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ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
1章 龍の巣編

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18話 火山窟と力加減

火山窟の中は外以上の熱気に包まれていて、さながらスチームサウナの中に居るような感じだった。

ある程度耐性も付け、食事のバフ効果と冷感シャツの耐熱効果があるにもかかわらず、ジワリと汗が出るほどだ。

もし何の準備もせずにここに来ていたら数十分で熱さにやられていた自信がある。


俺もサウナは好きだけど、入っても10分が限界だからなぁ。

あぁ。でもサウナかぁ~。

サウナや風呂に久々に入りたいなぁ~。

そういえば、この火山に来るまでに間欠泉から噴き出す蒸気がちらほら見えていたよね?

間欠泉が噴き出すということは、岩石地帯には高確率で温泉があるのでは!?

温泉入りたいー!!

湯舟に浸かりたい!!

でも悲しきかな……、ここは禁足域……!

くっ!今回の依頼が終わったらもう二度と立ち入れないとはっ!!



一人で温泉の妄想に葛藤する俺の様子を見て、アレクが変な顔をしてツッコミを入れてきた。


「……1人で表情コロコロと変えて、何やってんだ?」


「いや、温泉に入りたいなぁ~、と思ってね」


「温泉ってあれか?オースウェル公国にある天然のデカイ風呂っていう」


ふむ?この世界でも温泉で有名な国があるのか!

いいな~。

いつか行ってみたいな。


「わたし、熱いお湯に入るの苦手ぇ~」


「私もあまり得意ではないですね。何だか料理されている気分になっちゃいます……」


あー、風呂に入る文化が無いところの人からすると、お湯で茹でられてるような感覚だと感じちゃうのか?

温泉がある可能性が高い場所が禁足域な上、国土の大半が森の中で比較的温暖で安定した気候の国ともなると、民に入浴の習慣がないのも仕方がないか。

この国で温泉を広めるのは流石に厳しいのかなぁ……。


せめてサウナから広めてみる?

サウナだったら入浴より敷居は低いはずだよね?

簡易的な小屋を作るだけでもサウナは作れるし、もっといえばテントでサウナも不可能ではないしな。

あとは岩盤浴とかもいいけど、地熱を利用できそうなのも禁足域なんだよなぁ……。

くそう!誰だよ!

スーパー銭湯すらを作れそうな、こんな好立地な場所を禁足域に定めたのは!!

獄炎龍を起こして怒りを買わないようにするため何だろうってのはわかるよ?

わかるけど、勿体ない!!


「またやってる……」


1人百面相をしていたらアレクに呆れられてしまったので温泉のことは一旦忘れよう。


「主様。楽しい?」


「うーん。楽しくはないかなぁ」


「む む む」


ライアちゃん?

俺の1人百面相なんて真似しなくていいんだよ?

やめて!?ライアは可愛いままでいて!!

変な遊び覚えないで!


「前方警戒!!何かが動く音が聞こえる!!」


久々に凛とした斥候としてのエレナの声が火山窟内に響き渡り、のんびりした雰囲気を一蹴した。


すると通路正面、右手にある大岩の陰から、ぬぅっと緩慢な動作で巨大なサンショウウオのような生き物が顔を表した。

5mほどあろうかという巨大なサンショウウオは体表に赤みを帯びており、薄っすらと陽炎が見えることからも、その体表はかなりの高温を発しているであろうことは俺にも見て取れた。


「チッ!ファイアリザードかよ!近接攻撃は武器をやられるぞ!こいつはマリアの魔法に任せた!ガイはスズヤさんの守りを!俺とエレナは不壊のナイフを使って注意を引き付けるぞ!!ただし不壊のナイフと言えど熱は防げないから慎重にいくぞ!」


「「「了解」」」


瞬時に魔物の特性を判断してメンバーに支持を的確な指示を出すあたり、アレクは流石だなぁ。

俺が傭兵をやってたとしても、こんなリーダーっぽい指示なんて一生出せる気がしないな。

そもそもあんなデカイ化け物と戦うとか絶対無理。


って危なっ!?


後方でのんきに戦闘の様子を眺めていると、ファイアリザードが吐いた溶岩の塊のような球が数m前方の地面に着弾して破裂した。

真っ赤に焼けた溶岩が飛び散り、周囲の熱気が一気に高まるのを感じる。


これは長期戦になると厄介そう。

ライアに俺が指示を出して、早めに仕留めてもらった方がいいのかな?

そう思って、俺の背後で岩場に腰かけてのんびりと冷凍ブルーベリーを口に運ぶライアにちらりと目を向けた次の瞬間。


「ホーリージャベリン!!」


マリアの大きな声と共に、頭の上にかざした手から金色の光の槍が生成され、ファイアリザードに向けて放たれた。


おおおっ!光の槍カッコいい!!

攻撃魔法か!!初めて見た!!

ってあれ!?

注意を引き付けながら戦っていたはずのアレクとエレナが血相をかえて退避してる?

ガイも慌てて下がって俺の前で盾を構えてるけどどういうこと?

ん?魔法を放った本人も何だか必死な顔でこっちに避難して来てる?


2mほどの長さの大きな光の槍はファイアリザードの額に見事に着弾し、その体をいともたやすく貫くと、光が収束し始めた。


あれ?ファイアリザードの体が若干膨張しているような……?

何だか嫌な予感がする……。


『ドゥゥン!!』


光の槍だった魔力がファイアリザードの体内で爆発を起こし、体を木っ端みじんに爆散。

高温のファイアリザードの血肉が激しく周囲に撒き散った。


なるほど。

血相を変えて退避していた理由が理解できた。

爆発に巻き込まれる危険があるってのもあっただろうけど、何より近くに居たらファイアリザードの血肉まみれで大変な目になるな……。

アレクとエレナはあのまま近くに居たら血肉まみれでスプラッラな悲惨に状況になってたってことか。

必死な顔で逃げるわけだ……。


「お疲れ様。すごい魔法だったね。あれ?マリアさん?」


マリアは俺の隣でガイの後ろに隠れたまま、何故か地面に座り込んでプルプル震えていた。

魔力的な何かを消耗し過ぎたとか?


「ちょ、ちょっと!マリア!何今の魔法!?」


退避していたエレナが、慌てて戻ってきた。


え?もしかして失敗だったの?予期せぬ強さだったみたいだから暴発とかか?

一撃で倒せてたのに?


「流石にビビったぞ?何だあのバカでかいホーリージャベリンは……」


ん?バカでかい?

あ……。

原因は俺の飯か……。

つまり、マリアさんはいつもの感覚で魔法を放ったけど、想像以上の威力の強さの魔法を発動しちゃって、あわや味方を巻き込みそうになったと。


「まさか、私の魔力がこれほど上がってるなんて思わなかったのよぉ……」


「俺らは前衛で体を動かしながらある程度力の調整は随時できてたけど、マリアは消耗が激しくて滅多に攻撃魔法を使わねぇからなぁ」


「……うむ」


「これからはあの規模のホーリージャベリンが来ると思ってたほうがいいわけだね?」


「うぅっ。暫くは調整難しそうです。そう思って退避してもらえると助かります」


「りょーかい。後衛のマリアが強力な攻撃手段を得て攻撃に参加できるようになるってことはパーティにとってはいいことだしな!」


「うん!マリアにはずっと支援を任せっきりだったしね!これからは殲滅役も任せられるね!」


「ありがとうみんな。出来るだけ早く高まった魔力の感覚を掴めるようにします」


「なんかごめんね?俺が出した食事のせいだよね?」


「いえ!強くなれたのはありがたいです。正直、これまでの私のホーリージャベリンでしたら4~5発撃って倒せるかな?って感じでしたので。1発でファイアリザードを倒せるならかなり魔力の温存が出来ます」


「なるほど?一撃の威力が上がったからより効率が良くなったってこと?」


「ええ。ですが今のままだと自分の魔力の高さに振り回されそうですので、少し練習は必要みたいですけれど……」


「みたいだね……。暫く林檎は控える?」


「……いえ。林檎は大好きなので絶対食べたいです。その分、魔力操作の練習をこれまで以上に頑張りたいと思います!!」


なんだろう?

好物は我慢できないから、代わりに運動量を増やしてダイエット頑張る人の宣言みたいに聞こえるぞ?




火山窟を進むとファイアリザードの他にも真っ赤でぷるぷる震える溶岩ゼリーのような魔物にも遭遇した。

これは見たままの名前で、溶岩スライムと呼ばれているらしく。正式名称はフレイムスライムだそう。

高温多湿の溶岩地帯を好んで生息しているらしい。

龍の牙はファイアリザードやフレイムスライムとは、以前にダンジョンに潜った際に遭遇したことがあるとのこと。

ダンジョンかぁ。

興味はあるけど、魔物が大量にいるとこだよね?

行きたくはないね。


「で、このスライムは強いの?」


「武器で1、2発攻撃するだけで倒せるけど。見たまんま溶岩みたいな性質があるから鉄の武器でも消耗が激しくて地味に厄介な魔物だな。こいつら自体の強さは普通のスライムの倍程度の強さしかないから。こんなふうに、そこらに落ちてる手頃な石を拾って投げつけてるだけで倒せるぞ。それっ!」


アレクは喋りながら足元に転がっていた手頃な石を拾い上げてフレイムスライムに投げつける。

すると、小石が当たるとフレイムスライムの体はパァン!と激しく破裂して吹き飛んだ。


「うぉっ!?スライムって死んだら破裂するのか。地味に怖いな……」


「いえ、今のはそういうわけではなくて……」


マリアさんの歯切れが悪いな?

ん?みんながアレクの顔を見てる?

アレクも自分で倒したのにちょっと驚いてる?


「俺の膂力もこんなに上がってんのか!?」


あー、そういうことか。

今度はアレクが力加減をミスったってことね。


「火山窟の魔物が近接潰しだったおかげで、武器をぶっ壊さずに済んでよかったねアレク」


「全くだな……。慣れない力で大剣を振り回したら武器がいかれちまいそうだ。俺もちょっと今日から空いた時間に真面目に素振りでもするか……」




所持金 金貨72枚 銀貨5枚 黄銅貨4枚 青銅貨2枚


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