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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第三章:観測外領域 ― 選択の代償

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第14話:観測の代償

揺れている。

クロエの輪郭が、曖昧だ。


「……まだ、いける」


その声すら、少し遅れる。


セレナが叫ぶ。

「もう十分だ!」


クロエは止まらない。


「まだ足りない」


踏み込む。


だが――


視界が崩れる。


上下が、分からない。


「……っ」


その瞬間。


レグルスが動く。


「終了だ」


最短の軌道。


確定された一撃。


クロエに届く――


その直前。


「――介入」


エルの声。


空間が、止まる。


ほんの一瞬だけ。


レグルスの動きが、遅れる。


「……観測干渉?」


レグルスの視線が、エルへ向く。


エルの輪郭。


さらに薄い。


ノイズが走る。


「……最終処理、開始」


クロエが振り向く。


「エル?」


エルが言う。


「勝利条件、再定義」


セレナが察する。


「……やめろ」


エルは止まらない。


「対象:レグルス」


「能力:選択固定」


「対抗手段――」


一瞬、ノイズ。


「観測の“外側”を生成」


クロエが理解する。


「……それって」


エルが続ける。


「観測者の放棄を伴う」


沈黙。


セレナが低く言う。


「……戻れないぞ」


エル。


「肯定」


クロエが一歩近づく。


「ちょっと待てって」


エルを見る。


その姿。


もう、安定していない。


「それやったら、お前――」


言葉が、詰まる。


エルが、静かに言う。


「存在維持は、保証されない」


クロエが、歯を食いしばる。


「ふざけんなよ」


セレナが言う。


「他を探せ」


エルが否定する。


「時間不足」


レグルスが、再び動く。


「排除を継続」


圧が戻る。


世界が、固定される。


クロエの動きが、止まりかける。


エルが、最後に言う。


「結論」


ノイズ。


「最適解」


クロエが叫ぶ。


「やめろって言ってんだろ!!」


一瞬。


エルの動きが止まる。


ほんの、わずか。


「……例外」


小さく。


「感情干渉、確認」


クロエが、手を伸ばす。


届かない。


「……でも」


エルが続ける。


「それでも」


一拍。


「選択する」


その瞬間。


エルの輪郭が、弾ける。


光じゃない。


“情報”がほどける。


空間に、広がる。


「観測領域――解放」


世界が、ズレる。


レグルスの周囲に、初めて“外”が生まれる。


固定が、歪む。


「……何をした」


レグルスの声に、わずかな揺れ。


クロエの体が、動く。


今度は、止まらない。


「エル……!」


だが。


そこに、もう形はない。


声だけが、残る。


「……実行完了」


「観測外領域、展開」


セレナが目を見開く。


「……自分ごと、外に出たのか」


クロエが、拳を握る。


震える。


だが。


前を見る。


「……バカ」


小さく呟く。


そして。


笑う。


「ちゃんと繋げよ」


レグルスが構える。


だが。


もう、完全ではない。


固定に、“穴”がある。


クロエが踏み込む。


今度は。


“選べる”。


崩れた世界で。


消えかけた仲間の中で。


それでも。

読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

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引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

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