第二章 終幕 ― 選べる世界で
笑い声が、遠くで響いていた。
誰かの日常。
崩れていない世界。
クロエは、ゆっくりと目を開ける。
草の上。
寝転んでいたらしい。
「……うるさ」
小さく呟く。
だが、嫌ではない。
起き上がる。
空を見る。
青い。
普通の空。
「……戻った、か」
セレナが、すぐ横にいる。
「完全ではないがな」
クロエが軽く肩を回す。
「でも、前よりマシ」
セレナは、短く頷く。
「ああ」
エルが、少し離れた場所で空を見ている。
「観測不能領域、微弱残存」
クロエが笑う。
「まだいるってことね」
エルが答える。
「可能性は高い」
クロエは、少しだけ目を細める。
胸の奥。
あの感覚。
「……消えてない」
セレナが問う。
「何がだ」
クロエは、少し考えて。
「……鍵」
エルが反応する。
「概念的キー、保持確認」
セレナが静かに言う。
「パスワードか」
クロエが笑う。
「そんな感じ」
完全には分からない。
だが、それでいい。
クロエが立ち上がる。
遠くで、誰かが笑っている。
普通の世界。
それでも。
空は、わずかに揺らいでいる。
クロエが、前を向く。
「で、どうする?」
セレナが答える。
「選ぶ」
迷いはない。
エルが続く。
「選択継続、確認」
クロエが笑う。
「だよね」
三人が並ぶ。
同じ方向を見る。
まだ見えない先。
それでも、確かに続いている道。
クロエが、一歩踏み出す。
「行こっか」
セレナが並ぶ。
「ああ」
エルが続く。
「次段階、移行」
世界は、まだ揺らいでいる。
だからこそ。
選べる。
未来は、一つじゃない。
その先へ。
三人は、歩き出す
第二章「選択の連鎖」、終幕「選べる世界で」。
ひとつの区切りとして、ここまで辿り着きました。
この章では、「選ぶ」ということを描いてきました。
正解がなくても、揺らいでいても、それでも選び続けること。
クロエたちも、まだ未完成のままです。
だからこそ、進めるのだと思います。
物語はここで終わりではありません。
“その先”へと、続いていきます。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
――選択は、まだ続きます。
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