15話 和製ナイフ
龍の牙には【ふるさと納税】のことを打ち明けたので、こそこそ隠れることなくスキルを使えるようになり、食事の際には皆の意見を聞きながら商品を購入するようになった。
どうやら俺が許可した対象には【ふるさと納税】のリストも見ることが出来るらしい。
「へぇ~!こうなってるのか」
「すごい!武器とかはないの?私短剣が欲しい!」
「んー。俺の居た世界では魔物なんていなかったし、俺の国では銃刀法っていう法律があって殺傷能力のある刃物や武器は所持してるだけで罪に問われるところだったからなぁ。確か刃渡り6cm以上はダメとかだったかな?キャンプとかの目的があって所持していたり、狩猟目的で許可を得た物しかダメなのよ」
「むむむ!あれ?でもキラープラントと戦ってるとき緑の目の二人にスズヤさんは武具を貸し出してなかった?」
「ああ、それはこれらだよ」
マジックバッグから万能収穫鎌と盾、剣鉈を取り出した。
「こっちは収穫や草刈用の万能鎌で、この盾は獣対策の防犯グッズ。この剣鉈は獣の解体をしたり薪を割ったりするものだね、どれも戦闘や対人相手の使用を想定されてないものだよ」
「ふむふむ?でもこの鎌結構強そうだよっ!」
「あー、植物特攻とかついてるね。盾は衝撃吸収が付いてた。ってあれ?普通に使える?」
全員うなずいた。
「あ、刀なら模造刀なら売ってるかも?」
「かたな?それってスズヤさんの国の武器の名前ー?」
エレナは興味津々で問いかけてきた。
「うん。俺の国発祥の鉄を何度も打って鍛えた刃物で、昔はその武器を持つ侍って武士が俺の国には沢山いたんだよ。俺が生まれる100年以上前の話だけどね。あ、あった。これが刀だね」
そういって模造刀のリストを龍の牙に見せる。
すると全員食い気味に刀の写真を見つめていた。
「なんだこの剣!めっちゃ強そうじゃん!」
「すごい綺麗!この剣の短剣とかないの!?」
「綺麗♪武器というより芸術品みたいですね♪」
「うむ。技術力の高さが伺える」
「試しに買えるものあるかな……?って高!?ステンレス製の模造刀でも数十万!?まぁそれくらいするか?」
「ねぇねぇ!短剣なら!?私でも買える!?」
斥候のエレナは刀を見て興味を持ったらしい。
「ちょっと待ってね。えーっと、実際に使えそうなのだと一番安いので22万。上は200万以上だね。金貨でいうと22枚から200枚」
「ひぇっ!?金貨200枚の短剣……。でも22枚ならなんとか……」
「あっ。でも刀身だけで白鞘すらないから、購入後鍛冶屋とかで持ち手を拵えてもらえないいけないし、そもそも模造刀だから刃がついてないから、研がないといけないから実用は無理そうだね。いちおう研ぎの依頼ってのも金貨50枚くらいであるにはあるみたいだけど……」
「ナイフと刃研ぎで最低でも金貨70枚以上……。流石にそんな大金むりぃ……。ん?これってナイフじゃないの?」
エレナが見ていたのは独特な持ち手の鋼製の和式サバイバルナイフ。
なるほど。
「これいくら?」
「これは金貨2枚と銀貨2枚だね」
「おっ!?鉄製のナイフより安い!!私これ使ってみたい!!」
「いいけど、買ったら変な能力ついてるかも知れないけどいいの?」
「うん!スズヤさんが鑑定してくれるんでしょ?はい!金貨2枚と銀貨2枚!」
「それはもちろん。流石にヤバソウな能力持ってたら使わせるわけにはいかないし……。んじゃ購入してみるよ」
購入を押すと目の前に小さな木箱が現れた。
箱を開けると鋼製のナイフが丁寧に収められていた。
早速鑑定っと。
・和製ナイフ
攻撃力+22
鋼を鍛えて拵えられた高強度のナイフ。
【不壊】
【切れ味倍化】
「どう!?どうだった!?」
「えっと、このナイフは攻撃力+22で不壊と切れ味倍化の能力が付いてるね」
「不壊って、相当高位の魔剣にしかついてないはずでは……。不壊の魔剣が金貨2枚……。スズヤさんの住んでいたところは恐ろしい国ですね」
いや、元々ただの鋼製のナイフだからね?
マリアさんが考えてるようなアーティファクト量産するチート国家とかじゃないからね!?
「攻撃力+22ってどうなんだ?武器の強さの数値化なんて初めて聞くからよくわかんねぇな。エレナの今使ってるナイフをスズヤさんに見てもらうか?」
アレクは攻撃力の数字を聞いてもピンとこなかったらしい。
そりゃそうか。
鑑定は数千人に1人しか持ってないって聞いたしな。
「たしかに、ちょっと見てみるね」
・鉄製ナイフ
攻撃力+18
熟練の鍛冶師が鍛えたナイフ。
「攻撃力+18で能力は何もついてないね」
「ってことは今の武器より強くて、能力が2つもついてる魔剣だぁー!!ありがとうスズヤさん!!」
「あっ!エレナだけずるいぞ!!俺も!俺も大剣が欲しい!」
「いやいや!大剣とか絶対俺が居た国にないから!」
アレクの後ろで目で訴えかけてるそこの二人!
魔法補助の杖とか金属製の大盾もないからな!?
ない物を強請られても無理だからなっ!?
結局その後も3人が強請るので、エレナと同じ和製ナイフを3人にも購入した。
マリアの話では【不壊】の特性と【切れ味倍化】の特性があるので、魔物の解体用に持っていて損はないということらしい。
というのは建前で、魔剣と称される武器が欲しかったんだろうなぁ。
手に持ったナイフを見つめる3人の目が輝いていた。
ライアは武器にはまるで興味がないらしく、4人が落ち着いたあとに「果物見せて」といってきて、小一時間リストを眺めて目を輝かせていた。
「全部食べたい」と言い出したが、流石に財布も厳しいし、たまに希望の果物を購入してあげるということで納得してくれた。
結局ライアはいつも食べている林檎を購入してあげると落ち着いた。
それも魔力を永続上昇させるし、寿命も伸ばすやばい効果のリンゴなんだけどね?
毎日ひと箱食べ続けてるライアの能力値が、もうどうなっているのか怖くて見れない。
少し長めの休憩になってしまったが、みんながようやく落ち着いたので、龍の巣へ向かって移動を開始。
新しい武器を得てウキウキした足取りで先頭を進むエレナ。
いつも以上に周囲をキョロキョロと確認して、試し斬りをしたくて仕方ないって感じだなぁ。
新しい武器を手に入れたら使ってみたくなるよね。俺もRPGをやってるときはそうだった。
俺は現実ではできれば魔物なんかと遭遇したくないんだけどね。
それから数時間歩き続け、途中で2度ほどロックイーターを見つけるも、今回は無事に戦闘を回避。
嬉々として戦闘を仕掛けようとするエレナとアレクを、残り4人で抑え込み無駄な戦闘を回避して夜営の時間を迎えた。
エレナはまだわかるけど、アレク?あんた剣士でしょ?
ナイフを握ってロックイーターに挑もうとするとか正気か?
「はぁ~。試し切りしたかったのに~」
「だよなぁ~」
戦闘が無かったことに不満をあらわにするエレナとアレク。
そんな二人をマリアがいさめる。
「はいはい。それはいざというときにお願いします。私たちの目的は龍の巣の調査ですよ?無駄な戦闘で時間を取らないでくださいね?」
「うむ。無駄な戦闘は避けてこそ一流の傭兵」
「「はぁ~い」」
「ふふっ。なんだがマリアさんとガイさんって二人のお母さんとお父さんみたいですね」
「なぁっ!?スズヤさん!?」
「むっ!?」
マリアとガイは顔を見合わせると互いに顔を赤くして目をそらした。
あれ?二人ってそういう感じ?
「お母さ~ん!試し斬りさせてぇ~」
エレナがすぐ話に乗っかり、マリアのことをお母さん呼びし始めた。
「だ、誰がお母さんですか!というか私の方が一つ年下ですからねっ!!」
えっ!?そうなの!?
てっきりマリアさんの方が2~3年上とばかり……。
「スズヤさん?いま失礼なこと考えませんでしたか?」
マリアさんがこちらを笑顔を向けているけど、その顔はとても笑っているように見えない。
「いえっ!?何も考えてません!……ちなみに皆さんおいくつくらいなんですか?」
「んー?スズヤさんと同じくらいじゃね?俺ら傭兵初めてもう10年くらいだしな」
え?俺と同じくらい?
全然見えないんだけど?
4人とも、どう見ても20代前半くらいじゃ?
「ちなみにアレクさんは?」
「俺は25。俺とエレナが同い年でガイが1つ上、マリアは1つ下だよ」
「若いですね」
「そうか?スズヤさんも変わらないだろ?」
「俺は35ですよ?」
「はぁぁ!?」
「えぇっ!?嘘だぁ!?」
「若作りの秘訣は!?」
「俺の方が年上かと……」
これってあれか?日本人が幼く見えるって言う。
それにしても20代半ばに見えるのかぁ。
これでも俺はそれなりに苦労してるんだけどなぁ。
「ライアは何歳くらいなの?」
「んー……」
指を折ってライアは年齢を数えていくが途中で動きを止め、むっとした顔で返事を返してきた。
かなり長い時間を過ごしてきたのだろうか?
「年齢聞くの、失礼」
「なんかごめん……」
所持金 金貨90枚 銀貨5枚 黄銅貨4枚 青銅貨2枚
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