↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
観測深層 ― 忘れられた可能性

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
117/121

第21話:迎え

静寂。


誰も動かなかった。


裂け目の向こう。


外側の存在。


無数の瞳。


巨大な顔。


その全てが。


最初のクロエだけを見ていた。


クロエは息を呑む。


嫌な予感がする。


本能が叫んでいた。


駄目だ。


行かせるな。


だが。


理由は分からない。


最初のクロエは空を見上げる。


群青の瞳。


そこに恐怖はなかった。


むしろ。


諦めに近かった。


『そっか』


小さく呟く。


『やっと終わるんだ』


クロエの胸がざわつく。


「待て」


少女は振り向かない。


「待てよ」


今度は大きな声。


観測深層が揺れる。


少女の肩が止まる。


クロエは一歩前へ出た。


「終わるって何だよ」


少女は静かだった。


長い沈黙。


そして。


『疲れたんだ』


その言葉は。


あまりにも小さかった。


クロエの呼吸が止まる。


少女は続ける。


『何万回も』


『何万回も』


『世界が壊れるのを見た』


群青の瞳が揺れる。


『みんな消えた』


『何度も』


『何度も』


エルを見る。


セレナを見る。


ノクスを見る。


そして。


今のクロエを見る。


『君も見たよ』


静寂。


『いっぱい』


クロエは何も言えない。


少女の声には。


怒りもない。


恨みもない。


ただ。


積み重なった時間だけがあった。


裂け目の向こう。


外側の存在が。


ゆっくり手を伸ばす。


今までの指とは違う。


腕。


本当の腕。


世界を覆うほど巨大な腕。


観測深層が悲鳴を上げる。


セレナが前へ出る。


「下がれ!」


白銀の翼が広がる。


黒いノイズが走る。


エルも立つ。


存在が崩れながら。


それでも。


前へ。


だが。


最初のクロエは首を振った。


『駄目』


セレナ。


「何?」


少女は静かに笑う。


『この人は』


『私を迎えに来ただけ』


空気が凍る。


ノクスが顔をしかめる。


「迎え?」


少女は頷く。


『約束だったから』


クロエの瞳が揺れる。


約束。


またその言葉。


エルとの約束。


世界との約束。


そして。


外側との約束。


全てが繋がり始める。


その瞬間。


クロエの継承記録が開く。


深層主の最後の記録。


最も古い記録。


最初の観測の日。


そこに。


確かに映っていた。


幼い群青の瞳の少女。


そして。


空の向こうの存在。


二人は。


言葉を交わしていた。


『見つけた』


外側の存在。


『君を覚えておく』


少女。


『なら』


『私も覚えてる』


記録が途切れる。


クロエの顔色が変わる。


まさか。


最初のクロエは。


ずっと。


観測され続けていた。


だから消えない。


だから残った。


だから。


迎えが来た。


少女は静かに空を見る。


群青の瞳に。


ほんの少しだけ涙が浮かぶ。


『長かったなぁ』


その瞬間。


観測深層の最奥で。


誰かが笑った。


聞いたことのない声。


だが。


どこか懐かしい声。


そして。


深層のさらに奥。


存在するはずのない場所に。


もう一つの扉が現れた。

読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。