旧友が・・・
前回の話のブラックサンダー視点です。
2人の考えを交互に書く技量がないので二つに分けて書いております。
分かりにくいかもしれませんがご了承ください。
俺の名はブラックサンダー。
本名を轟 雷峰という。
中学時代に厨二病にかかり、その時に突如として超能力が目覚めた。
それは俺が夢にまで見た黒き雷だった。
現在はブラックサンダーと云う名でヒーローをしながらとある旅館で住み込みで働いている。
ヒーローとして有名でイケメンの俺はこの旅館の看板娘ならぬ看板男だ。
そんな俺の働いている旅館に古い友人が宿泊に来ていた。
彼の名前は智坂徳。
中学時代の盟友にして俺と違って超能力が目覚めなかった少し可哀想な男だ。
そんな友人が泊まるんで暇な時にでも声をかけてやろうと思っていたら、なぜだろうか・・・
彼は女子高生ぐらいの美少女六人と共に旅館の一室に入っていった。
いや、中には中学生ぐらいの女の子もいた。
慌てて旅館の名簿を見ると6人部屋に7人で泊まろうとしている。
しかも、彼以外は全員が女性だ。
彼がとった別の4人部屋も女性ばかりだ。
(これは・・・・ もしかして・・・・)
俺の勘がいっている。
彼は何か犯罪に巻き込まれたのではないかと・・・
もしくは、美人局にでも嵌ったではないかと・・・
(美人局とは夫婦が共謀し行う恐喝または詐欺行為である。 妻が「かも」になる男性を誘って姦通し、行為の最中または終わった瞬間に夫が現れて、妻を犯したことに因縁をつけ、法外な金銭を脅し取ることである。 また、妻でなく、他の女で同等行為に至った場合でも類推される。)
智坂徳は中学時代に俺と共に厨二病にかかったが、根は真面目でいい奴だ。
素直で優しく、面倒見もいい。『良い人』を絵に描いたような人物だ。
だが、その反面。
彼は騙されやすい。
きっと、会社の上司にでもいかがわしいお店に連れて行かれてそこで彼女たちと出会ったのだろう。
そして、後に彼女たちがそういうところで働いてはいけない女子高生だと知る。
女子高生にお金を渡していかがわしい行為をした。
それは所謂、援助交際と呼ばれるもので相手が十八歳未満の場合は売春防止法違反という犯罪だ。
もし、智坂が手を出したのがあのどう見ても中学生に子だとすれば下手をすれば強姦罪や強制わいせつ罪が適用されることだろう。
彼は恐らく、そんな罠に嵌ったのだろう。
そして、それを元に脅されているに違いない。
根は真面目でいい奴なんだ。
周りの奴は彼のことを『どこか抜けている』と評価するがそんなことはない。
彼は真面目で誠実ないい奴だ。
だからきっと騙されているに違いない。
ヒーローである俺にどこまで彼の力になってやれるかはわからないが、友人としてなんとか彼を救い出してやりたいと思う。
俺は早速、店の女将に事情を話に向かった。
「やっぱり何かあるのかい? 私もおかしいと思ってたんだ。」
女将さんもどうやらあの旅行客には何かあると思っていたらしく、そう返事が返ってきた。
最初は男一人だけで宿を取りに来て、お金を払った後に女性陣のお客がやってきたので「怪しい集団」だとして追い返すことができなかったらしい。
「俺に任せてもらえませんか。」
俺は女将さんに旅行客の男が友人だと説明して「きっと騙されているんだ」と強く訴えかけた。
女将さんは俺の訴えを信じてか「わかった。頑張りなよ」と二つ返事を返してくれた。
そして、俺は彼の行動を監視して、彼が風呂場に行くのに合わせてお風呂場に向かい懐かしい旧友との再開を演出した。
だが、そこで俺を待っていたのは変わり果てた友人の姿だった。
「おう。久しぶり。」
最初はそんな風に偶然を装っての挨拶から入っていった。
「久しぶりだな。こんなところでどうしたんだ?」
彼は少しバツが悪そうな顔をする。
まぁ女の子に脅されて来ているだ。
その反応は当然だろう。
「ははは。いや~。この街のヒーローをしながらこの旅館で住み込みのバイトをしてるのさ。今は休憩中だからお風呂に入りに来たのさ!」
俺はそんな彼の現状を全く知りませんよといった雰囲気を作りながら話しかける。
「そ、そうなのか・・・ ヒーローって忙しい仕事もしてるのに大変だな。」
彼は俺が何かに(勘付いているのか?)とでも疑っているのか。
何か疑問を感じた様な顔をしている。
「いや~。そうでもないさ。この黒き雷と呼ばれる≪ブラックサンダー≫の手にかかればどんな問題も瞬時に解決さ!」
俺は遠回しに「俺ならどんな事態も解決できる。」「困っているなら手を貸すぜ?」をアピールする。
だが、彼はそれでも俺に何も相談しようとはしてこない。
内容的にもあまり他言して相談したくない内容だから仕方がないだろう。
俺はもっと積極的に彼に話を持ちかけることにした。
「それにしても、君。何か僕に相談したい悩みがあるんじゃないのかい?」
俺は彼のすぐ隣に座って「悩みがあるなら俺に言ってみな?」と微笑みながら尋ねる。
彼は少し考える仕草をしてから、何か思いついたように言葉を紡ぐ。
「お前、もしかして気づいているのか?」
彼はどうやら俺が彼の現状を理解して話しかけていることに気づいたらしい。
そんなところが「抜けている」と評価されるゆえんだ。
女の子10人が泊まれる部屋代を1人で出しておいて気づかないとでも思ったのか?
「ふ・・・ この俺が気づいていないとでも?」
俺は鈍い友人に「仕方がないな。お前は・・・」と思いつつも口にせずにニュアンスでは伝える。
主にウインクでな。
「そうか。それはどれくらいの人が気づいているんだ? できるだけ、内密にして欲しいんだが・・・」
彼は小声でそういうと頭を下げてきた。
どうやらすごく困った事態らしい。
仕方なく、俺は手を貸してやることにした。
まぁ最初からそのつもりではいたのだがな。俺はウインクして「俺に任せろ」と優しく伝える。
「安心したまへ。この件についてはまだ僕しか知らないさ。大丈夫だよ。どんな事情があるかは知らないが僕に任せておけば問題ない。」
本当は旅館の女将さんや中居さん達は異変に気づいているが、ここはあえて言わない。
それが優しさってものだからな。
俺は力強く頷きながら握り拳に親指を突き出したグッドのハンドサインを突き出して彼を安心させてやる。
「そうか。よかった。」
彼は安堵の息を漏らした、どうやら、俺に事情を話す気になったらしい。
昔から鈍い奴だとは思っていたが、ここまでやってようやく俺のすごさに気づいたらしい。
「だから、俺に事情を説明してごらん。何かわけがあるんだろう。」
俺はそう言って彼が話しやすいように先を促してやった。
(ああ、俺ってなんてできる男なんだろう。)
そんな自画自賛を思わずしてしまった。
「えっとだな。浜辺ではいい感じだったんだ。でも、他の女の子ともLINEで連絡を取り合っていてその子達ともいい感じなんだ。俺としてはそっと自然界に分かれるのが一番だと思うんだ。そう、できれば浮気がバレるんじゃなくてもっと自然に・・・ なんていうのかな・・・」
彼はしどろもどろになりながらも説明を続ける。
だが、俺はその内容に絶句した。
「砂浜ではいい感じだった」 = ここには好きで来ている もしくは 今日、罠にはまった
「他の女の子ともLINEで連絡」 = 他にも手を出した女の子がいる。
「自然に別れたい」 = 脅されている人間が自然に別れたいだなんて表現はしない = 現在いる女の子達とは普通に付き合っている
「浮気がバレるんじゃなく」 = 彼女たち以外にも浮気相手が・・・
(えっと・・・ お前何股してんの?)
という疑問が頭の中で浮かんだ。
どうやら、俺の友人は俺の知らない壮絶な数年を歩いている内に昔の様に素直で優しい、真面目な奴ではなくなっていたらしい。
何人もの女を股にかけるだけの人脈があり、さらにその人脈を使って、ハーレムを作り出すだけの甲斐性がありながら、最後にはそれをウザがっている。
(なんだろう・・・ 助けるのが馬鹿らしいな・・・)
俺は懐かしい旧友との再会を終えた後、一人寂しく涙を流した。
(後で、ヒーローの先輩である真田さんに愚痴ろう・・・)
そう思い湯から上がる俺だった。




