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復帰

尾行、追跡、追尾の技術や方法を知らないので訓練編は書けませんでした。

「ありがとうございやした!」


二週間の訓練を終えて追尾、追跡、尾行の技術を習い終えて高跳さんは頭を90度近くにまで下げて礼を言い去って行った。

俺は片手をあげて振りにげるさんを見送った。


翌日、俺は病院からの「完治した」という診断を受けてついに仕事場へと向かう。

朝はいつもの様にジョギングをしてから支部へと向かう。

久しぶりの早朝ジョギングはかなり堪えた。


電車に揺られた後に少し歩くと支部につく。

いつも通りの道順で進み、自分のデスクにつくとその上には一枚の封筒が置いてあった。

中身を取り出して目を通す。


『至急、支部長室に来られたし。』


「・・・!」


てっきり新しい配属部署の名前が書いてあるのかと思ったら支部長からの呼び出しだった。

デスクに鞄を置いて早速支部長室へ向かう。


コンコン


「入りたまえ。」


ドアをノックすると中から返答が返ってくる。

ドアを開けて中へと入ると支部長ともう一人、始めてみる人が立っていた。

年齢は30代前半で筋骨隆々の髭面のおじさんだ。


「おはようございます。」


「おはよう、よく来てくれた。座りたまえ。」


挨拶をすると支部長に促されて俺はソファに腰かける。

対面にはもう一人いたがたいの良い男が座る。

支部長は自分のデスクに腰かけたままだ。


「どうぞ。」


支部長の秘書と思われる方がコーヒーを置いてくれる。

その方が三人の前にコーヒーを置き終わり、支部長が一口飲んだ後に話は始まった。


「朝早くからすまなかったね。実は君にお願いがあって今日は呼んだんだ。」


「お願いですか?」


「ああ、君の次の配属部署は決まっているのだが、その前に一つ。君にある作戦に参加してほしくてね。彼が、本作戦の指揮官兼怪人のバイパー君だ。」


「初めましてコードネーム バイパーだ。実はある作戦を実行する予定なのだが戦闘員の数が少々心許なくてな。有望そうな仮職員にもこうして声をかけて回っているんだ。」


バイパーさんはそう言って握手を求めてきた。

俺は恐る恐る握手に応えると男はニコリと笑った。

笑うとわずかに開いた口の中に歯並びの良い綺麗な歯が見えた。


「それで、作戦というのは・・・」


握手をし終わった後、質問を投げかけると室内が暗くなりスクリーンが落ちてくる。


「本作戦の目標はある警備会社の襲撃だ。目的はこの警備会社内に働く元正義の味方の戦闘能力の調査、可能ならばそれを削ぐことだ。」


「警備会社に引退したヒーローがいるんですか?」


「ああ、この警備会社〈アイギス〉にはそう言った連中がいるらしい。しかも、噂ではこの会社に勤める元ヒーローたちを使って新ヒーローのための最新装備のチェックがなされているらしい。その技術力がいかほどのものかを見るのが本作戦の目的だ。」


バイパーさんは真剣な表情で俺を見据えて語る。


「まぁ、難しく考えないでくれたまへ。あくまでも作戦は調査だからね。戦闘を行う予定ではあるが、

戦闘員に求めているのは戦力ではなく撤退時にうまく逃げるための逃走能力と人海戦術を使う人員だからね。」


支部長が重たい空気になって場を和ませようと言ってくれるがなかなか穏やかな話ではない。

本来ならば、俺の様な仮職員は実戦には出ない。

それを戦うためではないと言っても実戦投入しようというのはかなり危険な任務なのだろう。


「襲撃にはそんなに人員が必要なんですか?」


「ああ、相手は引退したとはいえ現役時代を生き残った強者ばかりだ。それにこの警備会社には複数人の元ヒーローがいることが分かっている。こちらも、襲撃時は怪人5人が1人につき10人ほどの戦闘員を連れて波状攻撃を仕掛けるし、撤退時の確保として怪人3人と戦闘員50人が現場周辺に待機するのだが・・・」


バイパーさんは苦虫をかみつぶしたような表情で質問に答える。


「皆、作戦の恐ろしさに気が引けてしまってな。撤退時の待機戦闘員の人数は確保したというか。

皆そっちに行きたがって現場に乗り込む隊員があまりいないんだよ。どうかな?この作戦に突入要員として参加してくれれば正式な戦闘員になることができるんだけど。」


「・・・!」


支部長の言葉を聞いて俺は息をのんだ。

本来は月一回の試験を突破しなければならない正式採用の機会をまさかこんな形で手に入れられるとは思いもしなかったのだ。


「君は戦場での実戦経験と実績もあるしやってくれないか?」


「作戦はいつですか?」


すぐにでも「OK」を出してしまいそうになりながらも俺は自身の体調を気にして作戦の決行日を確認する。


「2日後だ。」


バイパーさんは両腕を組み俺の決断の言葉を待つ。


「どうだろう? 君は病み上がりだけど2日あれば作戦も体も何とかなるんじゃないか?」


「二日ですか・・・」


俺はその短すぎる日数に少し落胆する。

病み上がりの俺には二日で実戦に行くのは少し早すぎる気がする。

だが、こんなチャンスは滅多にない。

この機会を逃したらもう二度と正式な隊員に慣れないような気もする。

何よりも、あの訓練という名の試験は肉体的にも精神的にもかなりキツイものがある。


「やります!」


「「・・・!」」



数瞬考えた後に作戦への参加を決めた。

俺の返事を聞いてバイパーさんは笑顔でもう一度握手を求めてきた。


「ありがとう!」


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


「よし、作戦決行日とその翌日の休暇日の計三日間、私の方から新しい配属部署へ配置が遅れることを打診しておこう。 君たちは早速、作戦とメンバー同士の顔合わせや連携の確認をしてきたまへ!」


「「はっ!」」


支部長の激励に俺とバイパーさんは敬礼のポーズを取った後。

支部長室を後にして作戦司令部へと向かった。


「ふう、行ったか・・・ 今回の作戦では何名が生き残るのかな・・・」


二人がいなくなり静かになった室内で支部長は一人、コーヒーを飲みながら空を見上げた。




作戦司令室でバイパーさんと共に突入する隊員たちと挨拶を交わした俺は作戦の内容と突入経路、武装や合図などを確認する。

皆、筋骨隆々の三十代のおじさんでいかにも死線を潜っていそうな猛者ばかりだった。


「それにしても、下位戦闘員のしかも見習いの身で実戦への参加を決めるとはなかなか命知らずだな。」


男の一人が俺の肩に手を回してきた。


「いえそんなことはないでしょう。他の仮職員も正社員になれるのなら作戦に参加するのでは?」


俺は「そんなこともないだろう」と思いそう答える。


「ははは! それはあんまりないな。」


「そうなんですか?」


別の男が笑って否定するので質問を投げかける。


「ああ、聞いた話じゃみんな断ってるらしい。 なんせ、生きて帰れなきゃ正規職員の話しもパーなわけだからな。」


(確かにその通りだろとは思うけど、そんなのは悪の組織の一員としては普通じゃないか?)


俺はそう思って首をかしげると男たちは「こいつは大物だ!」と言って盛大に笑った。


「いいか? 無知なお前に教えてやろう。 戦闘員が戦闘で生き残る確率はだいたい2割ほどだ。

10人突入すればだいたい8人は死ぬな。新人ならなお生還率が低い。 怪人でだって生還率は6割ほどだしな。 それに今回は引退しているとはいえ歴史に名を残すような強敵だった奴らだ。生還率はいつもより低いかもしれん。奴らは逃げていく敵を仕留めるのに慣れているからな。」


「それにだ。今回の襲撃ポイントは警備会社の中。いわば敵の巣の中での戦闘だ。一応、外から偵察をしてはいるが内部構造はあまりよくわかってない。そんなんだから脱出のルートも確保できるかどうか…」


男たちはそう言って俺を脅して怖がらせる。

俺も決断を早まったと思い少し後悔した。


「お前ら、新人をあまり怖がらせるな。 まぁ、そいつは実戦を経験してるからそんなにビビったりはしないけどな。」


「「「何そうなのか?!」」」


バイパーさんの言葉を聞いて俺は首を傾げるのだが、男たちは俺を見て驚きの声を上げる。


「まぁ、研修で戦場に一年ほど連れてかれましたからね。」


「「「!!」」」


俺の言葉を聞いて男たちは驚きの表情をさらに強めた。


「じゃ、じゃあお前が、面接時に戦場での研修に行けるかという質問に即答した。伝説の男なのか?!」


「??」


質問の意味が分からずに俺は?マークを頭に浮かべる。


「おお! 俺も聞いた! なんでも本部にいる幹部のマクシャールさんの面接で史上初の合格者だっていうあの!」


「何!? あの毎年面接で誰も取らないことで有名なマクシャールさんの面接を受かっただと?!」


「それだけじゃね~。一年間の戦場での実習でものすごい戦火を上げたという伝説の傭兵説を残して戦場から消えた怪物だと噂で聞いたぞ!」


「ああ、戦場での研修が終わった後、マクシャールさんが仮ではなくいきなり正式に採用しようと上に直訴したって話だ。 お前スゲ~な!!」


「マクシャールさんって誰ですか?」


男たちの盛り上がりを他所に、俺だけが話についていけずにいた。

なので、マクシャールさんのことについて尋ねてみることにした。


マクシャールさんというのは悪の組織の幹部らしく本部に勤めているらしく、毎年試験官をしているらしいのだ。今までに新入社員として取ったのは俺だけらしい。

その人の人となりや容姿を聞くと確かに試験会場にいた気がする。


いや、その人と面接会場で二言三言話して俺はこの会社に就職したのだ。

あれは半年ほど前・・・


「では、最後に私の方から質問する。君たちは悪の組織に入ったらどこまでの悪事をなせる?」


試験の最中、一言もしゃべらずいた試験官の一人がそう言ったのだ。

その言葉に試験を受けていた者たちは俺も含めて言葉を失った。


悪の組織に入るのだ。

無論、悪事に手を染めることになるだろうが、どこまでできるかはわかっていなかったし考えたくなかった。

正義のヒーローと戦うという漠然な思いしかなかったのだ。


それに、内心では正義の味方に勝てるわけがないとも思っていたので戦った後に勝つイメージがなかったのもその一端を担っているだろう。


何せ、子供のころ見ていたテレビで正義は必ず勝つのだから。

俺達みたいなどこの就職先にも「いらない」と言われたニート予備軍がそんなヒーローに勝って悪事を働けるだなんて思っていない。

むしろ、就職できればどこでもいいと思ってここにいる気持ちが強かった。


「右端の子から順に答えを聞こうか。」


「あ、はい・・・ ええっと・・・」


その後も何人もの人たちが答えられずにうやむやな返事を返す。

中には明確にやりたい悪事をいう本当に悪の組織向きな者達もいた。

そして、やがて俺の番になり・・・


「俺は仕事ならばやれる範囲でどんなことでもやります!」


俺は就職したい一心でそう答えた。


「ならば、人を殺せるか? ただ望まれるがままに見たこともない一般人や知人、家族を仕事と割り切って殺せるのか?」


「・・・! それは・・・ 」


俺は男の質問にはっきりとした答えを出せずに口ごもる。

男は目を伏せて「その程度の覚悟か・・・」そう言って顔を伏せてしまう。


「俺はとても人を殺す度胸も技術もありません。 でも、殺すことが仕事ならば精一杯やってみます!」


俺の言葉を聞いて男は顔を上げる。


「お前の決意はわかった。次の者!」


男の言葉を聞き俺は黙り込む。

その後も試験は続き全員が質問に答えた後、解散となった。


帰る途中、俺は先程最後に質問してきた面接官に出会った。


「採用だ。」


男はそう言って俺にその場で封筒を渡して去って行った。

中を見てみるとどこかの国に行くためのチケットとお金、そしてそこで何をするのかが書かれた指令書が入っていた。


行先は某国と某国の境界線上にある村でそこで傭兵として半年間の訓練と実戦をする様にとあった。


こうして俺は一年間の戦場行きが決まったのだった。



感想、誤字脱字あれば連絡願えると助かります。

こちらでも発見次第直しておりますが直ってなかったら悪しからず。

まぁ、感想届いたことないから大丈夫でしょう。

誰も見てない可能性もあるけどね。

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