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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第二章:未確定領域 ― 選択の連鎖

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第2話:未確定侵食

黒が、広がる。

クロエの終焉が、空間そのものを侵食する。

「――全部まとめて終わらせる!」

闇が、波のように広がる。

それは単なる攻撃ではない。

“範囲そのものを終わらせる”現象。

外側の存在たちが、揺らぐ。

輪郭が、歪む。

存在が――“確定しかける”。

エルが目を見開く。

「……いや、違う」

わずかに、言葉が遅れる。

「これは……確定ではない」

ノクティアが補足する。

「終焉による“仮固定”を確認」

クロエが歯を見せて笑う。

「当たんなきゃ意味ないんでしょ?」

「なら、逃げ場ごと消せばいい」

セレナが即座に動く。

「維持する」

光が展開される。

クロエの終焉で歪んだ空間を、崩壊しきる前に“繋ぎ止める”。

黒と光が、干渉する。

壊す力と、支える力。

だがそれは――

不思議なほど噛み合っていた。

一瞬。

二人の動きが重なる。

完全に。

ズレなく。

エルの思考が、止まる。

「……なぜ」

その一致は、異常だった。

その瞬間。

空間が、歪む。

今までとは違う歪み。

より深く。

より静かに。

ノクティアが警告する。

「上位干渉、検出」

「個体レベルを超過」

クロエが顔を上げる。

「……来た?」

“それ”は、そこにいた。

最初からいたかのように。

「――また会ったね」

声。

静かで、柔らかい。

だが。

世界が、その声を中心に“整列する”。

クロエの目が細くなる。

「……あー、やっぱお前か」

セレナが低く言う。

「前回とは違う」

「干渉深度が、段違いだ」

エルが呟く。

「……これは」

結論が出ない。

「……未定義」

その存在は、微笑む。

「前は、“触れられなかった”でしょ?」

軽く。

当たり前のように。

「でも今は――違う」

「やっと、“ちゃんと”会えた」

名を、名乗る。

「アウラ」

その瞬間。

“世界の前提”が、書き換わる。

クロエの終焉が、止まる。

セレナの光が、揺らぐ。

エルの構造が、軋む。

すべてが――

“無かったことにされかける”。

「――っ!」

クロエが踏み込む。

だが。

動く前に、“動かなかったことになる”。

「……は?」

アウラが、静かに言う。

「結果だけじゃないよ」

「過程も、いらない」

セレナが歯を食いしばる。

「……因果そのものを書き換えている」

エルが、小さく呟く。

「……違う」

一瞬の沈黙。

「これは、“確定する前の意思”だ」

アウラが、わずかに反応する。

「へぇ」

初めて。

興味を示した。

その視線が、エルに向く。

「君」

「面白いね」

その瞬間。

エルの内部で、“何か”が揺れる。

記憶ではない。

だが――

確かに“人間だった頃”の残滓が、微かに軋む。

クロエが割り込む。

「よそ見してんじゃないよ」

黒が、再び広がる。

「終わらせるって言ったでしょ」

アウラは微笑む。

「やってみなよ」

その一言で。

戦場の温度が変わる。

これは戦いではない。

“世界の定義”の衝突。

そして――

まだ誰も知らない。

この戦いが、

どこまで壊れるのかを。

読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

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