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第20話:決着

第20話です。もうすぐ第5章も終わりです。



 戦況は最後まで不明のままだった。

 だが、それでも結果だけはあっけなく出るのが選挙だ。


「号外だ!!!」


 投票日、王都は大混乱。地方から投票に来る人間も多く、開票作業は国の一大イベントと化していた。


「『開票率10%で、現在第一王子41%、第三王子59%』か。一対一になって、かなり競っているな。まぁ、10%だから何ともいえないが」

 有権者の地元における支持の地域差などもあるだろうし、全く油断はできない。


「でもいいペースだね。はじめを考えたら信じられないよ」

「そうだな……今、国家警察やフール派が何かしないかは観察しているが、現状は大丈夫そうだ」

 そう言って俺は、カイン派が不正しようとしていないかも見ているのだが。


「公平な選挙を行わせることが俺の第一目標だったからな。なんとかなりそうで本当に良かった」

「こうなると、カインちゃんが勝ったときのこともちゃんと考えなきゃね」

「さすがにもうプランはできてる」


 仮にフールが敗北を認めず、国家警察を動かそうとした場合でも、問題なく戴冠式が行われるようにしてある。国家警察を、選挙結果を無理やり変えるために使わせることはない。

 そして、王ではなくただの王族であるフールはこれからもカインを狙い続けるかもしれない。フールの『犠牲の支配者』がある限り、不安をぬぐうことはできない。基本的にカインの警護はメーレスが行うことになるだろう。結局のところ彼女が実力者であることは確かだ。

 もちろん、何かあった時のために魔道具を彼に渡しておく。これがあればよほどのことがあっても命を失うことはないだろう。まぁ、これに関してはカインの監視という役割もあるのだが……。


「『犠牲の支配者』をどうするか。これは本当に難しい」


 俺はずっと、固有スキルについての研究を進めていた。

 だが結局固有スキルを無効化することはできなかった。どうやら、固有スキルというのは『(おそらく)神』のような何かが直接与えるものらしく、現状俺たち人間の権限ではどうすることもできないのだ。


 『犠牲の支配者』は本当に厄介なスキルだ。それもフールのような悪意のある人間にはぴったりの。


「本当は、簡単な方法はある」

「それって……」


 そう。殺せばいい。スキルを宿した人間を殺してしまえば、スキルも同時に消えることになる。


 だが、それは俺にとってやりたくないことだし、そもそも、そこまでやる理由が俺にあるのかも分からない。

 人の命を、簡単に奪っていいわけはない。


「危険な賭けだが、『魂の牢獄』を使うという方法もある」


 俺のスキル『魂の牢獄』は、対象を精神世界に閉じ込める。

 だが、この前魔人に初めて使って分かったのだが、このスキルは精神、そして肉体への負荷が強すぎるのだ。回復すればいいのだから、肉体は最悪良い。それよりも、少しの時間閉じ込めるだけでも、精神が崩壊し、二度と元に戻らなくなることがあるのが問題だ。

 魔人は人間よりも強い。だから改心させるのに利用できたのだが、人間相手では、改心するよりも前に廃人になってしまう危険性が高い。そこまでいったら、もう殺したのと変わらなくなってしまう。


「ほかに方法ないの?……例えば、呪っちゃうとか」

「呪う、か。それも考えた」

「駄目そう?」

「『犠牲の支配者』が自動のスキルなのが厄介だ。フールの行動を呪いで制限したとしても、何かのきっかけでスキルが勝手に動く可能性はある。フールが心から改心してくれれば、スキルは発動しない可能性が高いが」

「なるほどね」

「それに、呪いを使おうにも、呪いはそんなに器用に運用できるものじゃない」


 最悪の事態も考えなくてはならない。俺はカイン王子を応援すると決めたのだから。


「……結果が出るまでに、結論は出す」




     ***




 投票から4日が経った朝、王都は大盛り上がりだった。


「【開票率100%】カイン王子が63%の票を獲得し、レスト王国国王に。14歳で王位に就くのは歴代最年少。明日戴冠式」

 そう書かれた新聞があちこちで配布されている。


「カインちゃん、おめでとー!!」

「あ、ありがとうございます!」

「ちょっと雪様、カインにあまり近づかないでください!困っているでしょう!」

「えー?でもメーレスさん、カイン君にべったりくっついてるけど……」

「私は良いんです!」


 雪さんと、カイン王子、メーレスの3人はくっつきあっていた。良く分からないが、勝利を喜んでいるんだろうから良いだろう。


「何はともあれ、おめでとうございます。カイン王子」


 彼は、最後の追い上げで見事フールを倒した。最終的には一対一の勝負で6割以上の票を獲得したわけだ。大勝利だろう。

 ……明日にはこの国の最大権力が彼に与えられるというのだから、本当に恐ろしい制度だ。


「これからの支援もしっかりと行いますので、カイン王子は、落ち着いて……いや、言うまでもありませんでしたね」


 彼の眼を見れば、俺の心配などもう不要であることが分かる。


「本当におめでとうございます。()()()




     ***




 俺たちも参加した戴冠式は、問題なく進行した。

 亡くなった王に代わり、大臣がカインに王冠を被せる。

 その後カインは国民に王としてのスピーチをして、戴冠式を終えた。


 この日、レスト王国新国王が誕生した。




-第20話 完-

お読みいただきありがとうございます。

次回第5章最終回です。

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