表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第三章:観測外領域 ― 選択の代償

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/94

開章:遅れて成立する世界

本作は『黒翼契約譚レイヴン・クロニクル』の続編です。

前章からの流れを踏まえた内容となっておりますので、未読の方はそちらからの閲覧をおすすめします。


本章では「代償」を主題に、選択が何を失わせるのかという一点に焦点を当てて物語が進行していきます。


すべての決定には、等価ではない“喪失”が伴います。


引き続き、お楽しみいただければ幸いです。

風が、ない。


クロエは足を止めた。


「……止まってる」


違う。


“存在していない”。


セレナが周囲を見る。


空はある。

地面もある。

景色は崩れていない。


だが――


「……音が遅れる」


足音が、あとから来る。


エルが応じる。


「観測処理――異常」

「時間軸、同期不全」


わずかな間。


「現在位置――不明」


クロエが一歩踏み出す。


踏んだはずの足が、

“あとから”そこに存在する。


「……は?」


セレナが低く言う。


「順序がズレている」


原因と結果。

行動と成立。


その関係が、成立していない。


エルが告げる。


「観測順序、未確定」

「結果の固定、未成立」


つまり――


まだ、決まっていない。


クロエが、空に手を伸ばす。


何もない場所へ。


「……選ぶよ」


その瞬間。


遅れていた“結果”が追いつく。


風が、生まれる。

音が、成立する。

世界が、固定される。


セレナが目を細める。


「……今のは」


エルが答える。


「選択による、現実確定」


クロエが息を吐く。


「なるほどね」


空を見る。


まだ、何も決まっていない空。


「じゃあさ」


一瞬、間を置く。


「間違えたら――どうなる?」


沈黙。


エルが、わずかに遅れて応じる。


「……未観測」


セレナが続ける。


「保証はない、か」


クロエが小さく笑う。


「いいじゃん」


一歩、踏み出す。


何かが、わずかにズレる。


セレナの視線が、ほんの一瞬だけ遅れる。

エルの記録に、微細な空白。


誰も、まだ言わない。


クロエだけが、気づく。


「……もう始まってるな」


風が、吹く。


今度は、確かに。


ここは――観測の外。


選ばなければ、存在しない世界。


そして。


選ぶたびに、何かが削れていく。


“結果は、あとから来る”。

読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ