13 パーティーで
やはりルート様は目立つようで、サーヤと合流しようと会場内を進む度に、鋭い視線が突き刺さるのを感じる。
好奇な視線や嫌悪な視線、恨めしそうな視線、面白半分な視線など、様々な視線を感じる。
慣れない視線の数々に俯きそうになった、そんな時にルート様が、伯爵家の家庭教師の先生がしたように、私の背中をツーーっとなぞった。
ハッ!そうだったわ!
"どんな時でも伯爵家の者として恥ないよう振る舞うこと" 先生の口癖が脳裏によぎる。
私は背筋を伸ばし、堂々と笑顔になる。すると、ルート様が優しく微笑みながら、そっと背中を軽く2回叩いて労ってくれた。
どうやら正解だったみたいだ。
そのまま、周りを気にせずサーヤを探す。
立食のテーブルの前で、カルビン様と軽食を食べている姿を見つけたので、声をかける。
「サーヤ!」
「マリン!やっと来たのね!って、貴方は…何をしてるのかしら?ルート!」
私の隣にルート様が居ることに気付いたサーヤは、一瞬だけ目を見開きビックリした表情をしたが、すぐにジト目でルート様を目で付けた。
「エスコートですよ。お姉様」
そんなサーヤの対応にも、いつも通りニコニコとやり過ごすルート様。相変わらず仲がよろしいいことで、微笑ましく私も見守る。
「それにしても、お似合いのカップル誕生だね」
カルビン様が、突然とんでもないことを言い出した。
「い、いいえ!まずは、お友達からなんです!」
マリンは真っ赤になりながら、手をアワアワさせて慌てて言うが、サーヤとカルビン様は呆れた表情をしている。
「そう!まずはお友達なので」
ルート様は何故か楽しそうに、私に寄り添ってくっついてきた!
「あら〜、お友達ならその距離感は可笑しいわね〜!そういう事なら私はマリンの味方になるわ!嫌なことされそうになったら、すぐに私に言うのよ、マリン!!」
スパンと私とルート様の間を引き裂いて、サーヤが間に入って、今度はサーヤがくっついてきた。
私が目を白黒させながら2人に翻弄されてる様子を、カルビン様が冷静な声で「マリン嬢はモテモテですな」と言うもんだから、私はプルプルと首を振るばかりだった。
どうやら会場の中央では、ダンスが始まったようだ。
4人で移動し、卒業パーティーのダンスを楽しむ。
ルート様のリードはとても踊りやすかった。初めてルート様と踊るが、流石伯爵令息だわ。
ダンとのダンスは、どちらかと言うとパワーで振り回される感じだった。
ダンも何処かに居るんだろうけど、もうすっかり存在を忘れていた。その事に自分でもビックリだわ。
目の前には、本心から嬉しそうに、幸せそうに微笑みながら私を見ているルート様が居る。
どうして今まで気付かなかったのだろう…。
ルート様は慈しむように私を、私だけを見つめてくる。
――こんな、真っ直ぐな愛は知らない。
確かに、ダンのことは好きだった。恐らくダンも仲違い前は、私のことを好きでいてくれていたと思う。
幼い頃からの婚約は、もしかしたら家族の情に似たものに、身内の親愛になっていたのかもしれない。
ルート様に見られてるだけなのに、身体中に熱が集まって、考えがままならなくなってしまう。
サーヤから借りて散々読みこんだ恋愛小説で、この感情が何なのか、私はもう知っている。
――私は今、【 ヒロイン 】になってる
知識はあったけど、身をもって思い知らされた一時だった。
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しばらく甘々のジレジレで進みます。
マリンに幸あれ〜!!




