昔取った杵柄
「そろそろ行きましょうか」
パパとさくらは会社へ、ひばりは大学に行った。
洗濯も掃除も終わった。
夕方まで主婦のフリータイム。
私はクローゼットからヘルメットを出した。
ダメ元で実家の母に電話したら
「アンタのヘルメットなら納戸にあるよ」
まさかの返事。
母の“捨てられない病”も役に立つものだ。
一昨日、実家に取りに行ってきた。
玄関の鍵を締めて駐輪スペースへ。
パパのカブのカバーを外して道路まで移動。
カブに跨がりエンジンをかける。
“トトトト--”
軽い振動が身体に伝わる。
(懐かしいわ〜)
四半世紀振りの振動に記憶が甦る。
ーーそう、結婚前はバイクに乗ってたんです。
しかもナナハン(排気量750ccのバイク)に。
パパたちが楽しそうに乗ってるから
私も乗りたくなったの。
昨晩パパに「貸して」と頼んだら
「気をつけてね」と二つ返事でOKだった。
「レッツゴー!」
カブをスタートさせる。
スピードは出ないが、風を切る感覚は
昔の記憶と変わらなかった。
昔はカブなんてオジサンのバイクだって、
ちょっとマウントしてた私。
分かってなかったわ。
バイクの鼓動を楽しんでいたら
いつの間にか県境まで来ていた。
(そろそろ帰らないと)
Uターンして、来た道を戻った。
家に着きカブを駐輪スペースに戻していると
ひばりが帰ってきた。
「えー、ママもバイクに乗れるの?」
「そうよ、ナナハンライダーなのよ」
(娘よ、母の隠された実力に驚いた?)
「ーーナナハンライダーってなに?」
「大型バイクに乗れるってことよ」
(ナナハンって通じないの?)
「へぇ、スゴイじゃん」
ひばりのリアクションが薄い。
いや、久しぶりにバイクに乗ったので
私のテンションが高いのかもしれない。
「ところでママ、そのヘルメットさぁ
ラメ入りの赤色はキレイだけど
後頭部の金色の昇り鯉はちょっと…」
そう言い残し、ひばりは家の中に入った。
昔の私に小一時間ほど問い詰めたい。
(なんで昇り鯉のステッカーをチョイスした?)
ヨシ!
今週末にパパと一緒にヘルメットを買いに行こう!
こんばんは、小鳥遊ママです。
パパや娘たちが楽しそうにバイクに乗ってるのを見たら
我慢できなくなって跨っちゃっいました。
小さくてもバイクはバイクね。
あの風を切って走る感覚は最高だわ。
私もパパにバイク買ってもらおうかしら。
次回
「家族旅行に出発」お楽しみに!
2026年8月12日(水)公開です。




