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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
観測深層 ― 忘れられた可能性

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第2話:深層の目

巨大な“目”だった。


深い青の奥。


空とも海ともつかない境界の向こうで、

静かにこちらを見ている。


瞬間。


クロエの頭に、

激痛が走った。


「――っぁ!?」


視界が揺れる。


ノイズ。


無数の声。


知らない記憶。


崩壊した街。


赤い空。


倒れている誰か。


知らないはずの景色が、

脳へ流れ込む。


クロエが膝をつく。


セレナが叫ぶ。


「見るな!!」


白銀の羽が広がる。


光が視界を遮る。


だが。


遅い。


“目”は、

既にクロエを認識していた。


水面が揺れる。


黒い手が、

さらに増殖する。


まるで。


“目”に呼応しているみたいに。


エルの輪郭が激しく乱れる。


「観測汚染、進行」


「記録層が接続されている」


クロエ。


「だから説明!!」


ノクスが低く舌打ちする。


「簡単に言うと」


黒羽を広げる。


「この場所、

世界中の“失敗した可能性”が沈んでんだよ」


空気が止まる。


クロエ。


「……は?」


ノクスは空を睨んだまま続けた。


「選ばれなかった未来」


「消えた世界」


「観測されなかった記録」


「全部ここに沈んでる」


その瞬間。


水面に、

無数の景色が映る。


燃える都市。


壊れた月。


泣いているクロエ。


血塗れのセレナ。


ノイズに侵食されたエル。


全部、

“違う未来”。


クロエが息を呑む。


「なんだよ……これ」


すると。


水面の奥から、

声がした。


『――助けて』


クロエの瞳が揺れる。


自分の声。


また。


『寒い』


『痛い』


『消えたくない』


無数の“クロエ”の声。


セレナが眉をひそめる。


「精神接続……?」


エル。


「深層側が、

クロエへ干渉している」


クロエ。


「なんで私!?」


その瞬間。


巨大な“目”が、

ゆっくり細くなる。


見ている。


完全に。


クロエだけを。


ノクスの顔から、

笑みが消えた。


「……マズいな」


クロエ。


「だから何が!?」


ノクスは珍しく、

真面目な声で呟く。


「深層側がお前を、

“自分達”だと認識し始めてる」

読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

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