Episode5:GALS RETURN
「面積じゃなくて底だったかな……」
捻った蛇口から流れる水を眺める少女。
一人の壮年の教員がじっとそれを見つめる。
はて。自分は何故それを見つめてしまうのだろう。
彼はそんなことを思いつつも、授業の準備を始める。
そう言えば、今日の授業で教える内容がソレだ。彼は開いた本を開いて思わず苦笑いをする。この学校は偏差値がさほど高くない私立校だ。それでも予習してくる生徒もいる。いつの時代も不良の生徒だって真面目な生徒だっている。
いや、本当はみんな真面目なのかもしれない。それが何かで歪んでいく。
「どうもー! 水の心を持った水野です。模範となるよう清く正しくボケますよ」
「どうもー! 火の心を持った火村です。熱く燃えあがるようにツッコミますよ」
「いや、燃え上がるようなツッコミがきても、清く正しく流れ続けるのが水の心」
「滝のように激しくなる時もあるし、蒸発してなくなるものだってあるでしょう」
「それを言ったらキリがないでしょうが」
「霧はありますよ。水から生まれるもの」
ある日、部活の終わりに漫才を披露してくる生徒がいた。陸上部の生徒だったかな。彼女たちはある生徒から不当な暴力を受けたものの3年間部活をやりきる。
もっとも、その暴力を働いた生徒を虐めていたと2人に噂があったもので……
その暴力を働いた生徒のほうがセンスはあったが……
「なんか分かりづらいな。いや、先生はお笑いとか詳しくないのだけど……こう笑えないっていうか何て言うか。水野さんも火村さんも変な寄り道はせず。今はひとまず部活と勉強を頑張ろう」
「え~ショックだなぁ」
「まぁ先生がさっきの漫才にツッコミを入れるならだけど……」
彼は澄みきった青い空と流れる白い雲をそっと眺める。
「そもそも水って言うのは綺麗でも不潔でもない」
そんな光景をグランドで自転車を走らす2人をみて思いだす。
「バカヤロウ」
彼がそう言いつつも、思わず微笑んでしまうは仕方のないことか。
「おーい! バカ! 勉強頑張っているかー!」
「バカ、やめなって。目立っちゃうでしょうが」
「ふふ、里琴のほうが大人になったみたいだね」
「色々あったからね……」
2人が乗る自転車はそのまま学校をでていく。
「ねぇ」
「うん」
「コレってどこにむかっているの?」
「さぁ」
「相変わらず無鉄砲だなぁ」
「それって流美がいう事?」
「私はいつだって立ち止まっていた」
「そうかなぁ……」
「でも、進まないといけなくって……休みたいのに休めなくって。そんな人生がどこまでも続くのが嫌で。でも、それでも一生懸命頑張ったの……」
いつの間にか流美は溢れる涙を止められずにいた。
「私達……あの時に終わったのかな……」
「バカ! まだ始まってすらいないよ!」
サングラスとマスクを外して大きな傷跡をみせる里琴であったが、その笑顔がみせる眩しさはあのとき以上のものに感じられる。
「オラァオラァ~いくぞ~」
「ヘヘッ! ヘヘへへッ!」
彼女たちの物語はここで終わりでない。
むしろここから始まると謳え。
ワクワクしてしょうがねぇよ。バカヤロウ。
如月文人:自分はあまり、というか他の作家さんと
コラボのような事はしたことないですが、
今回の試みは色々と勉強になりました。
ギャルズリターンの元ネタの「キッズリターン」は、
個人的に大好きな映画なので、
このギャルズリターンってタイトルにも非常に惹かれます。
内容は流石いでっち氏という感じで、
独特な切り口と演出が他作品にはない味となってますね。
まあそういう訳なので、皆さんもギャルズリターン。
そして宜しければ拙作「チャイルド・メタル」と「Singer-Actress」も読んでください!
『CHILD-METAL』
https://ncode.syosetu.com/n3410mm/
『Singer-Actress』
https://ncode.syosetu.com/n6804mo/




