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第12話:no.781③

 第12話です。修正入れるかもしれないです。





 ──これは、no.781が組織に買われて7年が経ち、12歳になったある日のこと。


「……あんたねぇ、もう少し早く起きなさいよ」

「あは、ごめんごめん」


 no.781(組織のメンバー番号)は、組織に買われてから今までの間、『教育本部』という組織の仕事を子供に教える、いわゆる学校のような場所で学んでいた。

 ここには寮が設置されており、no.781は、同期のno.780と相部屋である。


 今日は、毎週初めに食堂で行われる朝礼に出席するため、2人は食堂へと向かっていた。なお、朝礼はそれぞれの年齢ごとに違う場所で行われている。


「で、あんた何で毎日そんなに夜更かしてるのよ」

「……げ、気づいてたの?」

「当たり前でしょ、同じ部屋なんだから」

「あらら……でも、ないしょ」

「はぁ……?何よそれ」


 食堂へと着くと、2人はいつものように隣の席に座る。

 その数分後に朝礼が始まった。


「──はい。皆さんおはようございます。というわけでですね、今日は重要なお知らせがあります」

 no.781たちの監督である女性が話し始めた。


「重要なお知らせ?」

「はい。それはですね──これから皆さんには、『実戦』を行なっていただく、というお知らせです」


「あら、何でしょう?」

「……実戦ーん?」

 2人は首をかしげた。

 他の同期のメンバーも、同様の反応だ。


「はい、静かにお願いします。……貴女たちにはこれから、それぞれに与えられた『ターゲット』を暗殺していただきます。外の世界での、『実戦』ということです」


「暗殺……ついに本番ですか……」

 no.780が息を呑んだ。


「今回、このミッションを成功させた人は、晴れてここを卒業し、組織の正メンバーとして働くことになります。まずは、これらの資料を読んでください。」


 女は、全員に10枚ずつの紙を渡した。

 そこには、それぞれが殺すべきターゲットの詳細と、暗殺にあたっての注意事項が羅列されていた。


「no.781、貴女のターゲットはどんな方でした?私のは、悪徳な商会のお偉いさんみたい」

 no.780は、パラパラと紙を眺めながら、no.781に尋ねる。


「えっと、私のターゲットは────貴族?」

「え、……貴族?」

「うん。帝国の貴族ね」

「て、帝国!?」


 no.781が言う帝国とは、この世界の世界地図でいうこところの、人類の領域の左上に位置する『ケース帝国』のことだ(ちなみに、ケース帝国は人類の領域の端に位置していることもあって、常に魔の襲来に警戒してきた国家である)。


「ケース帝国のガア子爵が、帝国への税の納入書を偽装してるらしいよ」

「へ、へー……そうなの」


「no.781さん、試験の成績トップの貴女には特別に、重要な任務を任せます。そこにも書いてありますが、ケース帝国の子爵を暗殺していただきます。これはケース帝国皇帝の側近からの依頼です。試験と同じように、失敗したら、命はないと思ってやりなさい。」

「はーい、せんせ」


「……気をつけなさいよ?」

「はいはーい」

「もう……」

 no,780からの忠告を聞き流す。


「では、これから指示の通り動いてもらいます。卒業試験、開始!!」



 

     ***




(……さてと、確かここの裏に隠し通路があるのよね)


 場所はケース帝国、ガア子爵邸。

 no.781は、ガア子爵邸に客人として呼ばれた『商人』のグループに混ざって、子爵邸に侵入した。


(試験とは言っても、なんだかんだ組織が下準備してくれてるのよねー)


 子爵邸には、既に組織が用意したルートが確保され、no.781にはあくまでその上を堅実に歩いていくことが求められる。


(……お、いたいた)

 現在no.781は隠し通路を抜け、子爵がいる作業部屋の天井裏へとやってきていた。


(……さぁて、ここからはシンプルね。これを使いましょう)

 no.781の手には、細い糸のようなものが握られている。



「──はぁ……やれやれ文書を改ざんするのも一苦労だ。お、これは……愚民どもが犯罪を犯していたことにするか。これでごまかせるだろ」


(……うわぁ)

 子爵の言葉に思わず引いてしまう。


(ま、さよなら)

「……っ…………っぅ?……………………………」


 no.781は、僅かに空いた穴から巧みに糸を操り、一瞬で子爵の息の根を止めた。


(よし、これで後は帰ったら暗殺完了ね。最後まで油断はしない)

 こうして、no.781の卒業試験はあっけなく終了したのだった。




     ***




「……遅いなー、no.780」


 今日は卒業試験の期限日なのだが、早々に試験を終わらせて帰ってきたno.781とは異なり、期限日になってもno.780は帰ってくる気配がない。


「せんせー、no.780の任務地ってそんな面倒なところだったっけ?」

「……いえ、そんなことはないはずですが……」

 監督は、珍しくはっきりとした言葉使いではなかった。


「……あ、誰か来た!」

 それから少し経ったとき、教育本部の玄関に誰かがやってきた。


「……ん?」

 やってきたのは、no.780ではなく、何やら荷物を持った男たちだった。

「……っ」

 部屋にいた誰かが息を飲んだ。



「──『輸送科』より、報告します。本日、西商会幹部を暗殺しようとした番号『no.780』は、想定外の護衛により暗殺に失敗しました。命からがら逃げ出そうとしたようですが、暗殺に失敗したとみなし、呪いにより廃棄されました」


「……は?」

 私は、頭が真っ白になった。


「遺体は我々『輸送科』が確実に届けましたので、確認をお願いします」

「……はい」


 監督が、大きな荷物を開けた。

 すると、重たい表情で「確認しました」とだけ言った。


「……どういうこと?」

 私は思わず、監督に詰め寄る。


「……no.781、いいですか、よく聞いて下さい。no.780は、任務失敗により、廃棄されました。ここでは、そういうことは常にあります。だから、貴女は貴女のすべきことをしなさい」

「…………」

()()()()()()()()()()()()()()()()


 ……廃棄された?

 no.780は、死んだの?




「──それと、どうやらその想定外の護衛について、どうもno.780を軽くあしらい、そのまま見逃そうとしていたようです。ステータス値がかなりのものであることは確実ですので、本部より、迅速に人員が派遣されましたので、ご安心を」


 その後、本部から派遣された数十人の戦闘員によって、その護衛とターゲットは殺されたと言う。



 私は、no.780が部屋からいなくなって、何か心の大事なものがなくなった気がした。




     ***




〈教育本部基本方針〉

※『教育本部』への入学は、満10歳までとする。

※『教育本部』に入った人間には、できるだけ幼いときに呪いを仕込むこと。

※任務に失敗した場合、例えターゲットがそれを見逃したとしても、証拠隠滅のため本部が呪いによって殺すこと。



 ―第12話 完―

 お読みいただきありがとうございます。

 いつも見てくださっている方、ありがとうございます。

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