ヒーローへの試験
風邪を引いたので更新がいつもより遅いです。
元々不定期なので気にしないでくれると幸いです。
そう言えば、二通目の感想が届きました。
ハーメルンに移籍してもいいのでは?的な感想を貰った気がしますが読み返すとそんなことが全く書いてありませんでした。
風邪で幻覚でも見たのでしょうか?
移籍でなく向こうでも掲載しようかと思い登録は進めておりますが、頭が痛いのでなかなか前に進めません。
では、おやすみなさい
第一回想定訓練が終わり。
その後、私達は連日の様に想定訓練と叔父である徳兄さんの指導の下で訓練に励んだ。
その人の能力や骨格、体格に合わせてコスプレ衣装を変えたり様々な状況を想定してコスプレ衣装を変えての訓練を行った。
そして、遂に私達は公式ヒーローへの第一歩を踏み出す為の試験に臨むのだった。
『公式ヒーロー』それは正義の味方派遣協会に認められた正式なヒーローだ。
彼らの活動は協会によるサポートが受けられる。
サポートその① お金がもらえる。
怪人や戦闘員などを倒した場合に報奨金が出るのだ。(協会の定める順位付けによっても報酬金の額に違いが出る。強力なヒーローの生活を守るための措置。)
基本的に報酬は一定額が決まっているが名の知れた強力な怪人や組織の凶悪な犯罪を行った怪人の値段は跳ね上がるのと生死は問われる。
殺害の場合は報酬金がそのままで、生かして捉えた場合は状態によって報酬が上乗せになる。
法で裁いたり、情報を聞き出せる可能性があるからだ。
状態というのは捕まえた怪人や戦闘員が話すことができないほどの重症や精神的な損傷を負っていないかどうかだ。捕まえても情報が聞き出せなければ意味はないのだ。
その他にも、人命救助や災害の防止などをすると評価に応じた報酬がもらえるのだ。
サポートその②
入院費、治療費の無償化。
怪我を負っても協会が運営する病院での入院や治療が無料で受けられるのだ。
これのおかげでどんな危険な任務にも安心して挑むことができる。
サポートその③
器物破損の保障
戦闘時に破損した物の金額を教会が払ってくれるのだ。
これでどんなに物を破壊しても安心だ。
(ただし、協会が定める順位付けによって一回の戦闘での補償金額に違いが出る。)
こういったサポートがなければヒーローという職はままならないのだ。
最後に順位とは協会が定めた。
戦闘力、能力の応用範囲の広さ、功績に応じてつけられるものなので同一順位が多数存在する。
というか順位は第一位から第九位までしかない。
順位なので当然、数字は少ない方が上だ。
順位を上げる方法はヒーローとしての活躍以外には存在せず、順位を上げるための試験は存在しない。
そのため、強ければ順位が高いわけではない。
「以上でこちらの警備体制の説明を終わります。」
私が公式ヒーローになった時の特典やその制度についてのパンフレットに眼を通している間に上伊集院さんが協会の偉いお方たちにこちらが行う徳兄さんへの警護の体制を説明し終えたらしい。
「分かりました。特に問題はないでしょう。あとはこの後に行って貰う適性検査と午後から行われる試験に合格すれば問題ありません。適性検査の用紙をお配りしますので後ろに回してください。」
協会の方たちはあっけないほどにそういって席を立ち机の一番前の人に適性審査の紙を配った。
こちらが一週間練りに練った案なので特に言うことがないのだろう。
前の人達は一枚取って残りを後ろに渡していく。
私はそれを受け取って同じように一枚とって残りを後ろに回した。
適性試験といっても簡単な選択肢を選んでいくものだ。
例 次の状況での行動でヒーローとして正しいものを応えなさい。
街中で怪人が暴れています。ヒーローとしてあなたは何を一番に行いますか?
①怪人と戦う ②一般人の安全確保 ③怪人と一緒に暴れる ④怪人がなぜ暴れているのかを聞く
う~ん・・・ 簡単っていったけど意外と難しいかもしれない・・・
③はまずないとしても①②④はどれも間違いではなさそうだ・・・
まずは②だよね。
その後に④で①かな・・・
よし! 私は②にしよう!
と、まぁこんな感じの問題が約30問ほど続きます。
そして、試験が終了してお昼休みに・・・
この後、遂にヒーローとしての戦闘能力を図るために現役ヒーローと戦ってその実力をテストします。
「お昼のテストは6位か7位との模擬戦闘では勝たなくても実力的に問題なしと判断されれば合格だからあまり気負うことはないよ。」
上伊集院さんは私の緊張を察したのかそう言ってくれたが私としては勝ちたいと思う。
(訓練に付き合ってくれた徳兄さんのためにも・・・
そして、私に夢への第一歩をくれた皆の為にも・・・)
私の人生を決めるといってもいい戦いに向かって歩み出す最初の一歩を華々しく飾りたいと願ってしまう私だった。
昼食の後の昼休みの間に着替えを済ませてから模擬戦を行う為の場所に向かった。
模擬戦の場所は協会が用意した広大な敷地だ。
敷地内の地面はアスファルトで覆われていて建物などは立っていない。
故に戦闘で必要となるのは単純な戦闘能力のみだ。
私が今日選択したコスプレは美坂御琴だ。
この1週間の修行の成果もあり私の能力はLv5に迫るほどの出力を出せるようになっている。
Lv5って低いんじゃないかって?
Lv5クラスはアニメでも8人しか存在しない学園内最強クラスの実力なのでそんなことはない。
その能力は1人で軍隊と対等に戦える程なのだ。
それに近い力を引き出せる私の現在のスペックならば戦闘能力だけならばヒーロー内でも上の下である3位ぐらいの実力はあると思う。
なので6~7位に負けるわけにはいかないのだ。
「そういえば、戦う相手が6~7位なのはなんでなんですか?」
私は準備運動をしながら上伊集院さんに尋ねた。
「6~7位が一番層が厚くヒーローの主力だからだよ。ヒーローの格付けは戦闘能力と功績で判断される。そして、それをするのは危機が迫った時に一番近くて一番強い人に頼むのが確実で迅速だからだ。故に上位の1~3位は少数しか存在せず、中堅である4~6が結構人数が多いんだ。下位である7~9位は7位は戦闘力は主力だが功績が足りない人がいる順位で、8位はOBや緊急補充員などのヒーロー引退者9位は新人がほとんどだ。今回戦う6~7位は戦力的に主力級だからね。勝てば実力的にヒーローとしては十二分にやっておいけるよ。」
上伊集院さんの言葉に私の意志はさらに高まった。
そして、準備運動が終わると協会の役員さんとなぜか父さんがやってきた。
小太りな役員さんは額に掻いた汗を拭いながらこちらに向かって来る。
その隣を歩く父はいつも仕事に行く時のスーツ姿ではなくヒーロー時の戦闘用の耐熱性の衣服に身を包んでいる。
「お待たせしました。適性試験の結果はただいま調べている最中ですので結果が出る前に実技試験に移ります。試験は私どもが用意したこの範囲内での現役ヒーローとの模擬戦です。勝利が絶対の条件ではありませんのであまり無茶はなさらないでください。例え勝っても相手を死に至らしめた場合は失格ですからね。」
そんな役員さんの説明を聞きながらも私達はチラチラと私の父の方を見てしまう。
それはそうだろう。
なにせこの試験には場違いなヒーローランキング第一位様がなぜかいるのだ。
私も他の人達も見てしまうのは仕方がないだろう。
「ええっとでは、本日のお相手はこちらにおられるフレイムバサラさんです。」
「フレイムバサラです。どうぞよろしく。」
(え・・・)
小太りの役員さんの言った言葉とその後に一礼して挨拶をした父を見て私達は凍りついた。
表情も体の動きも、下手をすると心臓まで止まったのではないだろうか。
そして、ほんの数秒だけ私達の世界は停止した。
その間に父は下げた頭を起こしていた。
「挨拶もないしかね?」
不機嫌そうに言った父の一言に私達は何処かに飛び去っていた意識を自分の中に迎え入れて恭しく一礼した。
「よ、よろしくお願いします。」
思わずながらどもりながら返事をしてしまう。
そうして、一礼した後に顔を上げると同時に私は声を荒げて叫んでしまった。
「なんで、父さんがここにいるのよ?!」
美坂のキャラも忘れて素で質問してしまった。
「なんでって、おまえの実技試験の相手をするためだよ。」
父は平然と答えを返す。
「失礼ですが、何かの間違いでは? こういった場合の相手は普通なら6~7位が相手なのでは・・・ 第一位の実力者であるフレイムバサラさんでは実力を測れないのでは・・・?」
上伊集院さんがそういって役員さんに抗議の質問を投げかける。
「実技試験の相手は協会が用意した相手との模擬戦を行い実力を示すこと。のみですので特に問題はありません。それにご存じのとおり、この地区にはフレイムバサラさん以外にヒーローはおりませんからな。致し方ないでしょう。」
役員のおじさんは汗を拭いながら悪びれた様子もなく答えた。
「ですが・・・」
上伊集院さんが抗議の声を上げようとした瞬間にその言葉を塞ぐかのように役員のおじさんが話し始めた。
「相手が不服なら実技試験は棄権ということで失格となりますよ? 再試験はそうですね・・・ 他の地区からヒーローを呼ばねばなりませんからスケジュール調整などで一月はかかるでしょうな。 ただ、それだけ時間があれば本部の方で組んでいる智坂徳さんへの24時間警護の案がまとまるでしょう。そうなると、現役ヒーローが24時間体制で警護してくれるのですからあなた方の警護入らなくなるでしょうな。」
それだけ言って役員さんは「どうしますか?」という顔でこちらを見つめてくる。
どうやらこの役員さんは父に何かを吹き込まれて私のヒーローへの道を閉ざしたいらしい。
もしここで私達が不服を言えば再度試験を受けられるのは一か月後になるだろう。
しかし、一月もあれば役員さんの言う通りに徳兄さんの警護体制が整ってしまう。
そうなれば、それを理由に無理に試験を受ける私達は理由を失い試験は白紙に戻るだろう。
いや、白紙どころか父が圧力をかけてもう二度と試験は受けられない可能性がある。
つまり、私達にはここで逃げるという選択肢はないのだ。
「別に勝利が絶対条件ではないのですから問題はないと思いますが・・・ いかがなさいますか?」
役員のおじさんはそう言いながらも顔には「怪我しないうちに帰りなさい」と書かれていた。
(卑怯な・・・)
このおじさんもそうだが、父がここまで卑劣な手でくるだなんて思ってもみなかった。
どうやら父はどうしても私をヒーローにしたくないらしい。
「わかりました。やります。」
「・・・!」
私の返事に周囲の仲間達と役員のおじさんが驚きの表情を浮かべて私に視線を向けてくる。
父がどんなに卑怯な手を使おうと私の意志は揺るぎはしないのだ。
私は真っ直ぐに父を見据える。
そんな私を見て覚悟を決めたのか仲間達は静かに頷いた。
隣にいた上伊集院さんも「相手にとって不足はありません。存分にやりましょう」と自信気に告げる。
役員のおじさんは私達が諦めると思っていたのかオロオロしながら私達と隣にいる父を交互に見やる。
そんな役員さんに父は「問題ない。手加減はするさ。」といって下がらせた。
こうして、私達はフレイムバサラと戦うことになったのだった。
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戦いが始まる数日前。
協会の役所に私は来ていた。
「お待たせして申し訳ありません。本日はどのようなご用件で?」
私が担当する地区の協会役所で一番偉い小杉太尾が私の前にお茶を出して対面に座った。
小杉がここの役所の所長に命じられたのは3年前のことだ。
それ以降、たまに顔を合わせる程度の仲だ。
身長は私ほど高くはないが平均よりは高いぐらいの小太りな男だ。
今日は協会が休みらしく小杉以外の役員はいないらしい。
「今日は娘の実技試験について相談があってな。」
「ああ、娘さんの。相手の方はもう決まっててね。実力や能力、性格も良い安全な相手だから心配はいりませんよ。なんでしたら、一度お会いしますか?」
私が切り出した話を察してそう提案してくれる小杉だが、私の目的は残念ながら違う。
「いや、そうではなくてな・・・ その相手を私にさせてくれないだろうか?」
「え・・・?」
私の提案に小杉は驚いたような表情を浮かべるが、すぐに元に戻って首を振った。
「いやいや、さすがに新人ヒーローの実技試験に第一位のヒーローを当てるのはどうでしょうか。前例もありませんし能力的にもあなたは強すぎる。」
小杉はそう言って「無茶を言わないで下さい」とでも言いたげに苦笑を浮かべる。
「だが、実技試験の規定は現役ヒーローとの戦闘で実力を示すことのみだ。何の問題もないだろう?」
「それはそうですが・・・ いくらなんでも、第一位が相手では主力級の6位でも相手になりませんよ?無論、手加減はなさるのでしょうがそれはいくらなんでも無茶ですよ。」
私の提案を小杉はそう言って切って捨てる。
「小杉よ。そこを何とか頼む。この通りだ!!」
私は恥も外聞も捨てて椅子から降りると地面に頭を擦りつけて拝み倒す。
土下座という奴だ。
生まれて初めてやったが娘の為を思えばこの程度のことはどうということはない。
「ま、待ってください! いったいどうしたというのです?! お顔を上げてください!!」
私の行動に小杉は動揺して声を荒げて傍に駆け寄ってきた。
「いや! 私の提案を受け入れてくれるまでは無理だ!!」
しかし、私の意志は揺るぎはしない。
こうしなければならないだけの理由が私にはあるのだ!
「理由は分かりませんが、あなたがそこまでするんだ。事情は聞きますからどうか私に説明をお聞かせ願えませんか?」
小杉は私から2、3歩離れるとそこに正座をして話を聴く体勢を作る。(←これは小杉の言葉を聞いて顔を上げてから知った。)
どうやら小杉にアノ話は聞かされていないらしい。
なので、私は顔を上げて小杉に家の弟が誰につけ狙われているのかを話した。
「なんですって?! あのスーパーマンジュニアが弟さんの命を狙ってるですって?!」
小杉は驚きのあまり目を見開き眼球が飛び出しそうになる。
「そんな馬鹿な?! 何かの間違いでは?」
小杉はうろたえながらも私の言ったことが信じられないという感じだった
「いや、弟を実家に一度帰らせてほしいという協会の使いの者がやってきたのだ。その男は協会の実務取締役を名乗っていた。」
「実務取締役がですか・・・ そうですか・・・ それは残念です・・・」
実務取締役といった瞬間に小杉はとても残念そうに机に飾ってある写真立てを見た。
そこには現役時代のスーパーマンの姿が映し出されていた。
おそらく、小杉はスーパーマンのファンだったのだろう。
その息子の不始末にかなり落ち込んでいるようだった。
実務取締役というのは協会内でも極秘の任務を行う最高機関であるためにその情報は協会の上層部しか知らないようなものを持っているのだ。
そして、その情報は100%真実といっても過言ではない。
「落ち込んでいるところ悪いが、私は弟と娘を未曾有の危機から救うためにどうしても今回の娘のヒーローへの道を阻止したいのだ。お前も子供を持つ親として私の気持ちは分かるだろう?」
克の言う通り、小杉にもそれはすぐに理解できた。
現役時代に第一位の座についていたヒーローの息子。
そんなのに弟が狙われ、その護衛を娘が使用としているのだ。
スーパーマンジュニアはスーパーマンとスーパーウーマンの子供で、小さな頃から二人を超える逸材として協会が期待していたほどの人物だ。
噂では、スーパーマンジュニアが16歳になると「学業優先でもいいから名前だけでも協会に置いておいてください」と言ってスカウトしたと聞いている。
そんな人物の前に弟と娘を差し出す様なことになれば今回の克の強行も頷けるというものだ。
「わかりました。あなたの提案を受けましょう。他にも協力できることは何でも言って下さい。できる範囲で協力しましょう。」
「ああ、頼む。」
こうして、克の娘との戦いが決まるのだった。




