第14話:再会
第14話です。
「……はい、それでは本日も自由行動を始めたいと思います。皆さん、『魔道具』は持ちましたね?」
「「「はーーい」」」
「では、解散」
俺は昨日一昨日の失態を重く受け止め、生徒たち全員に俺の魔力を付与した魔道具を持たせることにした。
この魔道具は、護身用のバリアとでも言っておこう。
万が一生徒が襲われた時には、自動で魔力の壁が展開され、生徒を守ると同時に俺へと情報が送られて、即座に対応できるというものだ。
暗殺のために生徒が人質にされたり、俺自身が狙撃されそうになったりしたが、なんとかこれで今日から修学旅行はもともとの予定通りに進めることができそうだ。
ホテルを生徒たちが出るのを確認したら、俺もホテルを後にした。
***
……よし。
今日の予定だが、俺も観光を楽しむとしよう。
観光名所を事前に下調べしておいて良かった。
この国で最も古い建造物と言われている神殿にでも行ってみるか。
「しかし……街中は本当に混んでるな……」
俺は街中を人を避けつつ歩いていく。
途中、カフェのような店があったが、あまり好きなメニューがなかったのでスルーした。
そして、歩くこと1時間。
スキルのアシストもあって(ほぼ100%)、道に迷うことなく神殿へと到着した。
「……なるほど、これはいかにも世界遺産の一覧に載っていそうな建物だな」
この世界には、世界遺産のような概念はないらしい。世界全体ではなく、各国が自国の観光名所は保護している、というだけのようだ。
「あそこが受付だな」
この神殿はかなり大きく、入り口に入場ゲートと退場ゲートが設置され、中に入る人を受付で管理している。
入場料は、大人(15歳以上)1人につき150メイ(約150円ほど)で、入場料としては高くはない。神殿の管理費を考えると、厳しいのではないかと思ったが、そもそも来場する人数が想像よりも遥かに多い(世界各国から来る)ので、意外と何とかなるのかもしれない。
「────!!!!!」
「……ん?」
受付に向かって歩いていると、何やら騒がしい。
土煙が巻き起こり、何やら荒事になっているようだ。
「……どうするか…………?」
だがさらに近づくと、俺は聞こえてくる声に聞き覚えがあることに気づいた。
俺は人混みから身を乗り出して声の主を確認する。
「【───】『絶命凍結』」
女性が物騒な言葉を口にすると同時に、その女性を中心として半径20mほどの温度が一気に低下した。
「おらぁぁぁぁっ!!!」
「ちょっと2人ともやり過ぎですって!!!」
やっぱりそうだ。
俺の目の前には、巨大化した芋虫のような魔物相手に、市民を守りながら圧勝する3人の姿があった。
「……久しぶりだな」
***
こんにちは、北愛花です。
今日は引き続き観光ということで、未来と龍太郎くんの2人とミルスさんたちを加えたメンバーで神殿へとやってきました。
「神殿、どんな場所なんでしょうか?」
「パンフレットによれば、地上5階、地下30階の巨大な神殿みたい。もともとダンジョンだった場所に昔神殿を建てたみたい」
「へー!この世界に来てから、一番大きな建物かもしれませんねー!」
「そうね」
「そんなことより、早く行こうぜ」
中心部から歩くこと1時間ほど。神殿の上部が若干見えてきましたが、人が多くて前が見えません。
こんな時、もっと背が高かったら良かったのに、と思ってしまいますね、本当。147cmだと女子でも低い方ですから。
私も龍太郎くんも未来も、この世界に来る数ヶ月前に身長を測ってますが、全く身長が変わってないのは私だけっぽいです。平さんとか龍太郎くんはかなり伸びましたし……これ以上大きくならないでもらえますかね?
…………おっといけません。これ以上身長の話をしても虚しいだけでした。
「あれ……なんかあっちの方、土煙が凄くないですか?」
「本当ね、何かしら?」
「……戦ってんのか」
さらに近づくと、龍太郎が呟いた。
どうやら土煙の正体は、魔物と戦っていることによるものの様だ。
「……苦戦してるわね、助けるわ、良い?」
「もちろんです。治療は任せて下さい」
「おう」
3人は、10人以上の集団が血を流して戦う戦場へと、一直線に駆けていった。
***
「…………っ!?」
あまりにも高い魔力を3人は感じた。
そんな危険な魔物が現れたのか、と最大の警戒をした。
のだが──
「…………平さん?」
「あ、ああ……何で俺は剣と杖を向けられているんだ?」
「あ……ごめんなさい!」
目の前にいたのは、3人がよく知る男。
戦闘体制を既に取っていた3人は、慌てて元に戻った。
〜平視点〜
「いやー…………。てっきり噂の魔人とかなのかと……すみません」
「まぁ、別に仕方ないから良いが……」
どうやら3人は、俺が新たな敵かと思ったらしい。
「そう言えば、何でそんな格好してるんですか?」
愛花は、俺の服を突っつきながらそう言う。
若干痛い。
「ああ──これは魔術学校で支給された職員服だ。今俺は魔術学校の修学旅行の引率をしている最中だ」
「……?魔術学校?え、平さん学校の先生になったんですか?」
「あれ、王女様から聞いてなかったのか?」
「初耳です」
そうだったのか。
ん?……となると、俺は今、3人に結局帰ってこなくて何してるか分からない人だと思われてるのか?
「王女様からどこまで聞いてるんだ?」
「あー、魔物とかから市民を守るために世界中に1人ずつ配属された、とだけ」
「なるほど」
「まさか学校の先生をやってるとは思いませんでしたけどね。正直最初見たとき……私たちがいないから、ファッションも迷走してるのかと……」
「おい……」
「1人になって、急に魔術師っぽい高級そうなローブを羽織いだしたのかと思って、ちょっと揶揄おうかと思ったんですけどねー」
「……人を中二病みたいに言わないでくれ。あ、そう言えば、3人はこの数ヶ月何してたんだ?見た感じ、かなり戦い慣れたように見えるんだが」
明らかに前とは動きが違った。
まるで、生き死にを賭けて戦いを繰り広げた人のようだ。
「あ、…………えーと…………」
「?」
愛花は、俺から目を逸らすと、じろじろと委員長の方を見た。
「ああ、私たちでダンジョンに潜ってレベルを上げてきたからじゃないかしら。それなりに難しいダンジョンだったから」
「そうか」
何か引っかかったが、まぁ良い。
俺は素直に、仲間との再会を喜んでいた。
―第14話 完―
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