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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
幽霊屋敷の廃王子

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平民から見た王家周辺貴族

「我々の生活を支えてくれたのは公爵家の方々です。本当に感謝しております」


 マッチポンプにもほどがある行いであるが知らない帝都の民は感謝していた。

 知っていてもどう反応したのだろうか?王家が余計なことをしたからと思うか、公爵家は王家に従えと思うのか。

 それとも……。


「新聞も、街灯も、新しい料理も、庶民でも見られる劇場も、安価な本も、すべて公爵家の方々がもたらしたものです。食料も増えましたし、良さげな工芸品も入ってきました。どれほど我々が感謝したか。王家は我々に何も与えませんでした。税を奪うだけです」


 王都に住んでいるのだから税金は取られるだろう。

 公爵家が王都で税を取るわけはないのだから王家が税を取るというのは事実でしかない。

 ただ。王家が何を与えなかったと言われるとそうなるだろう。

 上がる物価、不足する物資これに手を打てない時点で怒りが向かうのは当然である。

 原因が公爵家であったとしても、王家がそれを公表したところでどうなるものか。

 貴族はそうだと声を上げても王都に住まう民はどうなるか。

 公爵家が帝国の皇女と婚姻をして大きく力をつけた時点で王家も貴族も非難しづらくなったのも事実であった。辞めるとはいっていないが。

 公爵家のせいでこの状況があると言われても、その息子はただの内務官僚、公爵本人は北部で蛮族に備えている。

 庶民でもそれが何だと思うだろうし、少し賢ければ蛮族に備えているから仕方ないのではないかと思う、裏を読めばそのお金を中抜きしてるんだと思うが……。

 かといって税を収められたところで何も改善はしないだろう。

 結果が出るのには時間がかかる。

 その間税を収めたのによくならないということはどういうことだと公爵家が民衆を焚き付けたかも知れない。


「新聞で貴族の方々が何を考えているかも知れます。どのようなろくでなし貴族がいるかも。目に見えない第2王子たちが1年で減ったのは喜ばしいことばかりです」


 その新聞も王都の民衆を操るためのものなのだ。

 安価な本も人々に読み物を与え、趣味を増やし、識字率の向上につながるように。

 孤児院はその役割を果たし、平民用の教育施設も公爵家の資本で作られている。

 そして公爵家の、公爵家の派閥、親しい貴族の邸宅周辺や関係のある家や店には街灯が付く。

 料理も蛮族が作り、広める。

 やることを考えれば公爵家が王都を改革してるようなものだ。


 唯一、これを指揮する公爵令嬢が本当に趣味でやっているのは劇場の設立や、青空演劇などくらいのものだ。

 それが莫大な資本のもとで趣味として消費し、莫大な利益になって戻ってくることになった。

 この演劇が王家批判を含め、公爵家の持ち上げ、反公爵家貴族批判。

 芸人の寸劇も含め人を増やし、王都の民衆は新聞との合わせ技でやはり王家がダメなのだという思いを強めていた。


「そうか、ずいぶん減ったものな」


 兄が生きている頃から自分の周りにいたが、いざ兄が死んでしばらくするとが離れるのが早かった貴族たちを思い出してヴィルヘルムは哀愁漂う雰囲気を漂わせていた。

 担ぎ上げ甲斐もないが、担ぎ上げる素振りをしていたら少しはそれらしく見られるという派閥とも言い難い派閥の集まり。

 それがいざ王太子が死んで自分たちに出世の芽が!と思ってみればヴィルヘルムはこれである。

 関われば関わるほど自分たちが危険になる存在だということは最初からわかってはいた。

 反公爵派以外の貴族、彼らは少しだけ期待していたのだ。

 婚約する公爵令嬢はたしかに頭がおかしいかも知れないが、この第2王子を抑えてくれると。

 蓋を開ければ第2王子はその公爵令嬢に喧嘩を売り、公爵令嬢はお受けに婚約を破棄することをと言いながら王家と融和することすら拒否した。

 取り巻きどもにしてみれば婚約をあのようにするのは不敬だと第2王子に落ち度があっても嘆いて文句を言うしかなかっただろう。

 それから第2王子は結局ダメなまま。新しい教育係で反公爵派のルーデンドルフ侯爵はさじを投げて、心が折れ、そのまま公爵家の派閥に鞍替えをした。

 それからは人は一気に離れていった。

 その上平民と学園で仲良くしていると意味深な言われ方もされればこれ以上は芽がないどころか急死するぞとすら思うものだ。

 公爵家が先代国王を殺したのは確かなのだ、王子の一人くらい大したことではない。

 貴族たちはそう考え、逃げた。

 それでも過去の行いからは逃げられず殺されていく。

 もちろん逃げどきを見失ったものも、逃げたところでどうにもならないからその場にいたものの。

 ヴィルヘルムには忠誠を誓ってくれる人間がいなかった。

 それは自らの行いのせいであったが、彼がそれなりでもどこまで行けたのかと言われれば王太子になることはなかっただろう。

 兄を超えることはできなかっただろうし、兄も彼が自分を超えることはないと思っただろうから何もしなかった。良き右腕にもならない。


「風通しが良くなったではないですか」


 その言葉は平民が今の貴族に思うすべてであった。

 ヴィルヘルムも公爵と敵対してる、王家に近い貴族なんて死んでほしいと思っているということかとどこか他人事のように思うのであった。

エリー「計画通りですわ」

アーデルハイド「ここまでの成功は想定外でしょう。何このデカい劇場」

エリー「大都市に作りますわよー」

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