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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
観測深層 ― 忘れられた可能性

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第11話:前回の失敗

三本目の“指”が現れた。


深層全体が震える。


空が軋む。


水面が割れる。


まるで世界そのものが、

悲鳴を上げていた。


クロエは空を見上げる。


「……おい」


声が震える。


「一本増えてんだけど」


ノクス。


「見りゃ分かる」


珍しく余裕がない。


セレナも表情を曇らせる。 


三本。


それはつまり。


侵食が進んでいる証拠だった。


その時。


深層主の瞳が、

再び光る。


青白い観測線が走る。


空間投影。


さっきの世界の続きを映し出した。


崩壊した都市。

黒い海。

砕けた空。



そこを走る三人。 


黒髪の少女。


銀髪の少年。


銀髪の少女。 


クロエ達と同じ。


だが。


少しだけ違う。


エルの輪郭は、

今より不安定だった。


セレナの翼は、

既に半分崩れている。 


そして。


クロエだけが、

泣いていた。


現実側のクロエが息を呑む。


「……私?」


映像のクロエは、

必死に何かを叫んでいる。


 


だが聞こえない。


音がない。


ノイズしかない。 


そして。


空が割れた。


白い“指”が降りる。


世界が崩れる。


映像のエルが、

クロエを庇う。


その瞬間。


消えた。

存在ごと。

 


まるで最初から、

居なかったみたいに。


クロエの瞳が大きく揺れる。


隣を見る。 


今のエル。


まだいる。


だが。


映像では消えた。


完全に。

 

セレナが呟く。

「前回……」 


エルも空を見ていた。


静かに。


「失敗した世界」


クロエ。

「前回ってなんだよ」


誰も答えない。


深層主だけが、

静かに映像を流し続ける。


崩壊。


消失。


終焉。


そして最後。


映像のクロエだけが残った。


一人。

瓦礫の上。


泣いている。


その瞳が、

こちらを見る。


そして。


今度は、

はっきり聞こえた。


『お願い』


世界が静まる。


『今度こそ』


『エルを消さないで』


クロエの呼吸が止まる。


エルの瞳が揺れる。 


感情。

戸惑い。

理解できない何か。


その全てが混ざる。


そして。


深層の奥から。


巨大なノイズが響いた。


深層主ですら、

動きを止めるほどの異音。


ノクスの顔色が変わる。


「……来るぞ」


クロエ。


「何が」


 

ノクスは空ではなく。


さらに奥。


 

“指”の向こう側を見ていた。


 

「本体だ」


読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

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