??VS○○の戦い
「さて、手がかりは君が持ってきた資料だけなわけだが・・・ 君はどうやって工場を調査つもりなんだい? やはり潜入捜査でもするのかい?」
上伊集院は両手を組んで俺に質問を投げかける。
手を組むことになったので違法ドラッグの製造場所を捜索することになったのでお互いにどうやってやるのかを確認したいのだろう。
「そうですね。潜入はしますがその前にどこが怪しいかを一通り調べてからですね。」
怪しい事をしている会社は調べられることを極端に嫌がる。
嗅ぎ回られると困ることがあるからそういったことに他の会社よりも敏感だ。
その敏感なセンサーを周囲を嗅ぎ回るという行動で刺激して反応を窺い。
その反応を見てそういう会社にあたりをつけようと思っている。
「なんだそのやり方は!! そんなのでわかるわけないだろう! ふざけているのか!」
上伊集院は怒声を上げて怒りだす。
まぁ確かにこんな方法でわかる奴なんてほとんどいないだろう。
だが、今回の案件はそれで行けると俺は思っている。
最初の下見の段階から相手はこちらに気づいて視線を送ってきていたのでもう2、3回周囲を嗅ぎ回ってやれば何かしらのアクションを起こしそうなのだが・・・
「いい! 相手はプロなのよ?! あなたみたいな会社員が真似事で探偵業なんてしても成果なんて出ないの! わかる?!」
上伊集院さんにそれを説明しようとは思えなかった。
彼女は自身の哲学というか信念で動いているらしく、俺の意見など聞かずに自分の意見を並べ立てていく。
(じゃあ、勝手にそっちはそっちでやればいいじゃないですか・・・)
俺はお説教を聞きながらそんなことを思いやはり一緒にやるのは早まったかと思った。
というか、別に彼女たちが俺と組む必要はないのではなかろうか?
「あの・・・ 時間が惜しいので他の方法があるならそっちにしませんか?」
佐部さんがそう言って上伊集院さんの長いお説教に釘を刺した。
「・・・そうね。そうしましょうか。」
上伊集院さんは溜息を一つつくと椅子の背もたれに体を預ける。
「それで、どうするんですか?」
篤是さんが上伊集院さんにどうするのかを問う。
「最も手っ取り早いのはハッキングだな。この方法なら場所を特定されても他の場所に移せば問題はないし人でもかからない。」
「ですが、ハッキングするための特殊なプログラムもそれ専用のパソコンも我々では用意できませんよ?」
佐部さんがそう言うと皆困ったように首を傾げる。
上伊集院さんの能力でハッキングが得意なキャラのコスプレを作ることはできてもそのキャラが使うパソコンがなければその性能は発揮されない。
そして、残念ながら俺の部屋にある時代遅れのPCでは性能的についていけない。
彼らの方はお金のない弱小会社なのでそんな資金はないのだろう。
あればそれを使うだけでいいからな。
「大丈夫だ。スマフォでハッキングができる能力者がいるからな。」
そう言って上伊集院さんは短パンを取り出した。
「ま・・・ まさか・・・!」
印輝さんはそれを見ただけで何かを察したらしく驚きの声を上げる。
「危険すぎます。やめましょう。」
佐部さんがそれに続いて危険だからと止めに入る。
「しかしだね。これ以外に方法はないのだよ。」
「ですが・・・」
上伊集院さんの決意の籠った視線を浴びて佐部さんは口を塞いでしまう。
晶はそんな佐部さんの肩を優しく叩いて「私なら大丈夫です」と顔を美坂琴御に変えてゴーグルを外した。
俺だけが訳も分からずにその光景を見ているが周りの連中だけが真剣な表情でコスプレした晶が短パンを受け取る姿を見守っている。
「えっと・・・ 短パンを穿くと何かあるんですか?」
俺は訳が分からずに聞いてみるとなんでもゴーグルをつけている今の状態は美坂琴御のクローンである影武者達シャドーズというものらしく御坂琴御本人のコスプレではないらしい。
それをゴーグルを外して短パンを吐くことで美坂琴御本人のコスプレになるらしい。
「まぁ性格も変えなければならないのですがね。」
と、佐部さんが追加説明をしてくれる。
そう言えばアニメの美坂琴御はもっと元気で明るい性格だったなと思いだした。
「よ~し!やってやろうじゃない!」
短パンを履いてコスプレが完了した晶の声は先程と明らかに違っている。
「声優さんが違うからね。当然、声も別物になるのさ。」
印輝が俺の表情を見てそう説明してくれる。
俺の顔を読んで説明してくれるだなんて良いやつだな。
そして、俺は顔に出過ぎだな・・・
自分の未熟さを感じながら印輝への好感度を少しだけ上げた俺は彼女の様子を見守る。
「回線はこれを使うと良い。すぐに破棄する予定だからばれても問題はない。」
上伊集院はそう言ってLANケーブルを晶に渡した。
晶は左手でLANケーブルを持ち、右手にスマフォを持ってハッキングを開始した。
本来ならばアニメの様にスマフォの画面はものすごい速さで情報を整理しているためか色々なウィンドが開くのだが・・・
今現在、スマフォは実にゆっくりと動いている。
「まぁ、スマフォだからね。早く動かし過ぎるとフリーズしちゃうしね。」
佐部さんは正論を言って誰に対してかわからないフォローを入れる。
「では、お茶でも入れて待ちましょうか。」
七色さんがそう言って部屋を後にする。
「手伝います」と言って佐部さんも出て行った。
「所で、何か危険とかって話してましたけどあのコスプレは何か問題でも?」
俺は佐部さん達が狼狽えていた理由を印輝さんに聞いてみた。
「ああ、かなり強力な能力者のコスプレは下手だと能力が出ないのが普通なんだけど。たまに、能力を操り切れなくて暴走の可能性もあるんだよ。だから、危険かもって話なんだよ。」
そう言って印輝さんは笑っていたが、叔父の俺としてはまさか目の前で姪がそんな危険なことをしていただなんてと思って少し後悔した。
やはり、晶の為にも断固として協力を拒否するべきだったのだろうか・・・
いや、彼女たちならば俺の協力なしでも行動を起こしかねない。
(もしもの時のために俺がすぐ近くにいることは良い事だと思うからこれでよかったのだと思うことにしよう)
そう自分に言い聞かせて俺は佐部さん達が持ってきたお茶とお菓子をいただいた。
10分ほどするとハッキングによる情報収集が終わったのか晶は顔をあげて椅子に座りこみ用意していたお茶を一気に飲み干した。
「ここだ」
お茶を飲み干した後にスマフォをこちらに見せてくる。
スマフォには違法ドラッグの生産と管理について書かれたページが表示されている。
「生産元はあの会社か・・・」
「わかるのか?」
上伊集院さんは生産元の会社に心当たりがある様なので尋ねてみる。
「ああ、誰か地図を持ってきてくれ。」
上伊集院さんが支持するよりも早く佐部さんは地図を持ってこちらに向かっていた。
そして、テーブルの上に地図を広げると同時に上伊集院さんがその会社の工場を指さした。
「ここだ。表向きは製薬会社だな・・・ さて、どうやって踏み込むかだな・・・」
上伊集院さんはそう言ってまた両手を組む。
「いえ、その必要はないでしょう。」
「「「「・・・?!」」」」
俺の言葉に皆が驚きの表情を向けてくる。
俺はそれにかまわず話を続ける。
「ハッキングによって違法ドラッグの製作元が判ったんですからあとは匿名で警察とメディアに情報を流してやればいい。それだけであとは政府が何とかしてくれます。」
そう俺達が突入する必要はないのだ。
怪しいから強制的に視察に向かうのは俺1人だからやるべきことでそうでないのならば証拠を持って警察に届ければいい。
あとはその情報を元に公的機関が動いてくれるのだから・・・
「それではダメだ。」
だが、俺の意見は上伊集院さんによって却下された。
「匿名で警察に送り付けては我々の活動が公にならない。」
「でも、匿名でなければハッキングは犯罪ですよ?」
俺は上伊集院さんの言葉をそう否定する。
確かに彼女たちの頑張りが公的に認められないのでは彼女たちにとって今回の協定は意味ないのかもしれないがそれは俺の知ったことではない。
そもそも探偵業をしている俺と協力してどうやって活躍するつもりだったのかは知らないが、残念ながら俺は無理やり突入して証拠を掴むつもりはない。
「しかしだね・・・ それでは私達が協力した意味が・・・」
「いや、探偵に戦闘を求められても・・・」
上伊集院さんは縋りつくような瞳を向けて俺を見てくるが建前上ただの探偵業をしている凡人にそんなことを言われても困ってしまう。
周りにいる連中もこのままでは自分たちの活動の意味がないと悟って頭をひねり出した。
そんなことをしていると ジリリリ~~ と突然警報が鳴りだした。
「どうしたんだ?!」
上伊集院が咄嗟に声をあげる。
「侵入者です!」
そう言って七色さんは近くにあるモニター画面を見て侵入者の様子を窺う。
「裏門と正門から合わせて30名近い拳銃かナイフを人が入ってきています。」
「く・・・ ハッキングがバレてここを嗅ぎつけられていたのか・・・」
恐らくは晶が初めてのハッキングであるために相手に気づかれずにやるのに失敗したのだろう。
もしくは、ハッキングに気づけるほどの優秀なプログラムがあったかプログラマーがいたのだろう。
どちらにしてもこの状況では戦闘は避けられそうにない。
「他に出口はないのか?」
「残念ながらありません。」
俺の質問に佐部さんが無情にもあっけなく答えをくれる。
やはり退路は無いらしい。
「こうなれば、奴らを捕まえて警察に突き出すしかあるまい。」
本来ならば戦いは避けるべきだしこの状況は残念に思うべきなのだが、上伊集院さんは笑っていた。
この状況は彼女達にとって好都合だからだ。
相手の方から襲い掛かってくるのならばそれは正当防衛だ。
おまけに、相手は違法ドラッグを作る犯罪者だ。
あいつらを懲らしめて吐かせれば『ハッキングした事実を隠して証拠をそろえることができる』とでも考えているのだろう。
逆にこの状況は俺にとって最悪だ。
いくら戦場帰りの元傭兵でも装備が何もなければただの人だ。
無論、格闘術は使えるが拳銃やナイフ相手にどこまで通用するか・・・
いや、それよりも心配なのは・・・
「晶を戦わせるのか?」
俺はコスプレした晶を見ながら上伊集院にそう尋ねた。
「ああ、彼女にも戦って貰うよ。もっともシャドーズの方でだけどね。オリジナルは制御できなくなると危険だし、ヤクザ相手には強すぎる。」
そう言って上伊集院さんは晶にゴーグルを渡した。
晶はゴーグルをつけて短パンを脱ぎだした。
「おっと・・・」
俺は晶から視線を逸らして他の人達の様子を窺う。
皆、襲撃に慣れているのか覚悟していたことなのかはわからないが落ち着いて行動していた。
行動内容がコスプレ衣装に着替えるというものなのが、残念ではあるがなかなか度胸のある人たちの様だ。
「よしいくぜ! 俺の筋肉で終わらせてやるぜ!」
篤是さんはビッグバスターズの井原真人いはらまさとのコスプレだ。
「僕も行こう。君だけでは不安だ。」
印輝さんはラキルキルの犬田宝火いぬだほうかのコスプレだ。
きっと戦闘時にはもう一度着替えないといけないのだろうになぜその格好を選んだのか・・・
「オペレーションは任せてください」
佐部さんはオペレーションをするだけなのにコスプレをしている。
いや、オペレーションが得意なキャラのコスプレをしてその能力をあげているのだろうか・・・
まぁここにはオペレーションの為の機器は耳に付けるインカムのみだ。
スカイレディーズの藤木七恵ふじきななえのコスプレをしても情報処理や航行補佐はできない。
「敵はすべて殺すゆっきーとの未来のために・・・」
七色さんは未来の日記の我女柚乃わがめゆのだ。
その眼は狂気に満ちており殺る気満々だ。
「相手の無力化が目的なのでその衣装はダメだな・・・」
上伊集院さんのこの一言で七色さんだけ着替え直すことになった。
他のメンバーも思い思いのコスプレをして戦闘態勢を整える。
「上伊集院さんは着替えないのですか?」
「ん? 私はすでにアリア・来夢くるむ・エリアノール・ヴェルターのコスプレをしているが?」
俺の質問に上伊集院さんは不思議そうに返事を返した。
ああ、ジンライ×ジンライのあの人か・・・
つまり、胸が偽乳なのは見栄ではなくコスプレの為だったのか・・・
思い思いのコスプレを終えると上伊集院さんの号令の下で敵の迎撃が始まった。
そう! 今ここにコスプレイヤー対ヤクザの抗争が始まったのだ!
「なんだろう・・・ この戦いは・・・」
ヤクザ対コスプレイヤーが戦えばどう考えてもヤクザの圧勝である。
だが、コスプレイヤー側は上伊集院さんの能力で作り上げられた衣装を身にまとっている。
その為だろうか。
100%にはほど遠いにもかかわらずその戦闘能力はヤクザを圧倒していた。
恐らくは軍隊並みの戦力を有しているだろう。
軍隊よりも強力なヒーローにはなさそうにはないが、ヤクザ程度を捕獲するには十分な戦力だ。
「な、なんだこの変な奴らは!!」
いきなりのコスプレイヤーの登場にヤクザさん達は何がどうなっているのかわからずに応戦するが・・・
「筋肉筋肉~♪」
「分析完了」
「皆さん敵はA地点とB地点にいます。気を付けてください。」
「紫電一閃!」
「みさかの攻撃により対象を行動不能にしました。次の指示をお願いしますとみさかは懇願します。」
コスプレイヤーさん達の怒涛の攻撃により一瞬で撃破されるのだった。
こうして、ヤクザVSコスプレイヤーの第一次抗争はコスプレイヤー側の圧勝で締めくくられるのだった。
アニメキャラのコスプレじゃないけど。
特殊な衣装を着ているのでコスプレイヤーってことでお願いします。
他に良い言い方あるのかな?




