第23話(第2章第10話):外交の危機!義兄家族との『親戚バーベキュー対決』
作戦開始時刻、日曜日午前1130(ヒトヒトサンサンマル)。
時短家電の配備により要塞化(自動化)を果たした
我が『朝倉家共同司令部』。
だがこの日、我が国は国外における重大な多国間外交――
『親戚合同バーベキュー大会』
という戦場へ臨んでいた。
会場となる河川敷のキャンプ場。
そこに君臨していたのは、義兄(夫の兄)ファミリーであった。
「おう、ケンタ!葵さん!遅かったじゃないか!
ほら、
“男は黙って肉” だ!
葵さん、野菜の下ごしらえと子どもたちの面倒、
悪いけど頼んだよ!」
腕組みをして豪快に笑う義兄。
その横では、義姉が一人で汗だくになりながら
野菜を刻み、ぐずる子どもたちを必死になだめていた。
――そう、
義兄はいまだ『家事・育児は妻の仕事』という
旧態然とした価値観を貫く、いわば旧時代の勢力であった。
「まったく、うちの人は
『俺が肉を焼いてやってる』
って威張るだけで、
準備も後片付けもぜんぶ私任せなのよ……」
ポツリと愚痴をこぼす義姉。
「おいおい、俺は仕事で疲れてるんだから、
休みの日くらい羽を伸ばさせてくれよな!
ケンタもそう思うだろ?」
義兄が「男同士の連帯」を求めて、
参謀(夫・ケンタ)に同意を求めてきた!
(……きたわね。
旧時代勢力からの価値観を踏み絵にする揺さぶり……!)
かつての参謀であれば、
「まあ、男は肉焼き担当ですからね〜」
と調子を合わせてヘラヘラしていたことだろう。
だが!
今の我が国の参謀は違った!
「いや、兄さん。
バーベキューの醍醐味は
『準備と片付けも含めたチームワーク』
だよ」
参謀は一切の迷いなくそう言い切ると、
すっとエプロンを装着した!
「葵、俺が野菜のカットと炭の火起こしを並行してやる!
葵は子どもたちの安全確保と、
義姉さんのサポートに入ってくれ!」
「了解よ、参謀!」
目線ひとつで通じ合う、
朝倉家共同司令部の無言の連携プレイ(フォーメーション)
が発動された!
参謀は素早い手つきで野菜を切り、
火起こしを完璧に完了させると、
義兄が焼いた肉を次々と子どもたちが食べやすいサイズに
カットして配膳。
さらに、子どもたちが退屈し始めると――。
「リク!メイ!
義兄さんのところのユリちゃんも!
みんなでシャボン玉大会やるぞー!」
要人たちの意識を危険な火元から遠ざけ、
完璧な視線コントロールで事故を未然に防ぐ!
「な……なんだあいつ……!?手際が良すぎるぞ……!?」
何もせずビールを飲んでいた義兄が、
開いた口が塞がらない様子で参謀を見つめている。
さらに圧巻だったのは、宴が終わりかけた午後2時
1400(ヒトヨンマルマル)
「よし!葵、俺がトングと網の油汚れを洗ってくる!
葵はゴミの分別と荷物の積み込みをお願い!」
「了解!汁物が漏れないように二重袋でパッキングするわね!」
無駄のない指示出しと、淀みのない完璧な後片付けのフロー!
夫婦がまるで熟練の特殊部隊のように一言も無駄な口論をせず、
圧倒的なスピードで片付けを終わらせていく。
一方、義兄のところは後片付けを巡って
「なんで手伝わないのよ!」
「肉焼いたろ!」
と喧嘩が始まっていた。
「……ケンタ、
お前……いつからそんなにキビキビと手伝えるようになったんだ……?」
タジタジになる義兄に、参謀は爽やかな笑顔で、
しかし誇らしげに言い放った。
「兄さん、俺は『手伝ってる』んじゃないんだ。
朝倉家の『共同経営者』として、当事者でやってるだけだよ」
ドスッ!!
義兄の胸に突き刺さる、参謀の圧倒的な当事者意識(ロジック砲)!
義姉は目を輝かせ、
「葵さん……!
ケンタさん、信じられないくらい素敵な旦那さんになったわね……!」
と深く感動していた。
1600(ヒトロクマルマル)。
帰りの車中。
後部座席で要人たちが楽しそうに眠りにつく中、
私は運転席の参謀へ微笑みかけた。
「……見事な外交戦だったわ、参謀。
マウントを取ろうとした義兄さんを、
圧倒的なチームワークで完黙させたわね」
「ふっ……当然だろ。
俺たちの『夫婦同盟』は、外のどんな旧勢力にも負けないからな」
ハンドルを握る夫の横顔には、かつて
「家事を手伝う兵士」
だった頃の面影はなく、
真のパートナーとしての頼もしさが溢れていた。
外部からのマウントをも圧倒的な絆で跳ね返し、
朝倉家共同司令部の評価はさらに高まったのだった――。
(第2章第10話 終わり)
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