他愛もない記事
それからは何を話したのか、彼はあまり憶えていなかった。
あの店がおいしい、お口に合うかわからないが。
最近はブロンテ先生の刊行ペースが落ちてる?読んでいるか?
などだった。
流行りの小説は読んでいないと答えるといくつかおすすめをされたが、買う金が無いのだ。おそらく買わないだろう。
庶民が手に届く本と言っても限度があるだろうから。
片付けられたテーブルを見てすでに昼飯のことを考えていたヴィルヘルムは、自分がなんだかどうしょうもなく堕落した存在に思えていた。
気がつくのが遅いというべきだと思うのだが。
今までを考えたら気がついただけマシかも知れない。
「ああ、読みかけだったな」
ヴィルヘルムは畳んだ新聞を広げて目を通し始めた。
『バンサ伯爵邸の元オーランデルクの使節団、退去か?唐突に押しかけてきた深い害虫ことオーランデルク使節団であったが、見事なことに恥をかかされ、その上国家まで失った。まことに痛快であると思う。さて、この自称オーランデルクなる国家であったものの使節団は今後どうなるのか。我が国に大した連絡もなくやってきて住処をねだったこの盗賊団はその法的根拠を失い、居場所がなくなった。大使館はオーランデルクの滅亡を持って閉鎖。そして彼らの地位も喪失された。さて、なぜこのような連中をバンサ伯爵邸に住まわせる必要があるのだろうか?本来であれば直ちにでていくべきである。そのうえ滅亡後に住んでいるが滞在費が支払われた形跡がない。オーランデルクはライヒベルク公爵令嬢にしてサミュエル王国王太女、そしてクーゲンホルフ国王であられるエリーゼ・ライヒベルク陛下はクーゲンホルフの財産をオーランデルクから取り戻すために今、財産の算定をしている。ならばこの不法占拠者を叩き出し、使用量を支払わせる必要があると思われる、。は習えない時は彼らは濃くs系もなく、大使でも使節団ですらもはやない以上は存在しないも当然である。所詮オーランデルクのもっとも嫌悪する連中なのだから支払えなければそのまま王都広場な見世物にするべきである。この時期に住み続けるとは思えない、おそらくは退去すると思われるが、それが自主的かあるいは法的措置によるものかはわからない。少なくとも退去は見据えるべきであろう』
退去する気配があるのではなく、退去して当然であるという記事であった。
まったくもって正しい報道ではない、いわば願望のようなものであった。
ただ、これが市民の求めるものと考えるべきか?
それとも近々実力行使で退去させることを含めて行動に出るということを匂わせているのだろうか?
新聞に慣れていないヴィルヘルムにとってはただのくだらぬ願望記事か、なんらかの目的がある記事なのかがわからなかった。
殺すならとっとと殺してしまえばいいのに。
『幽霊屋敷売却。心霊スポットとして有名なグレイ・フルセーン伯爵邸が売却された。久々の売却であるが前々回のように心霊体験として宿泊コースなどが組まれたりするのかが気になるところだ。なぜ現所有者が手放したのかは不明だが、うっかり宿泊した可能性も否定できない。記者が昨日見に行ったが騎士が警護しており、今後は無断で入ることはできない。まさか邸宅として使いはしないと思うのでまた宿泊コースのある邸宅訪問ができることに期待したい。きっと楽しい体験ができいるだろう。なおすべては自己責任で』
なるほど、貴族が戻ってきてるからだろうか?それとも減ったからであろうか。
どちらもか。
どうやらどこかのバカ貴族が幽霊屋敷を掴まされたらしい。
ただの警備ならまだしも、騎士に守らせているのだから知らずに買ったのであろう。哀れなものだ。
しかしフルセーン伯爵とは聞いたことがない。
相当昔の貴族だろうか?それとも亡命貴族だっただろうか?
それにしても心霊体験ができるような場所をわざわざ金を出して宿泊するなど庶民は狂っているのだろうか?
私は神なぞ信じたこともないし、王族としての教会のつながりも最低限の形でしかない。
建国時より神は平民がすがるだけのただの置物であると伝えられている。
それでも逸翁あったほうが便利だから権力をもたせるように維持している。
そんな頼りないようなものを民ですら信じていないのに幽霊は信じるのか?
不幸があっただけで幽霊が出るのであれば私は王宮でどれだけ見たかわからないとうのに。
記事の愚かさを鼻で笑いながら今日見た夢を追い出したヴィルヘルムはそっと首をさすった。
ただの夢だ。
まさか当の幽霊屋敷に自分が住んでいるとは思わないヴィルヘルムはバカなやつもいたものだと記事を見ていた。
記事の後ろに関連記事ページ数まで書いてあるのでそちらを先に見る。
『幽霊屋敷、とうとう手放される。帝都のあの有名な幽霊屋敷がとうとう手放された。さる高名な夫人が手にしてから管理してきたがとうとう諦めたようだ。さる高名な夫人は栄達が約束されたのでこのような負債を早々に手放してしまおうと思ったのかも知れない』
経済記事もある辺りはよほど有名な屋敷だったのだろうか?
それともこの屋敷は別物だったりするのだろうか?
関連記事だからおそらく同一だろうとヴィルヘルムは考えていた。
ブタン子爵夫人「無断侵入が相次いでめんどくさい」




