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第17話(第2章第4話):過激派勢力の鎮圧―『パパ嫌い』大作戦

作戦開始時刻、平日1930(ヒトキュウサンマル)。


 家事能力を順調に向上させ、

義実家からの急襲をも見事に防衛してみせた

我が参謀(夫・ケンタ)。


だが、順風満帆に見えた我が『朝倉家共同司令部』に、

予期せぬ内乱(内部反乱)が勃発した。


 発端は、夕食後の『お風呂投入ミッション』であった。


「よし!リク、メイ!今日はパパと一緒にお風呂に入ろうぜー!」


意気揚々と腕まくりをし、浴室へ誘導しようとする参謀。

しかし、リビングにいた国内2大過激派勢力

(リク・5歳長男 & メイ・3歳リクの妹で長女)

から放たれたのは、

あまりにも非情な一言であった。


「やだ!パパとお風呂入らない!ママが良いー!」


「メイちゃんも!パパ嫌い!ママじゃなきゃ絶対やだーーーっ!!」


ガビーン!!


参謀の胸に、見えない矢(拒否権)が深々と刺さる!


「な……『パパ嫌い』……!?なんでだ!?昨日も一緒に遊んだろ!?

なんで急にそんなクーデターを起こすんだ!?」


 ショックのあまり膝から崩れ落ち、頭を抱えて絶望する参謀。

家事・育児に当事者として関わり始め、手応えを感じていた矢先の

『子どもたちからの拒絶』。

参謀のメンタル(士気)は一瞬にして壊滅状態へと追い込まれた。


「……落ち着きなさい、参謀。ダメージを受けるのはまだ早いわ」


 私は絶望する夫の肩を叩き、静かに解説(状況分析)を開始した。


「これはあなた個人が嫌われているわけではないわ。

要人たちにとって、一日の終わりの入浴は

『ママという絶対的安心感』を求める

本能的欲求が強く働く時間帯なのよ。

これを力づくで抑え込もうとすれば、拒否反応はさらに悪化するわ」


「じゃあ……俺はどうすればいいんだ……?

結局、俺じゃママの代わりになれないのか……?」


弱音を吐く参謀。

だが、我が共同司令部の司令官(妻)に、妥協の二文字はない!


「諦めるのはまだ早いわ。

要人たちの支持率を奪還するため、これより『ジョイント共同作戦』を

発動するわよ!」


「ジョイント作戦……!?」


「ええ!私の指示(演出)とあなたの実行力を組み合わせ、お風呂場を

『拒絶の場』から『最強のアミューズメントパーク』へと変貌させるのよ!」


作戦開始!


【作戦ステップ1:特製泡風呂の召喚!】

 私は密かに浴室へ潜入し、シャンプーとボディソープを

巧みに組み合わせて、湯船いっぱいにモコモコの

特製泡風呂バブルバス』を製造!


【作戦ステップ2:参謀による魅惑の演出!】

参謀は泡を頭に乗せて『ソフトクリーム頭』を作り、

お風呂のドアを少しだけ開けて

リビングへ声を張り上げた!


「うわぁぁぁ!大変だー!

お風呂場が泡の王国になっちゃったぞー!

ソフトクリームパパ参戦だー!」


「……えっ!?」


リビングでぐずっていた要人二人の耳が、

ピクッと跳ね上がる。


【作戦ステップ3:読み聞かせ兵器の投下!】

「さらに!今日パパとお風呂に入った人限定で、お風呂の中で

『水に濡れても平気な絵本』の特別読み聞かせ大会を開催しまーす!」


「あわあわ……!?お風呂で絵本……!?」


要人たちの目が、みるみるうちに輝き始めた!


「行く!リク、泡の王国行くー!」

「メイちゃんもソフトクリーム見るー!」


あれほど「パパ嫌い!ママ良い!」と叫んでいた過激派勢力が、

自ら進んで脱衣所へ猛ダッシュ!


「――作戦成功(大勝利)よ、参謀!

今だ、要人たちを収容しなさい!」


「了解っ!!」


浴室から聞こえてくる、子どもたちの弾けるような歓声と

「パパすごーい!」

という大歓声。

参謀は泡で大きな怪獣を作ったり、絵本を臨場感たっぷりに

読み聞かせたりと、

持ち前の全力(ぜんりょく) エンタメ (りょく)を遺憾なく発揮していた。



2015(フタマルヒトゴー)。

ホカホカに温まり、大満足の笑顔で

風呂から上がってきた要人たち。


「ママ!今日のパパのお風呂、すっごく楽しかったよ!」

「明日もパパとお風呂入るー!」


 そう言い残し、要人たちは布団へ入るなり

即座にスヤスヤと爆睡(討ち死に)した。

脱衣所でタオルを首にかけ、満足そうにジュースを飲む参謀。


「……すごかったな、葵。

あんなに拒絶されてたのに、演出ひとつでこんなに変わるなんて……」


「ふふっ。単に『入らせる』のではなく、

『入るメリット(楽しさ)』を提供するのが

子育ての戦略よ。

今日のあなたのエンターテイナーぶり、見事だったわ」


「へへっ……サンキュ。

子どもたちに『明日もパパが良い』って言われた時、

泣きそうになっちゃったよ」


テレくさそうに笑う夫。


「パパ嫌い」という過激派勢力の反乱を見事に鎮圧し、

子どもたちからの厚い信頼(支持率)を勝ち取った参謀。


 朝倉家共同司令部は、また一つ大きな試練を乗り越え、

絆を深めたのだった――。



(第2章第4話終わり)

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