表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
幽霊屋敷の廃王子

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

711/722

酷評

 近衛騎士が出ていった部屋の中でヴィルヘルムは見出しを眺めていた。

『国家の癌、王族の権利を失う!廃王子に!』

 文章を読むか読むまいか考えたくなるような煽りにヴィルヘルムは少しだけ悩んでいた。

 ろくなことが書いてないことだけはわかる。

 挿絵がないのが唯一の救いか、あるいはわざわざ描かないでもわかるだろうという判断か。

 もしくは、描きたくもないか描いても売上に貢献しないと判断されたか。

 ヴィルヘルムはその見出しの大きさに自分の影響力を言い出すべきなのか、それともそれだけ嫌われていただけだと思ったのか。

 国家の癌とまで言われたヴィルヘルムの心境はさぞかし複雑であっただろう。

 自分では見えない首の痣を気にし、違和感までは感じないままようやく内容を読むつもりになったヴィルヘルムは新聞を開いた。


『国家の癌、王族の権利を失う!廃王子に!』

『めでたきことは良きことである。誰の言葉だっただろうか?少なくとも我々はその言葉が真実であることを保証する。この王国の癌、王子の肩書を持つだけの醜悪なる異形の怪物、ヴィルヘルム・サミュエルが正式に王族の権利を喪失した。以降は爵位もない元王族として行きていくことになり、王宮を追放され、王城への登城も禁止された。王子の権利すら喪失した以上、もしも町中でものを奪ったのであれば思わず斬り殺してしまっても問題は起きないということである。窃盗犯を取り押さえる際にうっかり殺すことが罪であろうか?ジョージアナ・スペンサー司法大臣に法的見解を聞いてみたところ「かつての犯罪者が再び罪を犯した際は取り押さえる際にうっかり圧死させることもある。ただその罪が確かであるのならそこまで重い罪にはならないであろう。なんといっても前科を持っており、それを裁かれていなかっただけなのだ。未だに裁かれぬ理由を勘違いしているのであれば暴力的制圧手段は許容されるだろう」とのことであった。諸君、王都の治安は保たれる。問題を起こす馬鹿者は今までの恨みをぶつけてしまってもよろしいのだ!平民ヴィルヘルムに厳しく当たれ!町中での一挙手一投足に気をつけ隙あらば殺ってしまえ!我らは法の下、犯罪者を裁く権利を得たのだ!』


 ずいぶんと嫌われているな。

 どこか他人のことのようにそう思ったヴィルヘルムはなるほど、これでは外に出ることはできないだろう。特に顔を知っている人間がどこにいるかわからないのだから。

 つまり、この檻は自分を閉じ込めると同時に自分を守るものでもあったのだ。

 甘いと見るべきか、あと60年近く生きると考えたら苦痛と考えるべきか。

 自分の顔が忘れ去られるまで、近衛騎士がなぜ自分を護衛してるかを忘れるときまで、街に出ることは叶わないだろう。

 その時には新王朝が始まっているのだろうなと思う。


『超法規的措置、違法。司法大臣執務室官僚殺人事件は正式に事故死を撤回。ジョージアナ・スペンサー司法大臣が司法大臣室執務室で勤務する人間が急死した件に関して正式に事故死ではなかったと撤回した。司法大臣は超法規的措置の名の元で事故死に改ざんされたこの事件に関して大変意欲的に調査をしていた。しかし、今日正式に御璽を持ってこの件を暗殺であり、そのうえで超法規的措置にはあたらないことをあらためて公表なされた。そして、超法規的措置はあらためて不可能であり、法的根拠がないことを通達した。また同日のうちにヴィルヘルム・サミュエルが正式に王族の権利の剥奪と王子称号が剥奪されている。今までの報道で御存知の通り、超法規的措置は無法であり、別人の処刑もあったがこうしてこの件は片が付いたと考えるべきであろうか?なお、王宮追放後のヴィルヘルムの行方は不明である。司法大臣はこの件に関しては「王子の称号を持ったまま処刑されるより、すべての権力を喪失したまま生き続けるほうがお好みではないか?財産はすべて没収されている。もっとも没収できる財産があれば市井は泣かなかっただろう。正式に王族でないあの男の負債は王太女殿下には完全に無関係であるが、一部はサミュエル家より放出されるだろう。財産の限りは」とのことである。我々は哀れなヴィルヘルムが王都を出る途中で野盗に殺されるのを祈るばかりである』


 自分が失脚した理由のようなことが新聞には書かれていた。

 本来であれば死刑であるのに無様に生きるから許せというスペンサー司法大臣の見解と、記事によってそれでも死んでほしいという感情が相反している、

 自分を庇ってるように思えるが、冒頭の記事からすると別に死んでもいいがやらざるを得ないから理解せよとも言ってるようである。


「哀れなヴィルヘルム……平民ヴィルヘルム……。こんなものか」


 1ページ目で酷評される自分を見てもヴィルヘルムは激昂することはなかった。

 恨まれ、嫌われ、そいて誰からも惜しまれていないのかも知れない。

 こんな信用できない新聞を信じられるかと言いたいが、近衛の対応を考えるとこの新聞感情がそのまま自分の評価だったのかも知れない。


「朝食の準備ができました」


 ノックの音とその声で新聞の世界から戻ってきたヴィルヘルムは若干落ち込んでいる自分を自覚しながら返事をしていた。

新聞社「煽り立てるぞー」

エリーゼ「好きになさい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ