12 初恋の告白
「えっと……!?今、なんて?」
ルート様は、何を言ってるのだろうか?
父から譲ってもらったって?
じゃぁ、父は何処にいるの?居ないってこと?
キョロキョロと辺りを見渡し、段々と減ってきた控室で父の姿を探すも、それらしい姿は…ない。
「マリン嬢、どうか僕の手をとってください。今夜のパートナーとして、僕を選んで欲しい」
片膝を着いて、スッと手を差し出された。
「で、でも…!!私達は婚約してる訳でもないのに!ルート様が誤解されてしまわれます!!」
「………マリン嬢にとって、僕は恋愛対象に見られてないことは知っています。だけど、この役は誰にも譲れないんです!僕の初恋は貴女です。マリン嬢!!」
は、は、初恋?!
ルート様の初恋が…、 わ、私?
「初恋だと自覚した時には、既に貴女は婚約者が居たから、このまま可愛い弟役でもいいから、一緒に居たいと思っていました。でも、マリン嬢が婚約解消したとなれば、話は別です!!」
ルート様はそっと私の手を取り、少し潤んだ瞳で私を見上げる。
「僕は初恋を諦めたくないんです。うちの伯爵家と、貴女の子爵家には許可を貰っています。あとは……マリン嬢、貴女の気持ちだけ。すぐには無理でも、必ず僕が幸せにします!だから、隣りに居て欲しい!」
真剣なルート様に、私も真剣にちゃんと考えて答えなくちゃいけないと思った。
初恋を終わりにした私。初恋を諦めないという彼。
ふぅ~と1度深く息を吐く。
「えっと、ルート様。貴方の気持ちは分かりました。私が初恋の相手だなんて、ビックリです。全然気づかなかった。私は先日婚約解消をしたばかりで、すぐ次に誰かをって、気持ちにはまだなれなくて……、今すぐ貴方と同じ気持ちになるのは、正直難しいです。だから…」
ゴクリとルート様の喉が鳴ったのが分かった。
「だから、まずは、お友達からお願いしますっ!」
ルート様の手をギュッと握り返した。
ルート様が、ハハッと笑った。
「もちろん、ゆっくりで構わないです。お友達ってことは、弟からは昇格したってことですよね」
悪戯っぽく笑いながら、立ち上がり、そっと私の手に唇を落とした。
その仕草も何もかも、あの恋愛小説のヒーローのように見えて、正直ドキドキしてしまう。
カチコチに固まってしまったマリンを、ルート様がそっとそのままエスコートして、パーティー会場まで移動していった。
ガチャリとドアが開くと、きらびやかなシャンデリアの下には、華やかなパーティー会場が広がっていた。
ルート様と私の登場に気付いた人達から、ざわめきが起こっているのを感じた。
実はさっきは驚きすぎて気づかなかったが、ルート様の装いは、私のドレスと対になっていた。
白銀のタクシードに、私のドレスと同じ布のブルーのハンカチーフを胸に刺しており、2人で並ぶと、お互いの色を組み合わせて作ったものだと分かる。
これじゃまるで、傍から見たら、本物の相思相愛の婚約者同士にしか見えないじゃないっ!
【お友達から】って言ったけど、着実に外堀が埋められているのを感じる。だけど別に嫌な気持ちにはならなかった。
私の恨めしそうな視線を感じたのか、ルート様が私に向かって、ニコッと笑う。
それだけで、かっと顔が熱くなってしまった。
私ったら、もうトキメキを感じてしまっている。
お友達からって自分で言ったのに……情けない。
お読み頂き、ありがとう御座います。
もし良かったら☆で評価して貰えたら嬉しいです。
また別作品ですが【私達、裏庭だけの関係なのに】が3月6日にコミカライズ発売予定です!
こちらも是非どうぞよろしくお願いします!




