第8話:接続者
エルの身体が、
青い光へ溶けていく。
クロエの顔色が変わる。
「お、おい!!」
エルは振り返らない。
銀髪が、
ノイズ混じりに揺れていた。
「深層接続を開始」
「外側干渉の固定化を阻止する」
クロエ。
「意味分かんねぇよ!!」
ノクスが舌打ちする。
「つまり!」
「アイツ、
自分を深層と繋げる気だ!」
セレナの瞳が揺れる。
「そんな事をすれば……!」
エル。
「問題ない」
だが。
その声は、
少し震えていた。
深層主が咆哮する。
巨大な腕が、
再び“指”へ叩きつけられた。
轟音。
空間崩壊。
深い青の空間が、
さらに割れていく。
その裂け目の向こう。
“黒”が広がっていた。
何もない場所。
存在すら消える領域。
クロエの呼吸が乱れる。
見ているだけで、
自分が薄れていく。
すると。
水面の下から、
無数の手が伸びた。
深層残骸達。
崩れた人影が、
エルへ縋りつく。
『繋げ』
『戻せ』
『観測しろ』
壊れた声。
エルの輪郭が激しく乱れる。
ノイズ。
黒いヒビ。
セレナが叫ぶ。
「離れろ!!」
白銀の光が走る。
だが。
斬っても、
深層残骸は止まらない。
次々と、
エルへ取り付いていく。
クロエが羽を広げる。
「クソッ!!」
黒翼が爆ぜる。
紫黒の衝撃波が、
周囲を吹き飛ばした。
一瞬だけ、
静寂が戻る。
その時。
エルが、
初めてクロエを見た。
静かな瞳。
無機質だったはずのその目に、
微かな感情が浮かぶ。
「……クロエ」
クロエ。
「なんだよ!」
短い沈黙。
そして。
「俺を、
観測しろ」
空気が止まる。
クロエ。
「……は?」
エルの身体が、
さらに崩れていく。
ノイズが、
存在を侵食していた。
「深層に接続した存在は、
固定されなければ消える」
「だから」
微かに笑う。
「お前が、
俺を覚えていろ」
クロエの瞳が揺れる。
その瞬間。
“指”が、
さらに深く世界へ侵入した。
轟音。
空間が砕ける。
深層主が叫ぶ。
そして。
扉の奥から。
もう一本、
“指”が現れた。
読んでいただきありがとうございます!
少しでも面白いと思っていただけたら、
ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!
引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!




