公爵家からの依頼についてだ。お前も関係ないなら一緒に話を聞いていけ」


「依頼?新都市の話です?」


「ああ、お前がクラリス嬢と組んで進めてるってやつだ。既に着工開始できる程度に準備も済み、明日の朝、王家から禁足域の解放についてファーランド王国全土に通達が下るそうだ」


エクレール公爵様が最近いなかったのは王家と話を詰めていたからか。


「そこでしばらくの間、クラリス嬢の身辺警護に龍の牙が抜擢された。今回は王家直々のご指名だ」


事前に聞いていたのか、アレクたちは静かに頷いた。

王家からの指名ということもあり、龍の牙の4人はいつもよりピリついた空気を纏っている。


「王家からの依頼ってすごい信頼度ですね」


「まぁ禁足域を踏破して、禁足域の解放に一役買ったってのが大きな理由だろうな。エクレール公爵家の覚えがいいってのも王家が指名した理由だろう」


「ですが、エクレール公爵家の都市計画に何故わざわざ王家が?」


「なんだ?ちょくちょくエクレール公爵家に行ってるってのに、お前は知らねぇのか?」


ん?何をだ?

屋敷と敷地が他より数段デカイってことくらいしか知らないぞ。


「エクレール公爵家当主、バリス=フォン=エクレール様は先代の王の三男。つまり現王ディラン陛下の弟だぞ。王位継承権を早々に捨てて、エクレール公爵家に婿入りした変わり者だがな」


「え、えぇぇぇぇ!?」





所持金 金貨5142枚 銀貨4枚 黄銅貨7枚 青銅貨3枚

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