↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふるさと納税で気ままな異世界生活?  作者: 瀬良・B・月季
1章 龍の巣編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/71

13話 ロックイーターとストーンゴーレム

龍の牙が栄養ドリンクブーストで無茶したおかげで、初日で森林地帯を抜け岩石地帯にたどり着いたわけだが。

ここから3日ほどは、荒涼とした岩ばかりの大地が続いてるらしい。

この辺りからは龍の巣に近いうえ目ぼしい資源もなく、強い魔物も生息しているので禁足域に指定されており、基本的に一般人の立ち入りは制限されているとのこと。


本来であればここから一日ほど進んで、ライアと合流する予定だ。

昨日一気に駆け抜けたけど大丈夫かな?ライアはまだのんびり森林地帯を北上してるのでは?


「何を悩んでるんだ?」


難しい顔をしているとアレクが顔を覗き込んできた。


「強行軍で1日でここまで来ちゃったから、ライアは追いついてこれるかなって」


「あー、確かに~。でもライアちゃんなら本気出せば私たちより早そうだし、すぐ追いついてくるんじゃないかな?」


「俺もそう思うけど、どうも見た目のイメージに引っ張られて放っておけないというか」


「ふふっ。まるで娘を心配するお父さんみたいですね」


「成り行きとはいえ、従魔として面倒を見るって約束したからね」


「ライアちゃんはいつもの果物の匂いで場所がわかるんだっけー?」


「だったら珍しくて匂いの強い果物とかを出せば、ライアさんなら飛んでくるんじゃね?」


珍しい匂いの強い果物か。

ドリアン……?

いやいやいや。

もしとんでも効果付きのドリアンとか取り出したらどんな目に合うか……。

匂い倍化とかのドリアンなんて生まれた日には死んでしまう。

そもそも日本で取り扱ってる地方なんてないか?


うーん。普通に流通してる果物で匂いが強い物ってなると、メロン、バナナ、パイナップルとかになるのかな?


そう思い、【ふるさと納税】のリストを見ていく。

すると丁度よさそうな果物が目に留まった。


おっ。オレンジ色の果肉が有名な北海道のメロンが沢山リストにあるな。

これを朝食で切り分けて食べてみるか。


メロンを8等分にして1切れずつ皿に乗せて龍の牙の皆に差し出す。


「おおお!なんだこのうまそうな匂いの果物!?」


「んんん~♪絶対美味しいよこれ!」


「はぁ~♪ 匂いだけで甘さが伝わってきますね♪」


「うむ」


はてさて、このメロンの匂いでライアはたどり着いてくれるかな?

食べながら待ってる間に匂いを辿って来てくれるとありがたいんだけど。

まぁ今日中でなくとも明日にでも合流できればいいかな?

ん~♪ 流石有名産地のメロン。久々に食べるけど絶品だな。



※  ※  ※



その頃ライアは。

森の中で林檎をかじりながらのんびり北上していた。

合流は3日後~4日後になると思うからゆっくりでいいよと聞かされていたからだ。


「ん。今日もおいしい。……ん!?甘い匂い?森の北の植物?……アレクと主の匂いする?新しい果物!?ずるい!!」


ライアは体からツタを生やすと、木々に引っ掛けながら、さながらどこかの蜘蛛男のように森の中を高速で北に向けて移動を開始した。



※  ※  ※



岩石地帯に入り、遠目でも大きな火山が見えるようになり、竜の巣周辺の過酷な環境が見て取れるようになっていた。


はぁ~。ほんとにほとんど草木が生えてないな。

ってことはこの周辺まで硫黄や金属が流れているか、嘗ての噴火の影響で荒れ果てたってところかな?

もしそうだとしたら、この辺りに天然温泉とかありそうだな。

自由に探索できるなら天然温泉とか探してみたいなぁ。

こっちの世界に来てから風呂の代わりに体を濡れた布で拭くくらいしかしてないし。

日に日にあったかい風呂に浸かりたい欲が増してる。


「みんな止まって!」


エレナが背中の弓を抜きながら警戒を示した。


「この先の大岩のあたりで音がする。何か大物がいるかも」


「ちっ!近くに隠れられそうな場所はねぇな。大回りして出来るだけ距離を取りつつ警戒するぞ」


「「「了解」」」


前方の大岩を中心にして反時計回りに距離を取りつつ回り込む。

すると大岩の陰に隠れていた者の正体が徐々に明らかになる。

全身を岩で覆われたような姿のオオトカゲだ。

全長は6~7mはあるだろうか。



「ロックイーターかよ……。倒せない相手じゃないけど面倒だな。食事に夢中な今のうちになんとか距離を取って、出来れば戦闘は回避したい」


デカッ!?

トカゲというよりドラゴンだな……。

龍の牙が倒せないこともないけど面倒だから戦闘を回避したいってことはCランクかBランク以上の脅威ってこと?

ライアー!早く来てくれーー!!


もそもそと岩をかみ砕いで飲み込んでいくその姿は異様。

岩をかみ砕けるような顎で捉えられたら人なんてひとたまりもなさそうだ。


5人はそーっと、出来る限り音をたてないように距離を取っていく。

なんとか気づかれずに300mほど距離を稼ぐことが出来た。


「ここまでくれば、ちょっとやそっとじゃ気づかれる心配もないだろうけどまだ油断するなよ?」


「はぁ。生きた心地がしなかった……」


ホッと一息ついて俺は丁度いい大きさの近くの岩に腰を下ろしたその時。

岩が動いた気がした。

また地震か?


しかし、揺れは徐々に大きくなってゆく。


「あれ?ちょ!?岩がせりあがってる!?」


慌てて岩から飛び降りると、先ほどまで腰かけていた岩が徐々に地面から隆起していく。

すぐさまアレクは背の大剣を抜き皆に声をかける。


「くそっ!ストーンゴーレムかよ!!エレナ!俺と一緒に牽制!ガイは攻撃をいなしてくれ!!マリアはスズヤさんの退避を!!」


「「「了解!」」」


ズズズズと大きな音を立て、全身が岩でできたゴーレムが起き上がってゆく。

その体高はおよそ4mはあるだろうか。

でかすぎる!!


ストーンゴーレムからこぼれ落ちてくる瓦礫からマリアの防御魔法に守られながら、戦闘に巻き込まれないように必死で距離を取る。

というかただ全力で走って逃げる。


ある程度離れたところで振り返ると、大きさをものともせずにエレナとアレクはストーンゴーレムに切りかかっていた。


すごいな。これが熟練の傭兵なのか。

身体能力も向こうの世界の人とは比べ物にならないな。


感心して戦いを見ているとマリアが何かに反応して後ろを向いた。

釣られてマリアの視線の先に目を向ける。

すると先ほどやり過ごしたはずのロックイーターが、戦闘音に気が付いたのかドシドシと鈍い足取りでこちらに向かって歩いて来ていた。


やばいやばいやばい!

前門の虎後門の狼!?

逃げ場もないし隠れ場所も無いのに!


マリアは叫ぶ。


「アレク!ロックイーターが!!」


「くそっ!マリア!スズヤさんを連れて逃げてくれ!!」


それじゃアレクさん達が……。

俺を逃がすために!?


「アレクさん達はどうするんですか!?」


「2体を同時だと倒すのは厳しいけど、逃げるだけなら俺たちならどうにでもなる!早く!!」


「……」


いつもニコニコ笑みを浮かべているマリアの顔は全く笑っていなかった。


「マリアさん……」


「さぁ。行きましょう!アレクさんたちに注意が向いている今ならまだ逃げられます!」


マリアは俺の手を取ってその場から離れようとする。


しかし、ストーンゴーレム相手でも3人がかりでギリギリ優勢といった感じだった。

そこにロックイーターまで加わるとどう考えとも劣勢。


ストーンゴーレムの片腕は既に切り落としているけれど、3人とも肩で息をしていて余裕があるようにも思えない。


俺は咄嗟にマリアの手を振りほどいた。


「スズヤさん!?」


「すみません。3人を見捨てて俺だけ逃がしてもらうわけにはいきません」


「ですけど!!」


「マリアさんが加勢すれば龍の牙ならなんとか逃げるくらいはできるんじゃないですか?」


「でもそうなるとスズヤさんが……」


「俺も全力で逃げますから」


マリアは防御魔法を俺に掛け、仲間の方を向く。


「プロテクト。……スズヤさん。どうかご無事で」


「全員生きて戻ったら今夜は豪勢にしてやるって伝えといてください。これを」


そう言って、マリアに栄養ドリンクを4本手渡した。


「ありがとうございます。必ず伝えます」


マリアはストーンゴーレムと必死に戦う三人の元に駆け出した。

すると予想外なことに、一人になった俺の方にロックイーターは標的を変更し、こちらに向かってのそりのそりと移動を始めた。

先ほどまでは漁夫の利を狙っていたらしいロックイーターは、俺単体の方が楽に仕留められると判断したのだろうか。


まってまって!それは聞いてない!!!

慌てて栄養ドリンクを飲み、ロックイーターから距離を取るように、振り返らずに全力で走った。

すると徐々に後方からドシン。ドシン。という大きな足音が徐々に近づいてくる。


振り返ったら足がすくんで動けなくなる。

それに俺がこうして時間を稼いでいれば、龍の牙がストーンゴーレムを倒して駆けつけてくれる可能性もあるはず!!

マリアさん抜きで対等以上に戦えてたんだ。

4人揃ったらきっと彼らはストーンゴーレムを圧倒できるはず。


そう思い、龍の牙を信じて息の続く限り必死で足を動かした。


徐々に息が苦しくなり、次第に足が重くなってゆく。

栄養ドリンクのバフ効果があっても元の体力が大したことないからなのか、俺には焼け石に水だった。

そして遂に、俺のすぐ背後でドシン!という大きな音が鳴り響き、空がフッと暗くなる。


覚悟を決めてゆっくりと振り向くと、巨大なロックイーターが太陽を遮りこちらをのぞき込んでいた。

もうだめだ。

そう思った瞬間。


目の前のロックイーターが無数のツルに縛られて動きを止めた。


「主を害そうとする奴。許さない」


声のする方を振り向くと、いつもの無表情ではなく、鋭い目つきをしたライアの姿がそこにはあった。


「ばいばい」


ライアがそう告げると、ロックイーターに巻き付いていたツタが一気に締まり、ロックイーターの体を細切れに引きちぎった。


血しぶきが舞い散るが、マリアさんの掛けてくれた防御魔法のおかげで、全身ロックイーターの血肉まみれのスプラッタな状態になるのは回避出来た。

しかし、血を見るのも苦手な俺は全身から血の気が引いて、気をしっかり持たなければ意識を失いそうになっていた。


「た、助かったよライア。ありがとう」


「主。ずるい…」


あれ?ライアの殺気が収まるどころか増した……?

もしかして、まだ助かってない?

すると全身にツタが巻き付き、ライアは今度は俺を拘束した。


「うぇっ!?ライア!?ライアさん!?」


そして全身をツタがまさぐり、ライアは顔を近づけてくんくんに匂いを嗅ぎ始めた。


「ライアさんん!?」


「嗅いだことない匂い。どこ?」


「ちょ!?わかった!わかったから下ろして!!」


丁度そこへストーンゴーレムを倒した龍の牙が駆けつけてくる。

細切れになったロックイーターとライアの姿を見て、ホッとしたアレクたちだったが、ツタで縛られ全身の匂いをかがれているスズヤの姿を見て困惑した。


「えっと、俺たち邪魔だったか?」


おいアレク!

冗談言ってないで助けてくれ!!


「バカなこと言ってないでライアを止めて!?」


俺がアレクに助けを求めると、ライアはアレクたちの方を見てくんくんと匂いを嗅ぎ始める。


「む?アレクたちも、同じ匂い?」


ライアはアレクたちも、俺と同じくツタで縛り上げた。


「おわっ!?」


「わぁっ!?」


「きゃぁっ!?」


「むっ!?」


その後、竜の牙の面々も俺と同じ辱めを味合わされることとなった。

全身を拘束され少女にくんくんと嗅がれるとか羞恥プレイすぎる……。


どうにか落ち着いたライアに拘束を解いてもらい。

俺が切り分けたメロンを与えると、途端に機嫌を直すライアだった。


「どうして俺らまで……」


「さ、災難だぁ……」


「もうお嫁にいけません……」


「うむ……」


龍の牙のみんなもライアから受けた辱めはかなり堪えたらしい。



「それにしてもたった数時間でよく駆けつけてくれたね」


「ん。森の植物が匂いを感じ取って騒いでた。だから急いで駆け付けた」


え?ってことは1~2時間で2~3日かかる距離を駆けつけてきたってこと?

早すぎない?

そのおかげで俺は命拾いしたけど。

何はともあれ全員無事でよかった。


「はぁ~。それにしてもストーンゴーレムとは初めて戦ったけど、あんなに硬いとはなぁ。マリアが駆けつけてくれなきゃじり貧だったぞ」


「うむ……」


「スズヤさんに感謝しましょう。ロックイーターを一人で引き付けてくれましたから」


うーん。引き付けるつもりはなかったんだけど……。

ああなるってわかってたら絶対あそこでマリアさんと別れてないよ?

マリアさんはああなるって実はわかってたのか?


「みんな無事だったんだからもういいじゃん!?そんなことよりさ!スズヤさん!今日はごちそうって!?」


エレナは既に俺が伝えた豪華な飯に意識が向いているらしい。


ああ、そういえば勢いでそんなこといったっけか……。


「よし、んじゃ気合を入れて作りますかー」


「よっしゃ!」


「まぁ♪」


「うむ!」


「やったー!」


「んじゃあっちで準備してくるから、その間にもう一つメロンをおいて行くからみんなで切り分けて食べながら待ってて」



最初に【ふるさと納税】で購入したのはBBQセットとクーラーボックス、そして備長炭にファイアスターターと着火剤。


そして最初にポチるのは当然これ!

BBQといったらビール!!


続いてメインの黒毛和牛の焼き肉セット!!

国産豚の豚バラとウインナーと野菜盛り合わせ!


最後にA5ランクの黒毛和牛ステーキを人数分!!

焼き肉のたれは色々【ふるさと納税】リストにあったので適当に数種購入!


ノリで一気に金貨を50枚ほど消費してしまった。


あれ?俺この依頼でお金稼ぎに来たのにこのペースで消費してて大丈夫かな……?

赤字になっちゃうのでは?

いやいや、今はそんなことよりBBQだ!



BBQセットに備長炭をセットし、着火。

しっかり火がついて温まったところでみんなに声をかける。


「もうできたのか?ってあれ?」


「スズヤさん、料理はー?」


アレクとエレナが何も乗ってないBBQコンロの網を見て首を傾げた。


「まぁまぁ。ここからだから」


そういってテーブルの上の2つのクーラーボックスを開いて見せる。


「じゃーん!これが最高級の黒毛和牛!そして国産豚とウインナーと野菜だぁ!今日は各自好きなものを自由に焼いて食べてくれ!ビールもあるぞ!」


「「「「おおおお!」」」」


「こんなに綺麗な肉見たことねぇぞ!?」


「くぅー!!見てみて!網の上に乗せただけでもう涎が出そうな匂いがするぅ!!」


「この保冷箱も魔道具かしら?不思議な力を感じるわねぇ」


「うむ!」


肉や野菜を網の上に並べていると俺の服の袖を後ろから引くライア。


「ん?ライアも食べてみる?」


「野菜は食べる。お肉は嫌い」


「そうか。んじゃちょっと待ってね。ライアには特別に」


【ふるさと納税】のリストを開いてシャインマスカットと白桃、巨峰、そして追加でメロンをチョイス!

さらに林檎で有名な県の100%果汁のリンゴジュース!

危機的状況で助けてもらったし、今日くらいは少し高級な果物を盛大にね。


「んん!!知らない!この果物知らない!!リンゴの飲み物!!」


普段無表情に近いライアが目を輝かせてぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいる。可愛い。

喜んでもらえてよかった。

この中に好物の果物があれば、毎日は無理でもこれから定期的に買ってあげようかな?


「量が多いからみんなと食べてね」


「ん。みんなと食べる。もっと美味しい!」


うんうん。

人目を気にしなくていい禁足地だからこそ盛大に【ふるさと納税】の振る舞いBBQが出来てよかった。

飲んで騒いで今日の疲れを癒してもらおう。

って、全員そんなにビール飲んで見張り大丈夫?

ああ、ライアが見張るから心配いらないって?

了解。


「よし!んじゃ改めて、みんなの無事を祝ってカンパーイ!!」


「「「「「かんぱーい」」」」」




所持金 金貨106枚 銀貨7枚 黄銅貨4枚 青銅貨2枚



ここまでお読みいただきありがとうございます!

ブックマークや評価をいただけると励みになります。

誤字脱字等ありましたら、お気軽にご報告いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。