表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
観測深層 ― 忘れられた可能性

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
97/121

第1話:沈む記録

静かだった。


波の音すら、ない。


クロエはゆっくり目を開く。


深い青。


どこまでも続く、

蒼い空間。


海にも見える。


空にも見える。


だが違う。


ここは、

“深い”。


足元で、

水面が静かに揺れていた。


立っているだけなのに、

波紋が広がっていく。


クロエは周囲を見る。


少し離れた場所に、

セレナとエルがいた。


二人とも無事だ。


だが、

空気がおかしい。


静かすぎる。


世界そのものが、

息を止めているみたいだった。


空の奥。


無数の線が走っている。


星座。


観測線。


情報記録。


見たこともない光景なのに、

どこか懐かしい。


エルが静かに口を開く。


「……観測深層」


ノイズ混じりの声。


だが以前より、

感情がある。


「世界記録層の最下部」


「観測されなかった可能性が、

沈殿する領域」


クロエが顔をしかめる。


「毎回説明が分かりづれぇんだよ……」


すると。


水面の下で、

“何か”が動いた。


巨大な影。


深い。


形が認識できない。


セレナが即座に翼を広げる。


「下がれ」


クロエも羽を展開する。


黒い羽根が、

青い空間へ溶けるように広がった。


その瞬間。


水面に、

自分の顔が映る。


クロエは目を止めた。


違う。


映っている“自分”が、

笑っていた。


クロエの呼吸が止まる。


次の瞬間。


水面から、

“手”が伸びた。


「っ!?」


黒い手。


ノイズで構成された腕が、

クロエの足を掴む。


水面が爆ぜる。


クロエは即座に飛び退く。


だが。


遅い。


無数の手が、

水面から現れる。


セレナが白銀の羽を振るう。


光が走り、

黒い腕を切り裂いた。


しかし。


斬ったはずの腕が、

また水面から現れる。


エルの瞳にノイズが走る。


「記録再生型……?」


クロエ。


「なんだそれ!」


「消去しても、

再出力される」


「は!?」


その瞬間。


水面全体が揺れた。


巨大な波紋。


空間の奥から、

“何か”が近づいてくる。


ノクスが、

突然空間上部へ現れる。


黒羽を広げながら、

珍しく真面目な顔をしていた。


「おい」


その声だけで、

空気が張り詰める。


「アレ見んな」


クロエが振り向く。


空の奥。


深い青のさらに向こう。


巨大な“目”が、

静かに開いていた。

読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ