一夜明けて・・・
今回は短いです。
ちょっと内容が思いつかなくて・・・
ごめんなさい。
休みの日にでも頑張ります。
スーパーマンジュニアの暴走から一日が経過した。
スーパーマンジュニアの暴走は正義の味方派遣協会が情報を規制したために、表だって発表されていない。
何せ、同じ地区のヒーローであるブレザーハートの面々やリリカルハニーがその存在を知らなかったのだ。
協会はリリカルハニーやブレザーハートの証言から似顔絵を作成してスーパーマンジュニアであることを突き止めて、本人に事情を聴きに向かったのだが、彼は自宅にも実家にも帰ってはいなかった。
リリカルハニーが見たという100体を超える怪人たちに攫われたままなのだ。
メディアは『突然街中で暴れ出した男をリリカルハニーが撃退』という小さな記事を載せるだけで、それよりも、突如上空に現れた100体を超える怪人たちについて大々的に記事に載せていた。
協会はとりあえず、今回のことを内密にすることで合意し、リリカルハニーやブレザーハートと戦った相手が同じヒーローであるスーパーマンジュニアであったことを秘密にした。
ただ、さすがの協会もスーパーマン夫妻にはこのことを話さなければならなかった。
「そんな、うそよぉお~~!」
話を聞いたスーパーウーマンは夫であるスーパーマンに抱きついて泣き崩れてしまった。
スーパーマンも事態を理解しきれていないのか。
泣き崩れた妻を慰めながらも、その瞳はどこか遠い所を見ていた。
スーパーマン夫妻は正義の味方として現役時代に大活躍した反面、子育てを2人の母や父。
スーパーマンジュニアからすれば祖父母に当たる人物に預けていてしっかりとした教育ができていなかったことを深く後悔した。
祖父母は孫であるスーパーマンジュニアに甘かったのだ。
そして、スーパーマン夫妻はヒーロー活動で忙しかったためにたまにしか合わない息子を甘やかしてしまっていた。
2人は、そんな甘やかした子育てをしたツケが回ってきたのだと深く反省するとともに被害者の方にできれば一言謝罪をと協会に被害所の身元を尋ねる。
「残念ながらそれは・・・」
二代目ヒーローの暴走という事態を隠すことで合意した協会はこれを拒否。
スーパーマン夫婦が謝罪などすれば、今回の事件の加害者がスーパーマンジュニアだということが表沙汰になってしまう。
そうなれば、ヒーローの存在を危険視する声が少なからず出てくるだろう。
それだけはなんとしても阻止しなければならないというのが協会の決定だ。
そんなわけで、スーパーマン夫婦は残念ながら被害者に謝ることは許されなかった。
「息子の行方は・・・」
スーパーウーマンは息子がどこに連れ去られたのかと、不安そうに尋ねてきた。
「鋭意捜索中であるとしか・・・・」
さすがに、100体もの怪人が煙に紛れて分散して逃げたために足取りは追えなかった。
現在もヒーローと協会の工作員が鋭意捜索中であるが、足取りはまだつかめていない。
「何か情報を掴みましたら、また来ます。」
協会の連絡役の人はそう言ってからスーパーマン夫妻の家を後にした。
「よろしく、お願いします。」
スーパーマンは協会の連絡役の人にそう言うことしかできなかった。
100体の怪人がいたから逃げられた?
違う・・・
私はあの時・・・
恐怖で動けなかったのだ。
100体という怪人の多さにではなく、その中のたった一人に・・・
黒い羽根に黒い角を生やした悪魔の様なあの怪人に、私は睨まれただけで戦意を喪失した。
あんなことはヒーローをやっていて初めての体験だった。
魔法少女リリカルハニーは昨日のあの時のことを思い出してまた怖くなった。
思い出の中のほんの1ページに満たない記憶なのに、そこには死への恐怖がビッシリと書かれているかのように、記憶に蓋をしたくなる思い出が刻まれていた。
「おかあさん。」
その思い出が不安で昨日、彼女は久しぶりに母親と同じベットで眠ることにした。
母親は優しく笑って彼女を受け入れた。
一夜明けて、朝から協会の人が来て「昨日のことを詳しく知りたい」と言ってきたので、できるだけ詳しく話した。
無論、100体の内の1体が死を撒き散らす様な怪物ではないかということも・・・
だが、協会の人達は「まさか、そんなわけないでしょう」「100体もの怪人がいたからそう思っただけですよ」と言って笑っていた。
私は不安を掻き消す為に一緒になって笑った。
そうすれば、この人たちの様に能天気な馬鹿に慣れると思ったからだ。
子供だからといって私の話を真剣に聞かず、大事なことを見落として、それでも笑っていられる馬鹿な大人に・・・
パン
そんな私の頬を母がぶった。
母は協会の人達にはグーで殴って私の話を真剣に取り扱う様にと言って怒鳴り散らして台風の様に去って行った。
協会の人達は私からその危険な怪人の姿形を詳しく聞いてメモを取り帰って行った。
「香、今日から魔法の特訓よ!」
協会の人達が帰ると、母は昔着ていた魔法少女の服装で私に稽古をつけると言い出した。
服装だけは何とかして欲しいと思いながらも、私はそれを受け入れた。
(強くなろう・・・)
私は今よりもっとずっと強くなって守りたいモノを人を街を守ると心に誓った。
私たちは惨敗した。
相手に一撃入れることなく、一方的に蹂躙されて惨敗した。
リーダーであるブラックやオレンジがいなかったとはいえ、怪人でもない人に負けたのだ。
ヒーローとしての能力に疑問が沸き起こる。
「大丈夫だよ!私達まだヒーローとしては半人前の初心者だもの!」
橙子がそう言って紫原、碧、藍波を元気づけようとするが、彼女たちは落ち込んだままだった。
「・・・しょうがないわね・・・・」
黒条は一人で何かに納得したように頷いてから、手を叩いて皆の視線を集めた。
「三人の怪我が治り次第。合宿を行います。期限は完治後の3週間。学校をお休みしてでも私達には力が必要よ。」
その言葉に、三人は深く頷いた。
「では、各自医師の指示に従って怪我を治しなさい。じゃ、またね。」
黒条はそう言って去って行った。
橙子は黒条の後に続いて合宿の内容について聞き始める。
「合宿して強くなれるの?」
「なれるわ。なぜなら・・・・」
ブレザーハートの5人はヒーローとしてまだ日が浅い。
そのために実力は低く、ヒーローとしての自覚も薄い。
今回の戦いでリリカルハニーが活躍したのは、彼女の家系が代々魔法使いの一族で彼女自身に才能があったのと、幼い頃からの英才教育の賜物だ。
逆にブレザーハートは彼女たちが高校一年生の時にひょんなことから力を手に入れて活躍しだしたのだ。
そんな彼女たちは、実はまだ手に入れた力の半分も使いこなせてはいなかった。
寧ろ彼女たちの安全のためにと、その力を半分以上封印している。
黒条はその封印を解き、3週間で使いこなす為の合宿を開くことにしたのだ。
「そっか・・・ 頑張らなきゃね・・・」
橙子と黒条は病院から出た後で、とある部屋の窓を見る。
その窓の向こうには先程のブレザーハートの3人ではなく、智坂が眠っている。
彼は今回の事件で一番、重傷だった。
ブレザーハートの変身後のダメージは変身を解くと半分ほどはなくなる特殊な魔法の様なモノがかかっている。
本来ブレザーハートに変身しているダメージは変身を解くことで全快することができるのだが、能力を半分以上セーブしている現状ではそこまではできないのだ。
そんなわけで、彼女たちの傷は変身解除後に半分ほどに減っている。
だが、智坂は違った。
内臓の一部が破裂して、完治には至らない。
ただ、今までよりも内臓機能は落ちるが日常生活には支障がない。
そんな感じだった。
2人は、その場にいなかったことを悔やみながらも今の実力のままではきっといてもいなくても結果は変わらなかっただろうと思うのだった。
2人は頬を伝う涙を拭って病院を後にした。
悪の組織、匿名希望☆は大変な状況だった。
先日現われた黄金と白銀の戦士の一件もそうだが、悪の組織の一員である智坂がスーパーマンジュニアに襲われた一件で協会や警察が怨恨などの問題がなかったかを調べに来たのだ。
表向きは大企業の支社扱いの第八支部はすぐに必要な資料やデータを隠して一般の企業を装い対応した。
もっとも、これはいつも訓練でやっているので特に問題はなかった。
問題は智坂の方だ。
彼は重傷を負てしまい、日常生活を送るのがやっとの状況になってしまった。
これでは悪の組織の戦闘員としては使えない。
だがこれは、悪の組織の持つ万能細胞を使うことで回復できる。
ただ、それをどうやって行うかが問題だ。
協会運営の病院で見てもらっているが、悪の組織の運営する病院に搬送してその後無事に完治などすれば「あの病院には何かある」と思われてしまう。
なので、彼らは現在。
彼を受け入れた後の臓器提供などの資料やそれに伴う手続きなどを密かにしている。
智坂をクビにしないのかって?
残念ながら彼はその性格とは正反対に優秀な人材であるために、支部長や怪人であるネイルにバイパーに気に入られている。
諜報活動能力においても実は組織内でも最高クラスの実力者のだ。
おまけに本部にいる幹部のマクシャールに気に入られているので、彼をクビにすることはできない。
そんな事情もあって悪の組織、匿名希望☆、第八支部は今色々と忙しいのだった。
智坂が目覚めたのは悪の組織運営の病院に移って臓器移植という名の万能細胞による治療手術を受けた3日後だった。




