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『辺境伯一家の領地繁栄記』第二章:スキル育成記~最強双子、成長中~  作者: 鈴白理人
今日もアクアオッジ家は平和です

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㉚【鑑定スキル】の弱点


 背の高いほうの女が、見事な仕草で剣を鞘に収めて近付いてくる。

 同じように【鑑定スキル】を試みるが、こちらも同じように弾き返された。


「……ッ」


「おや、私にも【鑑定スキル】を使ったのかい? 私のスキルで弾いてしまうから、痛かっただろう。すまないな」



(……僕の手に負える相手じゃない)

 この女たちはいったい何者?


"小僧。そうしょげるな。こやつの【スキルツリー】の豊富さは目を見張るものがあるからのう"


「今日はよくしゃべるな、グランディエル」

 呆れたように肩をすくめる仕草が絵になる。

(……驚いた。かなり背が高いんだな……)

 すぐ近くにいると、女の背が自分より高いことに気付いて、アンドリューは目を見張った。

 もう父の背は追い越したし、兄ともそう変わらないくらい今年に入って伸びている。毎日骨が軋んで痛いのは成長痛だと、侍医に言われていた。


"よいではないか。伸びしろのある人間に出会うのも久々だからな……伸ばすのも停滞するのもその者次第じゃが"


(やっぱり剣がしゃべってる)

 間違いなく剣がしゃべっているのが近くにいるとよく分かる。鞘が微かに震えるからだ。


「……もう一つ教えて上げないのかい? エル。【鑑定スキル】の弱点を」

 ペシっと鞘を叩いて苦笑しながら女が言う。


"あうちっ"という剣の声は完全に無視されている。

(聖剣……なのに)


「……あらあらケイさん。──そうね。あの子たちとも縁があるみたいだし……」

 そう言って小柄な女のほうが微笑んだ。


「あまり【鑑定スキル】を信用しないほうがよくてよ? 貴方たちが倒した悪魔はそれほど強い奴じゃなかったから、ちゃんと鑑定出来たかもしれないけれど、悪魔族の王族には通用しないし、【偽装スキル】を持つ者もいるの……」



「というか、結局は魔力総量がものを言うんだよな。頑張って鍛えるといい」


 言葉だけ捉えれば『何を偉そうに』となるのかもしれないが、目の前の女はどこまでも自然体なのがよく分かる。元々面倒見のよい資質の持ち主なのだろう。



 器が違う──


 素直にそう思える何かがあったので、アンドリューは頷く。

 自分だってこれからだ。聖剣も言ってたじゃないか。伸びしろはまだあるはず。



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