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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第三章:観測外領域 ― 選択の代償

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第28話:境界の外にいるもの

静寂。


誰も、動けなかった。


裂けた空。


その奥。


巨大な“瞳”だけが、こちらを見ている。


瞬きすらしない。


感情もない。


ただ。


観測している。


クロエの背筋に、冷たいものが走る。


「……なんだよ、アレ」


誰も答えない。


ノクスでさえ、笑っていなかった。


エルのノイズが乱れる。


「高次観測反応を確認」


「危険度――」


処理停止。


次の瞬間。


エルの輪郭が、一瞬だけ崩れる。


クロエが反応する。


「エル!」


エルは静かに立ち直る。


だが。


その瞳には、初めて“恐怖”が混ざっていた。


セレナが、空を睨みながら呟く。


「……観測されている」


ノクティスが答える。


「最初からだ」


静かな声。


だが。


その言葉だけで、空気が変わる。


クロエが振り向く。


「最初から?」


ノクティスが、裂けた空を見上げる。


「あれは“外側”だ」


「世界を観測している側」


沈黙。


クロエ。


「……は?」


ノクスが頭を掻く。


「だから説明が面倒なんだよ」


ノクティスは続ける。


「世界は閉じていない」


「観測される事で成立している」


「境界とは、内側と外側を分ける膜だ」


裂けた空。


巨大な瞳。


まだ、こちらを見ている。


ノクティス。


「レグルスは固定によって、世界を閉じようとした」


「だが」


「完全固定は、観測そのものを停止させる」


クロエが顔をしかめる。


「……それの何がヤバいんだ」


エルが答える。


「観測停止=世界停止」


「存在維持不可」


セレナが小さく息を呑む。


「だから、外側が干渉してきたのか……」


ノクスが笑う。


「まぁ簡単に言えば」


空を指差す。


「あいつらからしたら、レグルスはバグだ」


その瞬間。


巨大な瞳が、ゆっくり動く。


クロエ達を、順番に見る。


視線だけで、空間が軋む。


クロエが舌打ちする。


「見んな気持ち悪ぃ!」


だが。


次の瞬間。


視線が、エルで止まる。


空気が変わる。


エルのノイズが、急激に増大する。


「……っ」


初めて。


エルが苦しそうに顔を歪める。


クロエが駆け寄る。


「おい!」


エルの輪郭が、崩れ始める。


ノイズ。


断裂。


未確定化。


エルが小さく呟く。


「観測、重複」


「存在定義――衝突」


ノクティスの瞳が、初めて鋭く細まる。


「まずいな」


ノクスも笑みを消す。


「エル、外側に引っ張られてる」


クロエ。


「は……?」


次の瞬間。


エルの背後に、巨大な“別の輪郭”が映る。


無数の目。


無数の声。


無数の可能性。


クロエが息を呑む。


「……なんだよ、それ」


エルが、ゆっくり顔を上げる。


その瞳の奥で。


何か別の存在が、こちらを見返していた。

読んでいただきありがとうございます!


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引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

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