↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
1章 龍の巣編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/71

22話 王都へ帰還

いやいや!

そんな急に、渋いおっさんバージョンの魔法少女の契約みたいに言われても!?

とんでもない龍と従魔契約!?

むりむりむりむり!

ただでさえ、ライアでさえ若干手に余ってるって言うのに!

これ以上厄介事を抱えたくないし、目立ちたくないんだけど!?


引きつった顔で助けを求めて龍の牙の面々の顔を見る。

すると、全員苦笑いして小さくうなづいた。


これは提案を受け入れろってことか?


俺の味方は居ないのか!?

ライアは!?

流石に自分より強そうで年上の従魔が後輩になって一緒に行動するとなると困るよね!?


後ろに控えていたライアを見る。

するといつもと変わらぬ無表情をしたライアに、右手を前に出しサムズアップで返された。


ううう。


もう断れる雰囲気じゃない。


「……わかりました。契約します」



獄炎龍と従魔契約を済ませると、名前を付けるように言われる。


うーん。獄炎龍。ごくえん。


「エン、ってのはどうだ?」


「ふむ。シンプルだな……」


俺に名付けのセンスを求めないでください。

半ば強制で俺の従魔になった人には文句を言われる筋合いはありません。


「ライア殿。後輩としてこれから世話になる」


「ん。エン爺これからよろしく」


「む?エン爺?我はエンという名を貰ったばかりなのだが」


「ん。喋り方が爺。だからエン爺」


龍は一瞬呆気に取られた様子を見せたが、やがて豪快に笑い出した。


「ハハハ!面白い。ならばそれで良い。我のことはエン爺と呼ぶがよい」


さらっと獄炎龍をため口でエン爺呼び出来るライアは流石だな。


「エン爺か。ふふ。悪くない響きだ」


あれ?意外とエン爺呼び気に入ってる?


「皆も共に酒宴の席に座った仲だ。これからは気軽にエン爺と呼んでくれて構わぬぞ」


いやいや、龍の牙の面々が若干困ってるから!

獄炎龍をいきなりエン爺呼びするとか恐れ多いって顔してるからやめてあげて!


「では改めて主殿。これから世話になりますぞ」


「俺のことはスズヤかミナトでいいよ。あと、俺にはかしこまらずにライアみたいに気軽に話してくれた方が助かる」


「うむ。ではスズヤ殿。これからよろしく頼む」


「うん。よろしくね。エン爺」






「それで、エン爺は何か希望とかある?」


「む?どういう意味だ?我は酒さえ飲めればよいぞ」


エン爺は俺の従魔になったので、いろいろと秘密にする必要もなくなったのですべてを説明した。

フリーゲル王国の行った聖女召喚で異世界から呼び出され、王に処刑されかけ、その後王城を追放されたこと。

こちらの世界に来たことで【ふるさと納税】という特殊な能力を得たこと。

その能力で取り出した物には返礼として特別な力が付与されていることなど。


「なるほど。身勝手なふるまいをし、スズヤ殿を処刑しかけ、更に追放とな?」


「……ん。その国、処す?」


「よし、共にやるか、先輩よ」


フリーゲル王国が俺を勝手に召喚して処刑されかけて追放されたと聞いて、エン爺とライアがとんでもないことを言い出した。


「まてまてまて!よしじゃない!やるな!俺は争うつもりとかないからな!?」


規格外の存在二人が国攻めとかシャレにならんから絶対やめろ!!

アレクたちがこの世の終わりのような顔してるだろ!!


「それにこの世界に来れたことに関しては悪く思ってないし、俺は昔から世界中を旅するのが夢だったから、世界は違えど色々なところを見て回れる今の環境に十分満足してる。追放されたおかげで、こうして龍の牙やライア、エン爺とも会えたことだしね?」


「ふむ。スズヤ殿がそういうなら……」


「ん……」


「ってなわけで。俺はのんびり自由に暮らしながら、出来ることならこの世界を色々と見て回ろうと思ってるから、エン爺はこの世界について詳しそうだし色々教えてくれると助かるかな?俺は荒事は好きじゃないし気ままに旅ができれば十分だよ。ライアとエン爺と一緒なら旅も楽しめそうだしね」


「旅か。人の姿で世界をめぐるというのも悪くない。我が寝ている間にどのように人の世が発展を遂げたか見るのが楽しみだ」


うんうん。

どうやらフリーゲル王国滅亡は回避できたみたいだ。


二人が怒気を収めたのをみて、龍の牙の皆もホッと胸をなでおろしていた。


「エン爺さんとライアさんが居たら世界一安全な旅が出来そうだな」


「たしかに!スズヤさんのご飯もめっちゃ美味しいし絶対楽しい!」


「ふふっ♪たのしそうですね♪」


「うむ」


その後、火山窟を歩いて戻りながら、ファーランド王国の王都に戻って依頼の報告をしないと所持金がほとんど残ってないから酒ももうあまり用意できないことをつい口走ってしまったことを俺は後悔した。





「ああああああ!!!早い!落ちる!!もっと速度落としてえええ!!」


エン爺は酒が暫く飲めないと知るや否や。

「酒が暫く飲めないとは一大事ではないか!」と言い、人化を解き、俺らを無理やり背に乗せると空へ飛びあがり、ファーランド王国の王都へ向かって一直線で飛び始めたのだった。


「あああああああ!死ぬううう!!」




王都近郊にエン爺が着陸したときには、龍の牙と俺は某ボクシング漫画の選手のようにエン爺の背中の上で真っ白に燃え尽きていた。


「し、死ぬかと思った……」


「ちゃくちー」


ライアは平気そうな顔でエン爺の背中から飛び降り、シュタっとTポーズで綺麗に着地を決めていた。


龍の牙の面々も今にも口から魂が抜けだしそうな様子で暫く元に戻らなそう。


空を飛ぶのは100歩譲って許すけど、これからは速度を落とすようにいうと、火山窟の最奥に到達できるほどの者たちであれば問題ないと思ったなどとエン爺は言う。


ライアがツタでエン爺の体に固定してくれてなかったら、俺も含めてみんな秒で空中に吹っ飛んでるからな?


俺がくどくどと説教をするとエン爺は若干反省したらしく、「すまぬ……。酒が飲めなくなるかと思ってつい……」と漏らした。


龍の牙の皆が正気を取り戻すまで暫しの休憩をはさみ、地上を歩いて王都の北門へ向かうと何やら兵士や傭兵が慌ただしく駆け回っているのが見えてきた。


「ん?何かあったのかな?」


「あー、俺は何となく理由が分かった気がする……」


アレクは引きつった笑いを浮かべていた。


「スズヤさん気が付いてないの?」


「何が?」


「エン爺だよ?」


ん?……あ。


「わかったみてぇだな……」


なるほど。

急に王都近郊に獄炎龍が現れたら騒ぎになるか……。

うーん。なんて説明しよう。


言い訳を考えていると、こちらに気が付いた傭兵の一人が話しかけてきた。



「スズヤさん!」


「ん?あ。緑の目の」


「龍の牙の皆さんとライアさんも。お久しぶりです。そちらの御仁は……?」


「えーと……。紹介したいのは山々なんだけど。そのまえにギルマスを呼んでもらえるかな?」


偶然遭遇した緑の目の二人にギルドと衛兵詰め所に走ってもらい、とりあえず危機は去ったということ。

そして依頼を完了して戻ったのでギルマスには話し合いの場を設けてほしいことを伝えてもらった。




傭兵ギルドに到着するとそのまま奥の部屋に案内された。

部屋に入るとギルマスと、もう一人、純白の綺麗な鎧を身に纏った知らない壮年の男が俺たちを出迎えた。


「それで?もう依頼は完了したってのはどういうことだ?」


俺たちがソファに腰掛けるとギルマスが早速疑問を投げかけてきた。


「それについては俺から報告する」


アレクは龍の巣の火山窟最奥にて地震の原因を発見、討伐が完了したことを報告した。


「話は分かった。しかしだ。お前らが出立してまだ8日だぞ?一体どんな方法を使えば往復20日程の旅程がかかるはずの調査依頼を、原因の調査と討伐を含めて完遂して戻ってこれるって言うんだ?」


完全に虚偽報告を疑われてるよなぁ。

ギルマスの怒り具合を見るに、俺らが獄炎龍を怒らせて怒りを買い、その報復で王都に獄炎龍がやってきたとも思われてそう。


「ギルマスさん」


「ん?なんだ?」


「まずは新しく私の従魔になった彼の紹介をさせてください」


そういって俺の後ろに立つエン爺を紹介した。


「従魔……?まて、そいつも人じゃねぇのか!?」


「そいつも……?」


ギルマスの言葉に、一緒に話を聞いていた壮年の男が微妙な反応を示した。


「彼の名前はエン。エン爺と呼んでください。エン爺、自己紹介を」


「うむ。新たにスズヤ殿の従者の末席に加わりエンの名を授かった獄炎龍だ。よろしく頼む」


「「……」」


ギルマスはエン爺を指さし口を開きパクパクし、隣に座る壮年の男性を目を見開き固まってしまった。


「お、おまっ!本物なのか!?」


ギルマスはアレクたち一人一人の顔を見ていった。

皆苦笑いしつつ首を縦に振る。


「おどろいた……。私は獄炎龍が王都の北に急に出現したので、傭兵との連携して対処に当たるために、彼と相談にすべくこちらに訪れていたのだが、問題は解決したらしいな」


謎の壮年男性はそう言って納得してくれた。


「あの、ギルマスさん。こちらの方は?」


「ああ、この方はお前らの依頼の依頼主で、エクレール公爵家の現当主、バリス=フォン=エクレール様だ。依頼の完了報告もあるってことだったからな。丁度いいから同席してもらうことにしたんだ」


公爵!?

まさかのめっちゃ偉い人が依頼主だった!?

龍の牙も流石に公爵様の顔は知らなかったらしく、ギルマスの紹介を聞いてピリ着いた空気が場に流れた。


「そうかしこまらないでくれ。私は君たちを取って食おうなんて思ってないから。龍の牙の名声は私の耳にも届いているよ。わが国で8年も活動していた優秀なDランク冒険者であり、その後はフリーゲル王国に活動拠点を移し、たった二年でBランクまで上り詰めた新進気鋭のパーティだってね。そんな若手がファーランドに戻っていると聞いたので、信頼できると見込み指名依頼を出させてもらったのさ。もちろんゲルドに頼んで依頼主の名前は伏せてもらってね」


ギルマスの名前ゲルドって言うのか。

アレクたちもギルマスとしか呼ばないもんな。


自国の公爵に知られていると聞いて、若干嬉しそうな顔を見せるアレクたち。


「で?獄炎龍を従魔にしたことと今回の依頼何か関係があるのか?正直、地揺れどうこうよりも、お前が獄炎龍と従魔契約したことの方が一大事なんだが?」


火山窟の中で起きたこと。

地震の原因が巨大なラーヴァピスキスだったこと。

そのラーヴァピスキスはエン爺が既に討伐済みでマジックバッグに収納して持ち帰ってきたことを俺は順を追って説明した。


「獄炎龍を従魔にしたって話だけでも正直信じられねぇってのに、巨大なラーヴァピスキスが原因で、それを討伐して持ち帰ってくるとは……」


「依頼は完了ですよね?だったら俺はもう関係なさそうなのでこれで――」


面倒なことになりそうなので早々にその場を立ち去ろうとしたが、ギルマスにがっしりと肩を掴まれそのままソファ位に座らされた。


「関係大ありだ!面倒だからって逃げるな!」


「えぇぇ……。私はただの商人で、今回は龍の牙のサポート役として同行しただけで――」


「ドライアドを従魔に連れ、アーティファクト級のマジックバッグを持ち、任務先で獄炎龍を従魔に加え、SSランクで伝説級の魔物のラーヴァピスキスを持ち帰って来ておいて、ただの商人なわけあるか!!」


「ぐっ!ラーヴァピスキスは龍の牙がなんかこう、いい感じに討伐した体でお願いします!!」


「「「「いやいやいや」」」」」


「まぁ、登録仕立てのサポーターがラーヴァピスキスを討伐して持ち帰ったなんて誰も信じねぇから、龍の牙の名を使わせてもらうのは俺も賛成だが……」


「俺らは今回ほとんど何もしてない。ほとんどスズヤさんの力のおかげだからな?」


「いやいや!龍の牙が居なければ私は死んでました!」


「お前ら、せめて報告内容は統一してくれないか?」


「「……」」


俺はアレクと顔を見合わせた。


「ほぼ全てスズヤさんの手柄です!」


「私はサポートしかしてません!嘘はついてません!!」


【ふるさと納税】の力は存分に発揮したけど戦闘には参加してないからサポートしかしてない!俺は嘘はついてないぞ!!

エン爺と対峙したときも冷却ハンディファンで身を守っただけで、戦ったわけじゃないからね!



エクレール公爵とギルマスは顔を見合わせた。


「ゲルドさん。我々は何を見せられているのでしょうか?」


「はぁ……。まぁいい。とりあえず話を進めよう。エクレール公爵、依頼は達成ということでよろしいですか?」


「ええ。彼らが虚偽の報告をしているとは思えませんので。君たちを疑っているわけではありませんが、後ほど持ち帰られたというラーヴァピスキスを確認させてください」


「ええ、でもどこに出せば?」


「ああ、それならギルドの裏の解体場で――」


ギルマスがそこまで言ったかけるも、アレクたちが首を横に振った。


「ああ?どうした?」


「ギルマス。多分解体場には収まり切れない」


「……冗談だろ?」


ギルマスがこちらを見てきたが、俺は解体場を見たことが無いから収まるかどうか分からないんですけど。


「少し見せるだけなら広場とかじゃダメ?」


「バカ野郎!!ラーヴァピスキスなんて人目のつくとこに出してみろ!!大騒ぎになるだろうが!!解体場がダメなら空の素材倉庫に出してくれ。あそこなら30mはあるからいけるだろ?」


俺はアレクと顔を見合わせた。


「それくらいの広さがあれば?」


「ギリギリいけるか?」




所持金 金貨18枚 銀貨4枚 黄銅貨4枚 青銅貨2枚

ここまでお読みいただきありがとうございます!

ブックマークや評価をいただけると励みになります。

誤字脱字等ありましたら、お気軽にご報告いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。