3-14 竜王は理不尽
「ちょっとしたアクシデントはあったが、気にせず続けようと思う。とりあえず、自己紹介からしようか」
ヴェルザックの言葉に続いて、《五大竜》の面々が順に自己紹介を始めた。
でもまぁ、地味に長くて、どうでもいい社交辞令なんかもあったので割愛しよう。
名前と、一応見ておいたステータスはこんな感じだ。
ガイモン LV81
竜族 竜の《武》 火竜
HP:14830
A:100030
G:76200
M:68990
S:93320
《魔法》
・竜魔法
・覇攻魔法
・獄炎魔法
《スキル》
・火竜の加護
魔法的な火炎の操作権の圧倒的優位・自由操作。火系統の攻撃無効。攻撃力大幅増大。
・竜形変化
《装備》
なし
リイズル LV83
竜族 竜の《金》 水竜
HP:15720
A:82130
G:102480
M:71320
S:92440
《魔法》
・竜魔法
・覇防魔法
・極寒魔法
《スキル》
・水竜の加護
魔法的な水氷の操作権の圧倒的優位・自由操作。水系統の攻撃無効。防御力大幅増大。
・竜形変化
《装備》
なし
ロンド LV79
竜族 竜の《食》 風竜
HP:14820
A:80100
G:70050
M:79210
S:100020
《魔法》
・竜魔法
・覇俊魔法
・大気魔法
《スキル》
・風竜の加護
魔法的な風雷の操作権の圧倒的優位・自由操作。風系統の攻撃無効。敏捷大幅増大。
・竜形変化
《装備》
なし
ドガルデル LV82
竜族 竜の《法》 地竜
HP:36400
A:73210
G:83060
M:67150
S:79210
《魔法》
・竜魔法
・覇耐魔法
・大地魔法
《スキル》
・地竜の加護
魔法的な土石の操作権の圧倒的優位・自由操作。土系統の攻撃無効。体力大幅増大。
・竜形変化
《装備》
なし
スレンド LV80
竜族 竜の《癒》 聖竜
HP:11030
A:52140
G:61770
M:140300
S:63190
《魔法》
・竜魔法
・覇聖魔法
・蘇生魔法
《スキル》
・聖竜の加護
治癒力操作。精神系統の攻撃無効。回復系統の魔法効率増大。
・竜形変化
《装備》
なし
どいつもこいつも規格外に強力だ。
流石、鬼門のLV70を超えてきた猛者達と言ったところか。
ステータスが異常値を示している。
さらに、各々が使う魔法が基本5属性の最上級だ。
やっぱりこれ、普通の人間には相手できねぇよ。
.........俺?
余裕。
ちなみに、それぞれが使う『覇』が付く魔法だが、あれは俗に言う強化魔法だ。
魔法は基本5属性以外には種族魔法と召喚魔法、精神魔法がある。
そのうち精神魔法は、人の精神に働きかける魔法だが、その中には陽魔法と陰魔法というものが含まれる。
これがバフ・デバフ魔法だ。
そのうちの陽魔法の最上級、聖天魔法に分類される魔法が、『覇』シリーズである。
ついでに言っておくと、陰魔法の最上級は深淵魔法で、聖天魔法の『覇』に対して、『堕』の付くデバフ魔法がある。
次にそれぞれのスキルだが、称号欄のところに現れているものと関わっているようだ。
『○竜の加護』。
なかなか強力な加護だと言える。
操作権の圧倒的優位ということはだ。
相手の出した魔法すらも操れると言うことだ。
それプラス自分側からの最上級魔法。
その最上級魔法さえも、自由操作で文字通り、自由自在に操れる。
相手からしたらたまったものではない。
まぁ、俺の場合は操作権は揺るがないからな。
無意味だ。
俺以外なら有効どころかクリティカルだけどな。
それに無効ってなんだよ無効って。
俺でさえちっとは痛いんだぞ。
この辺りは俺を超えていると言えるかもしれない。
まったく、化け物かよ。
そう思ってた時期が俺にもありました。
化け物は別にいました。
その化け物がこちら。
ヴェルザック LV6
竜王族 竜の《王》 白竜王 再誕者
HP:61340
A:300250
G:297080
M:361040
S:319400
《魔法》
・竜王魔法《白》
・覇攻魔法
・覇防魔法
・覇俊魔法
・覇耐魔法
・閃光魔法
《スキル》
・竜王の加護
魔法無効。慣性無視。竜系統の魔法効率増大。自分の攻撃全てに自属性ダメージ追加。
・竜形変化
《装備》
なし
ヤッホーイ。
なんぞこれー。
キモ〜い。
とりあえず、全ステータス20万超えなんだな。
それどころかもうちょっとで30万超えなんだな。
どうしろと?
聖天魔法は覇シリーズが、覇聖を除いて全て揃ってるし、
なんか竜王魔法とかよく分からん魔法使うし、
閃光魔法とか、伝説級の魔法使うらしいし、
魔法無効らしいし、
これなんて無理ゲー?
人族なんか物の数じゃないね。
俺でさえちょっと手こずるレベルだ。
こいつは真面目にヤバい。
何かしら対処を取っておかねば寝首をかかれる。
どうしたものかと頭を悩ませていると、そのヴェルザックが話しかけてきた。
「今回ここに呼んだのは、他でもない。俺たちは、あなた方が大陸を侵略しようとしていることを知っている。その協力を申し出たいんだ」
...............ほぅ。
侵略の事は知ってるんだろうなぁとは思っていたが、まさか協力してくれるとは。
意外だ。
だが、信用できない。
「それはありがたいが............何を企んでいる?」
こいつらが俺に協力してくれれば、カルネア侵略は容易に進むだろう。
それはとても喜ばしい事だ。
では、相手側にとっては?
それが分からない。
何かメリットがあるとは思えないし、
不干渉を貫くことだってできたはずだし、
都合が悪いなら、止めればいい。
実を言うと、俺の戦闘能力は、ステータスに見合っていない。
今までの戦闘といえば、圧倒的な自力の差によるゴリ押ししかなかった。
技術が圧倒的に欠如しているのである。
駆け引きなどの勝負になれば、勝利が危うくなる可能性もある。
俺とヴェルザックはステータスの上では何十倍も差があるが、技術を見れば、俺の何十倍も上をいっているはずだ。
止めようと思えば、不可能ではない。
「何、単純なことさ。今のうちに、信頼を勝ち取っておきたいと思ってね。人となりの分からない強大な何者かに怯えるより、さっさと取り入って仲間にしてもらった方が得策かな? ってさ」
...............なるほど。
ヴェルザックは勘違いしているのか。
彼は、俺に技術が備わっていると思い込んでいるらしい。
それなら、彼が勝てる道理はないしな。
確かに得策か。
それならば、このまま取り込んでしまおう。
俺にとって都合がいい。
そこまで考えたあたりで、待ったが入った。
「ちょっと失礼しますね」
フェイである。俺の顔を竜族連中とは逆に向けさせ、ルイも呼んで顔を付き合わせた。
「聞いておきますがスガ様。今のところどうお考えでしょうか?」
「え? いやまぁ.........侵略楽になるし、仲間にしよっかなーって............」
「やはりですか............もし裏切られたらどうするんですか?」
「.........俺が対処しようと思ってる」
「スガ様のいないところでは?」
「............す、すぐに駆けつけるし、大丈夫だろ」
「その間に全滅させられちゃうに決まってんじゃん。相手は竜王様だよ? お兄ちゃんを最強として、世界で2番目に強い方だよ? 頑張って生き延びろって言うの? 無茶言わないでよ」
「お、おう.........」
そ、そうですよね。
無茶だよね。
ね。
「とは言っても、メリットは大きいぞ? 世界最強と次点が侵略するんだ。大陸が対抗できると思うか?」
「思わないけどさ。最悪お兄ちゃんが増殖すれば、竜王様いらないんだけど」
「キモいから嫌だ」
「だよねぇ〜」
このままでは拉致があかないと思ったのか、フェイが竜族連中の方に頭を下げた。
「申し訳ありません。今この場で決めるには、この案件はあまりにも重大すぎます。考える時間をいただけないでしょうか」
「............いいよ。確かに、いきなり連れてきて話すには重い話だったかもね」
『かもね』じゃないです。メチャクチャ思いです。
「そうだな.........じゃあ、2週間だ。2週間で、返事をもらうということでいいかい?」
「問題ありません。寛大な対処、感謝いたします」
「いいよ。それよりも、いい返事を期待しているよ」
今回は、とりあえずそこで解散となった。
俺たちは竜王城エウロペの中にあるという、ビジネスホテルに宿泊してから帰ることとなった。
地下にいるからイマイチ分からないが、日はすでに落ちて、外は真っ暗なんだそうだ。
スイートルームのような部屋に通され、3人一緒にベッドに寝転がる。
後になって同じベッドで一緒に寝たという事実がフェイを悶えさせるのだが、疲れた体はそんなことを考えさせない。
思えば今日はいろんなことがあった。
サングレートに来て、貴族を懲らしめて、神金剛石たちと顔合わせして、ガストロと会って、ドラゴニアに連れてこられて、ヴェルザックと話をして。
特に理由はないけど、小説にしたら丸々一章分くらいじゃない?
理由はないけど。
そんなことを考えながら、俺の意識は暗転していった。




